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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
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八十一話 破門の拳

メティニや仮面にされた者の情報を総合し

仮面化された際には現状、海水が効果的という仮説が立てられた。

これで脅威的な能力《活仮面(デスマスク)》に対抗出来るかもしれない。

僅かな可能性が生まれた中、メティニが朔桜に真剣に話を持ち掛ける。


「それで少し相談なんだけど、私もカシャのように貴女の仲間に加えて貰えないかしら?」


「えっ!? 私の!?」


「ええ。無理にとは言わないわ。私は暗殺者。《指定方向(ディズイグネイション)》を

殺し特化の能力をだと錯覚して、両手で数えきれないほどの精霊人を殺してきた罪人。

でも、シンシアに諭されて別の道がある事を知った。

助けるために能力を使うという選択肢もあったと知った。

だから、この力貴女の元で使わせてほしい」


シンシアが赦し、正した一人の少女の新たな信念。

朔桜がその真摯なる信念を拒む事などあるはずもなかった。


「私そんな大層な存在じゃないけど是非、ご協力お願いします!」


「朔桜っ!? こいつ人殺しよ!」


(てぃな)も昔はそうでしょ」


「そ、そうだけど、なんか私と若干キャラ被ってるし、間違いなく扱いづらいわよ!」


「大丈夫。改心した感じするし、なんか素直そう!」


「私、素直よ。改心したわ」


「そういう問題じゃなくてっ!」


「ティナちゃんどっちかというとポジションの方を気にしてそう」


「黙れ、チビガキ!」


「あはは! こうかはばつくんだ!」


ノアがティナを煽り散らかしている間に朔桜がメティニは固く握手を交わす。


「やり直す機会を与えてくれてありがとう。えっと名前……」


「朔桜です。並木……あ、いや、サクラ・フォン・ディオス? えっと……」


自身の複雑な家庭環境に説明を迷う。


「ならサクラって呼ぶわ。私はメティニ。よろしく」


「はい! メティニさん、今後ともよろしくお願いします!」


「ノアはノア! メティちゃんて呼ぶね!」


「よろしく、ノア」


「ほら、明も挨拶して!」


「私はティナ。朔桜の一番の親友よ」


「凄い自己主張ね。よろしくティナ。貴女とも仲良くなれそうよ」


「私はお断りよ」


「そう。残念」


そう言った彼女は静かに笑った。

大所帯となった朔桜一行は確実に力を付けてきている。

こうなれば、今まで圧倒されてきた“九邪”にも立ち向かえるかもしれない。

と、この時は皆が思っていた。

それから(しばら)くして、先頭を歩く“五色雲(ごしきぐも)”エプンキネがあまりの光景に言葉を溢す。


「なんて酷い事を……」


皆が言葉に釣られ周囲を見ると山の美しい木々は枯れ果て

触れたら即座に崩れてしまうほどに(もろ)く、哀れな朽ち木と化し

地面は罅割れ干ばつ地帯のようになっていた。

ティナは地面に手を触れると異変を察知する。


「船であの氷チビが言ってた通りね。城一帯の生命エネルギーが完全に枯れて死んでいる」


いち早く異変を察知していたスノーマンの言葉の真偽をティナがその身で裏付けた。


「さっき来た時はこんなに荒れていなかった! 何か事態が進んでいる!」


ピリカは周囲の異変を見て危機感を露わにする。


「急ぐぞ!」


“五色雲”が焦燥感(しょうそうかん)に駆られ走り出すと皆も後に続く。

全員が城壁の前に到着するが、先ほどは全開で開いていた巨大な門扉(もんぴ)は固く閉ざされていた。


「なんで、さっきは扉開いてたのに!」


ピリカが焦る口調で心情を口に出すとその返答が夜闇から返ってきた。


「来賓の方々、誠に失礼を致しました」


レオはその声に強い覚えがあった。

表情を険しく変え、その名を叫ぶ。


「カテスッ!!」


「元気があってよろしい限り。

この度、特別な方の歓迎をしておりましたので少々時間を頂きました事

そして、皆々様に紹介が遅れましたこと、深くお詫び致しますっ!

(わたくし)“九邪候補”カテスと申します。

この度は、ようこそ、渇望の黒城(アブゾァーブ)へ!

そして、私の名誉ある“九邪”襲名式へとお足元の悪い中

足を運んで頂きましてありがとうございます!」


「襲名式だとっ! ふっざけんな!! キリエを返せ!!」


「“黒色(こくしょく)十化身(じゅっけしん)”との余興を楽しんで頂けたようで何よりです。

あなた方のおかげで派手な演目を披露出来そうです。重ねてお礼申し上げます。

以上をもちましてこの度の前座の舞踏会は幕引きとさせて頂きます。

お付き合い頂き誠にありがとうございました。

つきましては、最終演目“この世界の終焉(終演)”をお楽しみくださいませ」


カテスは言いたい事を一方的に告げると口を閉ざした。


「どういう事だ!? 目的はもう果たしたという事か!?」


エプンキネはカテスの残した言葉を辿り意味を考える。

“九邪”の存在を知らない“五色雲”はカテスの残した言葉に混乱していた。


「今の声の主が貴女たちの仲間を(さら)った犯人?」


こんな状況でも冷静なメイプルが朔桜に問うと朔桜は頷く。


「はい。恐らくこの城もカテスと関係してると思います。

そして、ここに私たちの仲間が囚われていると思います」


「“世界の終焉”はハッタリじゃないと?」


「はい」


明確な確信を持った強い意志の言葉。

朔桜の言葉に疑う余地はないとメイプルは判断した。


「世界の危機なら、私たち“人魔調査団”も全力で力を貸すしかないわよね? みんな!」


「しゃあねえな、罪人ブチ殺してさっさと帰るぜ」


「うむ! 力が入るNA! HAHAHA!!」


「ふぁいお~」


「我々もこの地を守るために協力する」


「うが!」


「そうだね」


「“人魔調査団”の皆さん、“五色雲”の皆さんもありがとうございますっ!」


世界の危機を食い止めるため

正式に“人魔調査団”と“五色雲”も力を貸す事を約束し、戦力は増した。


「みんなの意志は固まったけど、まずはこの城門を突破しないといけないのよね……」


山のような城門を前にメイプルの言葉は尻すぼみになってゆく。


「恐らく、あの黒い者たち……“黒色十化身”って言ってたかしら?

あれと同等。もしくはそれよりも硬いでしょうね」


「私の力で越えてく?」


エンジェルが手から推進力を出してメイプルに提案している最中。


「皆さん、下がっててください!」


一人の少年が衝撃を蓄えた拳を構えて皆に指示を出した。

その表情は真剣そのもの。迷い一つない顔だ。


「下がりましょう!」


朔桜が直に呼び掛け、皆が後方へと下がると

レオが勢い良く正拳を突き出す。


「欧波転衝!!」


瞬間、凄まじい衝撃が空気を穿ち

“黒”で造られた世界滅亡級すらも防ぐ城門を荒々しく吹き飛ばした。

皆が絶句する圧倒的な破壊力。


「行きましょう!」


全員が絶句するなか、レオは一人で先へと進んで行く。

彼はもう助けを待つ大切な仲間の事以外考えてはいなかった。

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