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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
三章 多種多様精霊界巡会記

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三十二話 神速神馬 八雷神 ライトニング

最大限まで溜めて放たれた熱閃はシネト村の五割を消し去った。

後にはぽっかりと地面が抉れている。

残っているのは、入り口周辺の二割弱。


「やれやれ、世話の掛かる奴だ」


真っ暗な視界の中、レオの耳に少年の声が入る。


「破壊力だけは一丁前だが、閃光を溜めて放つまでの時間は長すぎるし

何より見た目が気持ち悪い。もう少しまともな見てくれに作れないのかと疑問だ。

お前もそう思うだろ? レオ」


「え?」


レオが目を開けると満天の星空。

どうやら仰向けに寝ているらしい。

眼だけで周囲を確認すると黒い衣を(まと)うロードの背中があった。


「話を聞いていなかったのか?

あの気色の悪いゲテモノの見てくれをどうにかできなかったのかって話だ」


「え? いや? なんで俺、生きてるんです?

あ、死んだのか。エナジードになって浮遊してるんですか?

でも肉体あるし、あ、ロードさんもいるし……なるほど! ロードさんも死んだんですね?」


「この俺があんな雑魚相手に死ぬわけないだろ」


「えっ……じゃあ――――」


「生きている。俺もお前も正真正銘、この精霊界で生きている」


背を向けたままのロードの言葉がトリガーとなり

体に魂が入ったように段々と五感を取り戻す。


「俺……生きてるんだ」


夜空に手を(かざ)し自分の存在を確かめた。

現状を確認するため、身体を起こし周囲を見渡す。

座っているのは、シルクのようにツルツルで滑らかな蒼黒毛の上。

浮遊する乗り物のように上下左右に動く。


「ここって……」


レオが確認するとそれが生物である事に気が付く。

いつの間にか、レオは宙を駆ける天馬の上に乗っていた。

目下には、虚無の湖とあの肉塊が健在している。


「なんですか……この馬」


「俺が従える“八雷神”の一柱。伏雷神ライトニング。

万物よりも速く動け、触れているモノを光に変えて己の一部とする力を持っている。

お前が閃光を浴びて消え去る刹那(せつな)、ライトニングで拾ってやったんだ、感謝しろ」


「ロードさんが助けてくれたんすか……。あ、ありがとうございますっ!

これでキーフに帰ってきたぜ、相棒って笑ったり

キリエに泣きながら怒られたり

シンシアさんに次の見せ場も貰いますって言ったり

朔桜さんに心配かけましたって謝ったり

死んだノアちゃんの事を(とむら)う事も出来ます!!!」


「まあ、一つ以外は出来るな」


「どれがダメなんすか!? やっぱり次の見せ場は違う人ですか!?」


「最後だよ。ノア、死んでないし……ってあれ? 正確には死んじゃったか!」


高い鈴の音のような可愛らしい声。

その声の主はロードの裏声ではない。

ロードの前から顔を覗かせたのは、紛れもなく死んだはずのノアだった。


「ノアちゃんっ!? どうして!? あの肉塊に消し飛ばされたはずじゃ……」


「うん、()()()()は情けない事に跡形も無く蒸発したよ?

でも、()()()()()()はこの通り生きてるからね」


ノアは細く華奢な腕を出し、力こぶを作ろうとして見せる。


「簡単に言えば、こいつの能力だ。

万が一のため本体を俺のところに残させておいた。

状況はノアが死ぬ前の事は全部知っている。

おかげでシンシアの精霊術や奴の向き不向きが分かった。大きな収穫だ」


「ねえねえ、ロードくん。

あいつ、また撃とうとしてるよ?」


肉塊はロードたちに狙いを定めたまま、破壊の閃光を放つ準備をしていた。


「眩しくて目障りだな」


ロードは不意に手を天に(かざ)す。


「還れ、ライトニング」


ライトニングは雷となり天に帰還。

従って三人は湖に向かって自由落下する。

雷造(らいぞう)を唱え、以前クラブと戦った時の銃を造り出す。

おもむろに黒鴉の衣から取り出したのは、細く鋭い小さな弾。

Drに作らせた雷造特製弾を取り出し、手慣れた手つきで装填。

銃の中で超圧縮された弾は引き金を引いた瞬間、超磁力の反発で音速で弾かれ発射される。

雷造で創った銃から放たれる簡易式電磁投射。

電光は肉塊の放とうとしている閃光の中心を貫く。

さらに無言で電磁投射砲を撃ちまくる。

身体をズタズタに引き裂かれ肉塊は苦しむように(みにく)(うごめ)く。

悶え苦しみながらも、肉塊は閃光を放つ。


「やばい、やばい! 今度こそほんとに死ぬっ!」


レオは騒がしく慌てふためく。

ロードは涼しい顔で飛翔で浮遊し、その場にとどまった。


「往生際が悪い。風壁―風壺(かぜつぼ)


壺状の形の風壁は、一片も漏らさずに、閃光を中に留める。


「風握―(しゅく)


内側に収縮した風が、圧倒的な破壊の熱閃を容易に握り潰す。


「ふん、忌竜(きりゅう)の破壊水ほどじゃない」


ロードは静かに手を前に(かざ)した。


「紅雷―紅玉(こうぎょく)!」


右差し指からBB弾ほどの深紅の小さな球体が出現。

禍々しくも美麗な深紅の火花を放つ超高密の電気紅玉。

指で弾かれた紅玉は誘導されるが如く、真っ直ぐ肉塊の中心に入る。


「あのデカブツを見るな。眼球が焼けるぞ」


ノアは小さな両手で、レオは引き締まった腕で目を手で覆うと

紅玉は小刻みに振動を始める。

心臓に響くような重い低音が湖中に響く。

空気を振動させ、水面を揺らす。

湖に落下寸前でロードはノアとレオなぞるように風壁―球で囲った。


「消え果てろ、肉塊」


指を鳴らした直後、紅玉は一気に膨張。

超高密度な電撃は巨大な肉塊を一瞬で呑み込み

肉の一片も残さずに跡形も無く分解し

ロードは圧倒的な力で悠々と勝利を収めたのだった。

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