二十話 シンシアVSハーフ
シンシアと朔桜が対峙する相手は
几帳面にも丁度半分が交互に色の違う青年。
右半分が黒髪、白い睫毛、黒い瞳、白いシャツ、黒いズボン、白い靴。
左半分が白髪、黒い睫毛、白い瞳、黒いシャツ、白いズボン、黒い靴。
全てが半分ずつ異なっている。
「こいつが私の攻撃を防いだ奴ね」
「どうも。僕はハーフ。お姉さんは僕が殺すね」
「朔桜、下がってて。こいつヤバそうよ」
「はいっ! シンシアさんも気を付けてください!」
「ええ。十分に痛い目に遭ってきたから大丈夫」
シンシアは自虐しつつも笑みを浮かべる。
「そんな警戒しなくてもあっちの子は殺さないよ」
「変な油断を誘おうとしても無駄よ」
「いやいや、ホント。殺すなって言われてんだ。
あ、それ言っちゃダメなんじゃね?
そうだよ、ダメなんだった。
忘れてもらおう。
忘れてもらわなくても殺すから関係なくね?
そうだな、ないよな」
ハーフは自分で自問自答を繰り返す。
「まあ、とりあえず死んでくれ」
ハーフが右手で手刀を繰り出す。
その動作を見て、シンシアはなんとか横へ飛んでかわした。
すると、シンシアの背後の鉄の塊のようなガンダルの木が
くり抜かれたように易々とへし折れる。
「何をしたか知らないけど……食らったら終わりみたいね」
今のを見ては何が何でもかわさなくてはいけなくなった。
シンシアは以前の戦いで風の回路が焼き切れ
空気の流れを読んで攻撃をかわす事はもうできない。
今かわせたのは、エルフが持つ動体視力と反射神経。
シンシアが鍛えてきた集中力。
そしてほんの少しの運が味方したからこそだ。
「お姉さん勘がいいね。
だね、それに運もいいみたいだ。
でも次はそうはいかないよ。
そうそう」
ハーフは左手で手刀を構える。
それと同時に今後はシンシアも矢を放った。
「デネブ!」
火の精霊デネブの力を借り、鉄の矢に大きな火炎を纏わせ
真っ赤に熱された矢がハーフを狙う。
ハーフは咄嗟に身体を右側に向け、左手で手刀を繰り出す。
すると矢は炎ごと忽然と消え去った。
「大体掴めたわ。貴方の能力」
「そう? 僕の能力が分かったところでお姉さんに勝ち目は無いよ。
そうそう」
「なら、試してみましょうか」
シンシアは矢を一本番える。
「この一本で勝負を決めるわ」
堂々とした宣言。
それにハーフは噴き出す。
「ぎゃはは! 何言ってんのお前!
あいつアホだ! 今の今まで何を見てたってんだ!
いいぜ、こっちもこれで決めてキメてやろうぜ。
そうだな、それがいい!」
自分と会話しながらハーフも次の一撃に勝負を賭ける。
先に動いたのはハーフ。
身体を左側に向け、右手で手刀を振るう。
「じゃあね!!」
ハーフの能力《縦断》は手刀を縦に振ると空間を切り取る斬撃が出る。
その大きさは自在だが、大きいほど身体に掛かる負荷も大きく。老いる速度が速い。
斬撃は左右交互にしか出す事が出来ず、右手で振れば、左側から。
左手で振れば、右側からと能力も見た目と同様にちぐはぐな能力だ。
ハーフの動きに合わせ、シンシアは冷静に、冷酷に矢を放つ。
「星々は世界を渡る」
放たれたは矢は、忽然と消えた。
その瞬間、ハーフは勝利を確信。
「勝った!! 死ね!!」
崩しの爆発を警戒して、最大に広げていた斬撃を小さく絞り、シンシア一点に狙う。
だが、矢が消えたのは、ハーフの《縦断》の効果ではない。
シンシアが意図的に別次元、超異空間に消したのだ。
「終わりよ」
消えた矢はハーフの前に出現。
「え」
不意の矢がハーフの左腕を貫く。
シンシアは周囲に砂を撒き、斬撃の軌道を読んで、容易に斬撃を回避した。
「確かに強い能力だったけど、私の方が一枚上手だったみたいね」
「くっそ!! この女ぁ!!」
「それ以上抵抗すると、命は保証しないわよっ!」
「くっ……」
眼球の前に矢を向けられ、ハーフはそれ以上の抵抗を止めたのだった。




