11月2日 いつもの同じ日々
ちょっぴっと恋愛混ぜます。
苦手な方はご遠慮下さい。。
「ひーめかーー!」
私を呼ぶ声。
別にいいといったわけでもないのに、呼び捨てで呼んでくる人。
この失礼な男子の名前を、『神崎 満』。
これが、モテるって聞くと、吐き気がする。
さらに、これが幼なじみなんて・・・。
・・・最悪。
「姫香、お前、またトップだぜ!!スゲーよなっ!」
手に持っていた、テストを目の前に突き出す満。
スゲーって、褒められるのも、飽きていたし。
毎回毎回、先生とコイツに言われてる言葉だしさ。
親に言われないのが、まだマシなのか、寂しいというのか・・・。
「ほっといてよ。先帰ってて。」
あー・・・も、邪魔だなぁ・・・。
満、一向に引く気なさそうだし。
「んな冷たいこと言わないでも・・・。
・・・何描いてんの?」
て、あ、満!
「ちょ!?返してよ!私のスケッチブック!!」
「へへ〜ン♪
取れるモンなら、取ってみろ!」
・・・こんの、陸上バカ!
いくら狭い屋上でも、美術部の私が追いつくわけ無いじゃんっ!
・・・屋上の風は、秋の風になりかけていた。
ひんやりと冷たい、夕暮れの風。
この風の中で、私はふと思った。
『この平凡な日々が、ずっと続けばな』って。
でも、それは簡単に消え失せてしまう願いだった。
そう、簡単に・・・。
星が、光を失ってしまうように・・・。
* * *
「風上。この問題の答えは?」
「・・・はい。X=12です。」
どっと、クラスから、喚声が上がる。
こんな問題、解けないほうが可笑しい。
先生が、黒板の問題に丸をつけ終わったあと、私のほうに振り返った。
「屋上、行っててもいいぞ。
どうせ、ドリルも終わってるんだろ。」
この先生は、他の教科の先生より、ずっと甘い。
ま、やってない人に対しては、相当な怒りを買うけど。
「じゃ、そうします。」
立ち上がると同時に、みんなの視線が集まる。
・・・別に、いつものことだし。
シンと、静まったクラスに、再び笑いが戻ってきたのは、満の一言だった。
「センセーーーーィ!じゃ、俺もっ!」
「馬鹿者。神崎、お前ワーク、P35まで終わっているのか?」
「ぅ・・・。やってません。」
「じゃあ、この時間、クラスからでることも許せんな。
他の皆だって、少なくともP40までやってるはずだぞ。」
この先生の言葉に、バッとそっぽを向く人、数人。
満と同じ、サボリ組だった。
そして、こんなバカ会話に、クラス中大笑いの嵐。
・・・。
・・・・・・笑えない・・・。
どうして皆、こんな会話が面白いと思うのかな?
教えている先生のみにも、なってみなよ・・・。
何も言わずに、教室にドアに手をかけたときだった。
「風上さん、やっぱり笑わないんだね。」
「うん。なんか無表情なロボットみたい。」
「生まれてから、一度も泣いたこと、無かったりして。」
・・・おいおい。
陰口のレベル、低すぎだよ。
しかも、ロボットかよ。
・・・あ、でも、泣いたこと無いのは確かか。
なんだか泣いたこと無いなんて、普通ありえないけど。
私は例外。
生まれてからも、赤ちゃんの時も、
無表情で、夜鳴きもしないで、空を見ている子だったみたい。
詳しくは知らないけど。
だって、私の親、事故で死んじゃってるもん。
生まれてすぐ・・・らしい。
おばあちゃんが、そういっていたけど。
・・・本当かな?
て、こんなこと嘘ついたって意味無いけどね。
ロッカーから、スケッチブック(満から取り返した)を取り出し、
筆箱の中から、鉛筆と小さな消しゴムを持って、教室を出る。
クラスの皆は、満と先生の会話で笑っていたが、
廊下に出ると、静かなものだった。
時が流れてるって、感じられないくらい。
足音のひとかけらも無い廊下は、少し開いた窓からの風で、しんみりと冷たかった。
「・・・あ、早くしないと時間終わっちゃう。」
つぶやくと、気持ちがなんとなく暖まった。
正直、廊下に一人って、心に穴が開いたみたいに、
何かが体を抜けてくような、寂しい感じがするから。
風が吹いたと同時に、屋上への階段を目指して廊下を歩いた。
* * *




