表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
303/396

五十一話 快挙の温度差

七カ国空母艦“ヒュージア・ブロード”はひたすら

広大な海原を真っ直ぐと突き進む。

F6でティナがアルレイア・インベルトと対峙している一方

朔桜、ノア、ボーノ、スノーマンはF1の船尾方向からF2へと移動していた。

朔桜たちの目的は散らばった仲間の捜索と人命救助。

ボーノとスノーマンの目的は侵入者の排除と人命救助だ。

移動する最中、休憩室の中に数十名の生存者を発見し、甲板への退避を促してゆく。

一列になり、スノーマン、ボーノ、朔桜、ノアの順で歩いていると

ノアが遠くの物音にいち早く反応した。


「誰か走って来る。足取りは軽いし速い。歩幅は大きくないから多分若い女の子」


戦闘のスノーマンとボーノも気配を悟り戦闘態勢を取る。

すると目の前に甲板で一戦交えた“九邪候補”一文字 咲が現れた。


「げっ!」


咲は蛙の鳴き声のような声で明確な嫌悪感を示す。


「あの子は敵です!!」


朔桜が指差すと同時にスノーマンが周囲の水素を凍らせ氷の塊を生成。

鋭い先端を咲に向け容赦なく放つ。


「ちょっ!」


咲は前方に気盾を展開。

氷塊の軌道を上手く逸らす。


「一つ相談なんやけど、ここは穏便に見逃してくれへんかなぁ~」


「敵、倒す」


「知ってたわぁ~ほな、しゃぁなし。死合いましょか~」


人差し指と中指を揃えて構える。


「刀使わないの?」


ノアが不思議そうに首を傾げると

咲の背後から回答がくる。


「今、私の能力でその子の刀は使えないわ!」


その声の主は黒いマイクロビキニ姿のメイプルだった。


「なんか凄い恰好の人来ましたけどっ!?」


あまりの際どい格好に朔桜は目を見開いて驚く。


「あ~……あれは味方だ。

彼女の恰好は能力の都合……もとい趣味なんだ……」


アートは頭を抱えながらも、いつもの事だと呆れた様子で説明する。


「な、なるほど……」


朔桜はあるがままを受け止め順応する事にした。

奇妙な状況ではあるが、戦況は有利。

咲は刀が封印され、能力の副作用で激しい酔いに襲われている一方

味方は五人。しかも全員が万全の状態だ。

相手は“九邪候補”これほどの好機、逃す手はない。


「ノアが殺るね!」


速攻で飛び出し咲へと迫る。


「来たなぁ~化け物~」


「その言いぐさは酷い、なぁ!」


語尾と同時に強烈な衣の一撃を撃ち込む。

確実に咲の心臓を捉えた即死の一撃。

だが、その場所に咲の姿はなかった。


「眼鏡くん後ろっ!」


唯一その尋常じゃない動きに対応出来たノアがアートに警告を出す。


「おっと! 動かんといてっ!」


咲は一瞬でアートの背後を取り、左の腕で首を締め、頭に指を当てる。


「みんな動かんでね~。少しでも動いたらドーン! やで?」


「くっ! アート!」


隙を作り仲間を人質にされた事を悔やむメイプル。


「……ごめん、こんな時だけど、人質として一言だけ言わせてくれないか?」


「なんや? 命乞い?」


「君、随分と走り回ったみたいだけど、少し汗臭いよ」


「なっ――――」


年頃の女子高生が激しく動揺した瞬間、アートは咲の方へと身体を向けた。


「《迷宮(ラビリンス・アート・)美術館(ミュージアム)》!」


「しまっ――――」


アートは自身の能力で咲を仮想空間に閉じ込める事に成功。


「よし! 敵確保!」


ガッツポーズで喜ぶアートとは対照的に女性陣の視線は冷たい。

スノーマンの能力で冷える区画に男女で明確な温度差があった。


「えっ……僕、何かした?」


「今の言葉は、敵でもうら若き乙女に対して流石に無いわね」


「ない。あり得ない」


メイプルが口にするとスノーマンも同意する。


「うんうん」


朔桜も激しく頷く。


「眼鏡くん、デリカシーないね」


「ぐはっ!」


ノアのストレートな言葉が見事“九邪候補”を捕獲したアートにとどめを刺したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ