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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 心呑まれし堕黒の姫
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三話 カテスの目的地

ハーフは朔桜を信頼し、自身の知る情報を惜しみなく開示する事を決意した。


「早く教えてくれ!」


「君がカテスの事で焦っているのは分かるけど、まずはあの影の事だ」


急くレオを(たしな)め、ハーフは順序をつけて話す。


「陽炎のような赤黒い影。メサ曰く

空間を侵食し、どの世界にも自由に行き来する事が出来る存在らしい。

僕らが待機してた暗闇の空間は多分世界と世界の狭間のような場所だった」


「随分と滅茶苦茶な能力ね」


シンシアが呟くとハーフは呆れる。


「あんたも大概だよ……」


その言葉に皆は頷く。


「え? え?」


シンシアは自覚なくキョロキョロと周りを見渡す。


ハーフは咳払いをすると話を続ける。


「僕の予想だと恐らく、あれは神だ」


「神?」


朔桜は首を傾げる。


「フォン・ディオス……ロードの方ね。あれが使役する神々と同等の位って事さ」


「そんな! ロードの神々でさえこの世界に顕現出来るのが不思議なのに

神が堂々と存在しているなんて!」


シンシアはハーフの言葉に苦言を呈す。


「真相は僕にはわからないけど、あの能力は普通じゃない。

僕らとは格が違う異端なのは確実だ」


「私もそう思う」


「ノアもー」


実際にその能力の一端を見た朔桜とノアとレオはハーフの意見に賛同する。


「そして、あの影に従う悪意の精鋭“九邪”。

【解放】のメサ・イングレイザ。

実際に見た訳じゃないけど、その他にも四体くらいの気配は感じた」


「それでも四体。五体足りないゾ」


「他四枠は知らないけど、一枠は絶賛募集中で九邪候補として選別している最中だそうだ。

僕も立候補したけど即、弾かれたよ」


「あぁ確か、Dr.はその九邪候補だったって言ってた~」


ノアはふと思い出した事を呟く。


「そういえば、カテスの野郎も自分を“九邪”【誘惑】候補って言ってやがった!」


つられてレオもカテスとの戦いでの会話を事を思い出した。


「候補は“九邪”になるために試練が与えられるらしい。

それが何かは資格の無い僕には聞けなかったけど、成果を上げるって事だと思う」


「成果? それがキリエになんの関係があるんだよ?」


「それは候補者のみが知る事さ。多少、今後の参考にはなったかな?」


「うん。ありがとハーフ」


朔桜はハーフにお礼を言うと今後の方針を決める。


「その“九邪”になるために成果を上げたいのなら

また何かを大きな事を起こす可能性が高いよね?

それを私たちに邪魔されないようにキリエちゃんを人質にしたのか

キリエちゃんを利用するのかは分からないけど、どこかで何かを起こすに違いないと思う」


「何処かって何処?」


ノアは分からないと首を傾げる。


「私の推測だと私とノアちゃん以外邪魔出来ない成果を上げるのにうってつけの場所。

それに以前候補だった人からも話が聞ける場所」


「それって……」


察したシンシアが場所を口にする前に朔桜が自身の推論を締め括った。


「はい。人間界です」


「確かに。世界を渡れない私たちには手が出せない。

でもカテスは影の力で空間を移動すれば容易ね」


朔桜の予想に同意し、シンシアも深く頷く。


「朔ちゃん、突然頭良くなったね。まるでロードくんみたい」


ノアが褒めると朔桜は頬を赤く染め、パチパチと余計に瞬きをした。


「ごほん! とにかく、私とノアちゃんはDr.から話を聞くためにも一度人間界に戻った方がいいと思います!」


「うん! ノアもそれに賛成!」


「待ってくれ! それじゃ、僕はどうなるんだ!?」


突然の朔桜の提案に腹を割って話したハーフは

ここで見捨てられるのかと思い慌てだす。


「大丈夫! 秘策があるから!」


「秘策って?」


ハーフは不安そうに首を傾げた。


「もし出来なかったら恥ずかしいから秘密で!」


「勘弁してくれよ」


「とにかくっ! 行こう! 人間界!!」


こうして朔桜一行の目的地は人間界に決まったのだった。

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