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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
五章 残全生落 悪意の災
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四十話 裁きの調停者

精霊神を倒した直後、異空間に捕らわれた俺が対峙するは一人の女。

あの両翼を見れば一目で分かる。四界の一つ、天界出身の天使だろう。


「天使が俺に何の用だって?」


敵意を剥き出しにするも、相手は冷静沈着。表情の一つも変えやしない。


「神域に至りし者への審判ですよ。四界で一定以上のエナを得た者は

世界の敵として我々、“裁きの調停者(テスタメント)”の審判にかけられます」


「テスタメント?」


「我々、十二の神々。世界の安寧(あんねい)を守る調停者(ちょうていしゃ)を指します」


「安寧を守る……調停者ねぇ……。

俺なんかよりもやべぇ奴らは数えきれんほどいるぞ。

なんなら優先して紹介してやるよ」


俺の言葉に女は笑う。


「世界滅亡級の力を持とうと、実際に世界を滅ぼそうと、(わたくし)たちは関与する術はありません。

ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()それが私たち“裁きの調停者”の役目なのです」


「はっ! とんだ欠陥集団だな」


「ふふ……私もそう思いますよ。

しかし、それが“四界の法(しかいのほう)”ですので。

私たちがどうする事も出来ません」


「世界を滅ぼすほどのエナがあれば、善悪問わずに問答無用で裁くってか」


「まあ、端的に言えばそうなりますね」


女はそんな理不尽をあっけなく認めた。

この女の言葉に嘘偽りは無い。

俺は今、神々の審判ってやつにかけられているのだろう。


「で? 俺は何をどう審判されるんだ?」


「方法は単純明快ですよ。

私を殺せば、貴方の勝ち。私に殺されれば、貴方の負けです」


「なるほど。お前を殺せば、ここから解放されるんだな?」


確かにこの女は神と称しても申し分の無い強さだが、こっちにも神はいる。

神域に至ったらしい俺と正真正銘の神々《八雷神》ならば、どうにでもなるだろう。


「いいえ。残念ながら、ここは宝具で四界と隔絶された場所。

言ってみれば、世界の狭間のようなモノ。

神の審判にかけられたが最後。貴方はもう二度と四界に帰る事は出来ないのです」


「二度と帰れない……だと……? ふざけるなっ!」 


何が審判だ。この空間に捕らえられた時点で無期懲役。最悪、死刑じゃねぇか。

どうにかする方法はある。あるはずだ。

こんなところで素直に終わってたまるか。


「……落ち着け。落ち着け」


カーっと頭に上った滾る血を冷ます。

まずは、こいつを倒さなきゃ何も始まらねぇ。


「俺はお前を倒して元の世界に……奴らの居る場所に帰る」


その言葉を聞いて女は笑みを浮かべた。


「今まで審判を下した皆も口を揃えてその言葉を口にしていました。

ですが、誰一人として帰る事無く、私に吸収されていきましたよ」


その言葉の重圧は今の俺には抜群に効く。

こいつ、見かけによらず心理的にも仕掛けてくる性格かよ。


「失礼。自己紹介が遅れましたね。

“裁きの調停者” Ⅵ席(シスト) シエラユースが此度の審判を下します」


魔界雷国(エベレリオン) 黒極の地(ゼノ) 統治者。

十二貴族(じゅうにきぞく)”フォン・ディオス家の第二王子。ロード・フォン・ディオス。

お前を倒し、このふざけた空間をぶち壊す者だ」


互いに名乗りを上げ、神域に至りし者同士の戦いが幕を開けた。

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