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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
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十七話 小さな悪魔

右腕右脚を切られ、瀕死のハーフを『雨の羽衣』で抱えるノア。

頭を削り取り取られたブロッコリンはノアに敵意を剥き出しにする。


「絶対に許さないぞ!! このクソガキ!!」


ノアは敵の攻撃が来る前に地面から一足で跳び上がった。


「上空に逃げても、ただの的なんだよ!!!」


地面が盛り上がり爆発。

その拍子に飛び出した無数の木槍がノアに迫る。

攻撃を見た瞬間、一同を襲撃してきた者の正体を理解した。


「この術……みんなの邪魔したの君だったんだ」


無感情な声へと変わったノアは

ハーフを抱えたまま器用に宙を舞い

衣で木槍の猛攻を弾く。


「キリちゃん助ける邪魔をして」


追撃の木槍も当たり前のように弾いてゆく。


「尚更、許せなくなっちゃった」


宙を泳ぐようにブロッコリンへと迫まる。


「く、来るなぁ!」


ノアは慌てふためくブロッコリンを頭上から真っ二つに両断した。


「これ囮でしょ? さっき入れ替わってたもんね」


ノアは知ってるとばかりに本体の方を向いた。


「気づいてハマったのなら愚かだったな!

お前はもうその場から一歩も――――」


取り囲むように四方八方から無数の木槍が放たれるが、

ノアは息も荒らさず全ての攻撃を衣で一掃。

静かに本物のブロッコリンのもとへと歩みを進める。


「なっ! 何故私の《越えられない木柵(ウッドフェンス)》を越えられるんだっ!?」


ブロッコリンの能力《越えられない木柵》

縦横二本の木材を使用したものを柵と定義し

生物はその柵より先へは如何なる場合でも越える事はできないという能力。

ハーフの足が動かなかったカラクリである。

しかし、ノアにはまったく効果は無い。

“世界の法”で生物として認識されていないのだ。

ノアが生物として認識されてさえいれば

ブロッコリンは後()()()()()はまともに戦えてたかもしれない。


「来るな、来るなぁ!!!」


樹の魔術を連発するもノアに致命傷はおろか

かすり傷一つ付ける事は叶わない。


「ばっ……化け物……」


「こんなか弱い女の子に向かって化け物は心外だなぁ」


ノアは口を尖らせ不満を漏らしつつも

ブロッコリンの猛攻を防ぐ。

蔓で動きを抑制しようとしても

地中に柵を作っても

何発木槍を飛ばしても

ノアの歩みは止まらない。


「今回は死に芸をするまでもなかったなぁ」


戦車の如く迫り来る小さな悪魔の姿に怯え

ブロッコリンは遂に膝を折った。


「あ………あぁ…………」


身を震わせるばかりでその場を動く事が出来ない。

その目は小さな少女に向ける目ではない。

自分の理解しえない強大な理不尽に対し向けるような目だった。


「またみんなにノアは加減が出来ないからすぐに殺すって

言われちゃうかもだけど……今回は仕方ないよね。

朔ちゃんも居ないし、半分くんには栄養取って貰わないとだもんね」


「や、止めろ……やめ――――」


こうして一つの戦いの幕が閉じた。

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