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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
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四話 口蜜腹剣

目を覚ますとそこは冷たく質素な牢屋の中。。。

物音一つ聞こえない寂しい空間。。。

私の手足は上下から太い鉄鎖(てっさ)が絡められていた。。。

状況が分からない。。。レオは、みんなは何処に行ったのだろう。。。?

精霊神は無事に倒す事は出来たのだろうか。。。?

そんな疑問のなか、対峙した覚えのある人物が現れ牢の中に入って来た。。。


「ご機嫌いかがかかな? お嬢さん」


丁寧な口調で話す仮面の道化師。。。

やはりカテスという敵の刺客の一人だ。。。


「ここはどこですか。。。? みんなは。。。? 精霊神は。。。?」


「おやおや、記憶が混乱しているようですね。

まあ、無理もありません。

兄だけでなく、仲間も全員死んでしまったのですから」


その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。。。

みんなが死んだ。。。? 嘘、そんなはずない。。。


「精霊神は私たちの思惑通り精霊界を破壊しました。

貴女がお世話になった人たちも、助けた人たちも全て死に絶えました。

ここは精霊界とは別の世界。貴方だけは私が連れ帰ってきたのです」


「そんな出鱈目信じられない。。。!」


「出鱈目なんかじゃありませんよ。悲しいかな、全て現実です」


嘘。嘘。嘘。。。

あり得ない。あり得ない。あり得ない。。。

みんなが負ける訳がない。。。


「レオが精霊神の黒い一撃を跳ね返して……それから。。。」


「あの少年の反射の拳で精霊神は半身を失いました。

が、周囲のエナを取り込み完全に回復したのです」


そうだ。。。そこまではこの目で見て覚えている。。。

でも、その先は。。。


「貴方も分かっているはずですよ?

全員が満身創痍のあの状況で精霊神に勝つのは不可能だという事を。

そろそろ……現実を受け止めてはどうですか?」


そうか。。。

そうかもしれない。。。

あの絶望的な状況。。。

奇跡でも起こらない限り勝ち目なんて万に一つも無かった。。。


「そうです。みんなは死んだのです。

生きているのは貴女だけ。貴女たった一人だけなんです」


「私。。。一人だけ。。。」


「そう、そうです。貴女は独り。独りぼっち。孤独な存在なのです。

誰の役にも立たず、誰にも求められない。そんな空虚な存在なのです」


そう。。。私は独りぼっち。。。

両親も死んだ。。。

お兄ちゃんも死んだ。。。

親同然のポテ師匠も死んだ。。。

一緒に育ったレオも死んだ。。。

旅で出会ったロードさんたちも。。。

スネピハや“戻りの森(リバースフォレスト)”の人たちもみんなみんな死んだ。。。!!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。。。!!!!!!!!!!!!!!!!!」


何か大切なモノが壊れる音がした。。。

心が、脳が、精神が、口から悲鳴となって鳴り叫ぶ。。。

自分が自分じゃないような。。。

五感も全てを失った感覚。。。

ショックのあまりエナへと変わり消えてしまったのだろうか。。。?

それも悪くない。。。

みんなが居ない世界なんてあっても仕方がない。。。


「はい、完成」


薄っすらと声が聞こえた。。。

胸には冷たい感覚。。。

そして暖かなものがじわりと染みる。。。

重い瞼を少し上げると霞んだ目に映ったのは

胸元に深々と刺さった黒い短剣だった。。。


「なんだ。。。まだ、生きてたんだ。。。私。。。」


その言葉を最後に私の意識は真っ暗な微睡(まどろみ)の底に堕ちた――――。。。

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