初めての登校
俺ら二人はそのまま興奮状態で朝食を食べ、二人の興奮が治まったのは学校へ行く予定時間の十分前だった。
「あっ!もうこんな時間だ!ゆっくり食べてる場合じゃない!早く学校へ行く支度をしなくちゃ!」
「えっ、そうなの?あいつらが死んだ事がうれしすぎて時間を忘れていたよ。私も早く準備しなくちゃ!」
俺ら二人は大急ぎで学校へ行く準備を始めた。登校時間に遅れてたまるか!これから学校へ一緒に登校するのだ。アニメや漫画では微笑ましいシーンだが、実際にリアルで登校中に遭遇すると、鬱陶しく感じ、繋ぎ合っている両者の手を包丁で切り落としたくなる【異性と一緒に登校】を!他人がやれば鬱陶しいが、俺らがやれば微笑ましい光景だ。
制服に着替え、玄関前で雪佳を待っていた。
「お待たせ、昇くん!早く行こうよ!」
雪佳は今日から学校に行くため、もちろん制服はまだ持っておらず、今日は私服での登校だ。
「よし、行こう!」
外は、雪が降っていてとても寒かった。手袋は最近無くしてしまったため、履いていなかった。寒さのせいで手が赤くなっていた。
「昇くん寒そうだね。手が赤いよ。」
「いや、大丈夫だよ。早く手袋買わないとなぁ…。」
「そうだ!」
雪佳はそっと俺の手を包んでくれた。彼女の手の方が小さいため、全ては包まれなかったが、全身が一瞬で温まったように感じた。
「ありがとう。おかげで温まったよ」
「いえいえ!二人で温たまろうよ!」
そう言い雪佳の体温に包まれながら俺らは通学路を進んだ。雪佳の頬は赤く染まっていた。
手を繋ぎ通学路を進み学校に近づくにつれて人も多くなってきた。カップルもちらほら見える。
(あぁ、鬱陶しい。目障りだ、消えてしまえ。)
周りから見たら俺たちもカップルに見えているのだろうか。
そう思いながら歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おい、次期生徒会長がなに幼女連れて登校しているんだよ。ついに犯罪に手を伸ばしたか?」
友達の大嶺翔吾だった。それより俺らはカップルでは無く、犯罪者と被害者に見えているのか!
「誰が犯罪者だよ。朝から驚かすなよ…。彼女は今日から転入してくる俺の義理の妹だ。同学年だ。」
悪い雪佳、俺がロリコンだとは誰にも知られたくない。ロリコンと思われるならいっそのことシスコンになってやる。察してくれ…。
「はじめまして。今日から転入する事になった城所雪佳です。制服はまだ届いていないので今日は私服です。ねっ、にぃ!」
「う、うん!」
「そうなのか?同学年にしては幼いし、それに、もうすぐ冬休みだというこの時期に転入生なんて怪しいんだが…。まぁこれからよろしく。俺は大嶺翔吾だ。」
「はい!よろしくです!」
「おう!昇、また後でな!」
そう言って翔吾は学校へ走っていった。
雪佳のおかげで何とかごまかせた。よく察してくれたな。
「雪佳ありがとう。変なこと言ってごめん。」
俺は雪佳を混乱させてしまったと思い謝った。
「いや、いいよ!私もびっくりしたけど実際、妹みたいにもっと仲良く居たいし!」
「雪佳…。」
「それより早く学校へ行こ!遅刻しちゃうよ!」
「そうだね、早く行こう!」
そうして俺らは、再び手を繋ぎ、目の前に見えている学校へと向かった。家を出た時には振っていた雪は止み、これから雪佳も一緒に通う高校の校舎は、日光によって明るく光り照らされており、雪佳を出迎えてくれているように感じた。
さぁいよいよこれから俺と雪佳の学校生活が始まる。