何か死んだわ
二作品目です。
よろしくおねがいします。
世の中には勝ち組と負け組の二組がある。
これは光があれば影があるような関係と言っても過言ではない。
まぁ、何故こんなことを唐突に良い始めたかと言えば……。
「大好き……ダーリン。」
「僕もだよ……ハニー。」
夜……夜の黒と電灯の白とが互いに己を高めあう中、二人の男女が今まさに最高の瞬間を迎えようとしていた。
二人の顔が徐々に、徐々に近づいていく。
その距離は互いの息がかかるところまで近づき、そして……。
「はぁ……死ねば良いのに。」
俺の気分を害する結果となる。
あ? そうだよ、接吻したんだよ接吻。
ホントに死ねば良いのに……ちょっと殺してくるか?
そんなことを思うが、俺にとっての利益が『リア充が一組消えた』しか無いわけで……。
いや、寧ろ十分な気がしてきた。
俺はそんな危険な思考を切り替えるように手に持っていた缶コーヒーを口に含む。
「ふぅ……。」
先程のカップルは既に帰路へ着いたらしく、もうその場には残っていなかった。
俺も帰らねーとな、誰も迎えてくれやしねーけど。
「うぅ……さみぃ……。」
突如、冷たい風が吹いた。
俺は首に巻いていたマフラーに顔を埋めて、寒さをしのぐ。
手に持っている缶コーヒーも大分冷めてきている。
「さっさと帰るか……。」
俺は自宅へと足を進める。
本来ならイヤホンで音楽を聴きながら帰るのだが今日は充電がきれてしまったため聴くことが出来ない。
冬の寒さに体を震わせながら俺は考える。
負け組になってしまった理由を。
◆◆◆◆◆◆
結局、結論に至らないまま俺は自宅、といってもアパートの一室だが、に辿り着く。
やなもん見ちまったぜ、まったく。
俺は暖房をつけて、パソコンを起動する。
開くのはネット小説。
やっぱりネット小説は最高だぜッ!!
「お、この作品投稿されてら。」
カチカチとマウスをクリックし、小説を読み始める。
……やはり、ハーレムは大変よろしい。
この歳、まぁ、25歳だが、になってもやっぱり憧れてしまう。
「……。」
しばらく小説を読んだ後、俺は床に寝っ転がり、ふぅ……と息を吐く。
どうせだったら俺もハーレム王になりたい訳だよ。
ハーレムでなくても彼女は欲しいものだ。
だが、職業柄か出会いがないし、そもそも話せない。
悲しきかな、我が人生に女色は一片もなし。
やめよ、言ってて泣けてくるから。
俺は目から何故か水が出ていたためそれを拭き取り、ベッドに横になる。
せめて良い夢は見たいよなぁ……。そんなことを思いながら俺はゆっくりと眠りに落ちる。
そして、俺の地域を襲い多数の被害を被った大地震が来るのは俺が眠りに落ちて暫くのことだった。
◆◆◆◆◆
パチッと目を覚ますと、知らない天井だった。
て、は? ホントに知らないんだけど。
俺はいつもならのそのそと起きて睡眠と別れを告げるのだが、今回ばかりはガバッと起きて辺りを確認する。
「えぇ……?」
そこは一面のお花畑で、とっても綺麗な花が咲き乱れていた。
そして、俺の後ろ側には川が流れてとてもいい景色だった。
花畑に川……か。
「え? これ、死んだパティーン?」
えぇ……。唐突過ぎんだろ……。
川の向こう、ではなく俺の横には昔可愛がってもらったおばあちゃんがい……た……。
「あかんて……それはあかんて……。」
だが、まてよと俺は思考を切り替えてみる。
あのままあの人生を送って楽しかったのか? と。
モテ期診断で毎回、来世と診断された人生だぞと。
「あ、なんかもういいや。」
悲しいなー自分で言っててあれだけど諦め方が。
しゃーないと俺は立ち上がりやるべきことを考える。
この場合は閻魔大王だっけ? その人のところにいくんだっけ?
だけど、そういう時って大体スタート地点があれだよな、岩場とかだよな。
じゃあ、今回は誰のところにいくんだ?
「お、いたいた。君が桐生誠也君?」
「はい、そうですが……。」
俺が迷っていると、ザ・イケメンと言った具合の青年が俺に声をかけてくる。
ふぅ……死んでからも俺はこんなイケメンを見なきゃいけないのか……。
「あ、僕イケメンかな? ありがとー。」
「うぜぇ……。つか、なんで俺の考えてることが分かったんだよ。やば。」
にっこりと笑い、お礼を述べる青年。
「だってそりゃ当然だろ? だって僕は神様だからな。」
この瞬間俺の中での時間が止まった。
周りの音も、感覚も全てがシャット……。
「しちゃダメだよ?」
「くっ……。だって自分のことを神と思ってるなんて、冗談はその顔だけにしてくれ。」
俺の言葉を聞いて自称神様が笑う。
「あははー。君は面白いね?」
「俺は面白くないんだよ……。」
俺はふぅ……と溜め息をついた後、自称神様……めんどいから自称でいっか。自称に話しかける。
「で、俺に何のようだ?」
「おおっと。すっかり忘れていたよ、君に再び生を与えに来たんだ。」
ハハハと笑い、とんでもないことを言い出す自称。
こいつ……もう……頭まで……。
「冗談じゃないよ? 誠也君?」
「思考を読むんじゃねぇ。」
再び思考を読まれる俺。
「さて、話を戻すよ。次の君の生はこれで決めてもらう。」
スッと出したのが真ん中に穴の空いた箱。
穴の上には『来世決定ガチャ』と書かれており、右側には当たりが出たらもう一回と書いてある。
てか、来世にもう一回って……。
「さ、早く引いてくれ。これでも私は忙しいのでね。」
「あーわかったわかった。」
俺は箱に手を突っ込む。
どうやらカプセル? というかそんな感じの物に入っているらしい。
俺は暫くごそごそと動かした後、手のひらのすぐ近くにあるカプセルを取り、手を抜く。
カプセルはよくガチャガチャで見るようなあんな形状で、下の色は赤色だった。
「開けても?」
「うん、構わないよ。」
俺の問いににっこりと笑いながら答える。
いつの間にか手に持っていた箱はカプセル入れと書いてあるカゴへと変わっていた。
手品かよ……とか思いつつ、俺はカプセルをパカッと開ける。
「……紙?」
二回ほど折ってある紙が出てきた。
俺はカプセルからその紙を取りだし、空になったカプセルを自称が持っているカゴに入れる。
そして、カサカサと紙を開けると、そこには。
『大当たりッ!! 皆が羨ましがるチーレム行きだよッ!!』
と書いてあった。
「おぉ、何かよさげやん。」
「さて、後の細かい事は音声ガイドにしたがってね。それじゃーねー。」
そんな事を言ったかと思うと、目の前からいなくなった。
何か……嵐みたいな奴だったな。
さて、気を取り直してっと。
音声が流れるらしいが……。
『名前を選択してください。』
女性の声が聞こえる。というか……。
こいつ……脳内に直接……ッ!!
まぁ、そんなことより名前か。選択するってのはどういう……。
『レオン・ハート』
『権田藁 平八郎』
『ソール・オギルビー』
ポポポンッと俺の視界に三つの名前が表示される。
なるほど、こういうことね。というか一個やべー名前があるんだが。
ある意味面白そうではあるが、自分の名前だったらと考えるとゾッとする。
てことはこの内のどっちか何だが……。
んー、『レオン・ハート』にしようかな。何か強そうだし。
俺の中でそう決まると名前は消える。
『能力を選択してください。』
再び女性の声が聞こえ、俺の視界に選択肢が表示される。
『能力を作り出す能力』
『兵器や軍隊を呼び出す能力』
『おうどんの能力』
『全魔法使用できる能力』
『戦闘力がすっごい上げる能力』
今度は五個の選択肢が出てきた。
……おうどん? おうどんの能力って何だよ……。
俺はこの内の一番最初の『能力を作り出す能力』を選択する。
そして、選択肢は消えて、再び女性の声が聞こえる。
『種族を選択してください。』
選択肢が表示される。
『人間』
『獣人』
『妖精』
『竜人』
『魔族』
『亜人』
『木』
『蟲』
『おうどん』
今度は結構多めの選択肢がって、おいッ!! またおうどんが混じってんぞッ!!
なんだッ!? この選択肢を作ったやつはおうどんが好きなのかッ!?
『バレましたか。』
女性の声が聞こえてって、お前かい……。
まぁ、いいや。俺は選択肢に専念する。
んー、とりあえず下三つと妖精はパスと考えて、人間は普通だしなー。
うんうんと前の人生で殆ど使わなかった頭をフル活用する。
その結果、『竜人』を選択した。
しょうがないよね、カッコいいのが悪いんだもん。俺は悪くないよ。僕悪いスライムじゃないよ。
ということで『竜人』を選択すると、文字が消えて女性の声が聞こえる。
『以上で終了します。少々お待ちください。』
何かゲームのローディング待機みたいな感じだな。
『Now Loading……。』
「ノリがいいなこの声。」
暫くすると、女性が再び喋りだす。
『これからあなたがいく世界は魔法や剣などがある世界です。容姿については前世からの要望の通り、美形にしておきました。』
二言目を聞いて俺は静かに拳を掲げた。
これは勝つる。そう確信した。
そんな事をしている間も説明は続き、そして。
『それでは次の人生……悔いの残らぬようお過ごしください。』
その言葉を聞いた瞬間、視界が真っ白になった。
◆◆◆◆◆
『……面白い方でした。それに良いツッコミも持っていましたしね。』
『これは私も着いていきましょうか。何より面白そうですし。』
『あ、先におうどんを食べてからにしましょうか。』
『今日はかまたまにしましょうかね。』
作者です。
前作が暗い感じになってしまったので明るいのをこっちでは書きます。
楽しい感じにしていきたいと考えてます。
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でわでわ~。(^ω^ )