二十二話 シネト村
翌日の昼前。
ロードたちはホノポ村を出発し、オーガに襲われ
連なるオーガを倒し
レオ、キーフ、キリエを仲間にし
鰐を倒し、賊長を倒しと色々とありつつも
無事、目的地に着くことができた。
一番最初に目を引くのは、海のように視界一面に広がる
対岸がぼんやりとしか見えないほどに巨大な湖。
泳ぐ魚の姿がはっきりと見えるほどに水は透き通っていて綺麗だ。
そして、湖の横にそそり立つ草木も生えぬ巨大な絶崖の岩山。
高い崖に守られ、大きな湖に生きる漁業が盛んな村。
それが、シネト村だ。
着いて早々、シンシアは厩舎に馬と馬車を預けるための手続きで
門前で別れて別行動する事になった。
「ロードさん、昨日はお手数掛けました! ありがとうございます!」
「感謝する」
「そう思うなら最初から宝を巻き上げてこい」
レオとキーフがジオラの宝物庫には宝がざくざくあったが
それを運ぶ荷車は、女性たちを乗せるのでいっぱいいっぱいで
泣く泣く宝を置いてきたと聞いたロードは、宝具がある可能性を加味し
昨晩、皆が食事の最中、夜の山道を辿って宝を取りに行ったのだ。
結局、宝具は無かったのだが、両手に収まりきらないほどの銀貨や財宝があり
それを全て黒鴉の衣に入れて持ち帰ってきた。
銀貨は一枚1000リル。
女性たち全員にその銀貨を片手一杯に渡す。
「これで身なりを整えてこい」
ちぐはぐな男ものの衣服を着替えさせ、浴場で身を清めさせた。
そして、事前のシンシアの提案で全員を連れ、シネト湖の船着場へと向かう。
シネト湖から川の合流地点である水都市スネピハまで一日に何隻も舟が通っており
そこから山の源流までの川沿いに多くの村があり
女性たちは、各自その舟で生まれた村へと帰って行く事となった。
レオとキーフは女性たちの感謝の言葉に応えながら、舟が見えなくなるまで手を振り続けた。
「これで一安心っすね」
「ちんけな賊を倒した程度で満足するな。俺らの目的は別だろ」
「“ワザワイ”の究明」
キーフがボソっと答える。
「そうだ。俺らは一応この村でも影の情報を集める。お前らは勝手にやってくれ」
「えーそんなぁ! 俺らもぅ金無いんすよぉ!
駅馬車でもいいんで寝かせてもらえないっすか……?」
ロードは考える。
「なら、使いを頼もう」
黒鴉の衣から銀貨を大量に出した。
「これはお前らが倒した賊の宝だ。それを全てお前らに渡す。
その代わり、俺らが今日寝る上等な部屋を四つ取ってこい。残りは好きに使え」
「りょっ了解しました!」
「元々、俺らの宝じゃねえか」
「文句があるなら精霊人十五人を荷台で引いて、この村まで歩いてこい。
宝を取りに戻るためまた道を往復したいと言うのなら
この宝をそのまま元の場所に戻してきてやるぞ」
「……ちっ」
「俺に歯向かって殺されないだけ感謝して生きろ。虫ケラ」
キーフがキレてロードに攻撃しようとする。
それを察し、キリエが二人の間に入った。
「兄が申し訳ありませんでした。。。」
「ふん、妹は随分と利口だな。で? どうする?」
「もちろん、その使いさせていただきます。。。
そして有り難くその報酬頂戴させていただきます。。。」
「いいだろう。お前らも異存はないか?」
「もちろんす」
「…………」
「なら仕事を全うしろ。安い宿で金を浮かせたら湖に沈めるぞ」
レオ、キーフ、キリエは宿を探すため。
ロード、朔桜、ノアは三人で情報集めシネト村を回る事となったのだった。




