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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
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百三話 朔桜のするべきこと

北の地の激戦から一週間が過ぎた。

朝、朔桜は自室のベッドで目を覚ます。


「んん~」


目に優しくない一面ピンク色の空間。

眠い目を擦り階段をゆっくりと下りる。

普通の学生なら学校に行く時間だ。だが朔桜は普通の学生ではない。

精霊界へ行くため退学届けを叩き付けている。

故に学校へ行くため急ぐ必要は無かった。

上下薄ピンク色のパジャマ姿で洗面所で顔を洗い、リビングの扉を開けた。


「おはよ~」


朔桜はソファーに腰掛ける人物に声を掛ける。


「おはよ朔桜」


返ってきたのは少し前まで一緒に暮らしていた相手ではない。

護衛としてこの一週間一緒に過ごしているティナの声だった。

私服姿でノートパソコンで作業をしている。


「朝軽いのでいい~?」


「ええ、お願い」


朔桜はさっとサンドウィッチを作りテーブルに二人分配膳する。

飲み物は良く冷えた500mlのペットボトルの水だ。


「ありがとう朔桜」


ティナは手を止めてテーブルに移動。

二人で一緒に朝食を摂る。


「地下施設に行くの今日だよね?」


「そうよ。特に持って行く物はなくても大丈夫」


「分かった。他のみんなはどうしてる?」


「おチビちゃんの魔改造は昨日終えたらしいわ。

超絶強化されたとか通信越しから騒いでた。

有象無象共は地下施設に軟禁してる。

全員バイタルには異常なし。でも、あの黒衣の子、キリエだっけ?

あの子は“黒”の力が残ったままみたい」


「そっか……」


「羨ましい限りね。私が受けたかったくらいよ」


(てぃな)!」


「冗談よ。それより朔桜。この先やるべき事は決めた?」


人間界に脅威を(もたら)した影の誘いに乗り、朔桜たちは精霊界へと渡った。

影の企みであった精霊神による精霊界の滅亡を阻止し、“九邪候補”の試練も阻止した。

今後の方針を決めるのは朔桜だ。


「決めてるよ、私のやるべきこと」


「そう。決意は変わらないのね」


「うん」


朔桜は強い意志を持って頷く。


「はぁ……やれやれね」


ティナは既に朔桜の言うやるべき事を知っている。

無謀に近いと呆れはしつつも否定はしなかった。

食事を終え、冷蔵庫の中をチェック。

朔桜が着替え終わるとブレーカーを落とし家の扉を施錠。

二人が庭へと出る。そこには物々しいマンホールが設置されていた。

ティナが蓋を開けると照明が付き階段が現れる。

それは地下施設に続く地下通路の一つだ。


「朔桜が先に降りて」


「うん」


慎重に降りる朔桜の後からティナはしっかりと蓋を閉めて降りる。

家の地下には小さい路面電車のようなものが設置されており、四つの座席と二人くらいなら立てる空間があった。

ティナがスイッチを押すと乗り物が動き出す。


「人の家勝手に改造して……」


「合理的でしょ?」


数分で地下施設へと到着。


「待っていたよ」


「二人ともおひさ~」


Dr.とノアに迎えられ高所からメインルームを見下ろすと

カシャ、レオ、キリエ、メティニ、ハーフ、バグラエガ、ペテペッツ、ラヴェイン、デガロ、リョクエンが控えていた。

全員が朔桜の言葉を待つ。静寂の中、朔桜が意を決して前に出る。


「この場で私の方針を発表します。

私は……魔界へと渡り、母の生存を父に伝えに行きたいと思います!」


朔桜は迷いも躊躇なく魔界へ行くことを宣言した。

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