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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
五章 残全生落 悪意の災
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十九話 カシャVSハンマーヘッド

カシャが対峙する相手は

鋼鉄製のマスクを着けた目つきの悪いスキンヘッドの男。

グレーの袖の長い作業用囚人服。

首と両手には重そうな金属の枷。

枷は長く巨大なチェーンで繋がれており、足元ある頭より大きな鉄球に繋がれている。


「俺はハンマーヘッド。精々楽しませてくれよ」


樹国(ウッドデッド) 快楽の地(マヒロン)の罪人 ハンマーヘッド。

薬物の中毒者にして、男九、女六、計、十五人を殺した殺人犯。

樹の魔術を得意とする魔人だ。

だが、カシャは気張らずに肩の力を抜き、腕を回して指を鳴らす。


「私はカシャ。お手柔らかに願うゾ!」


名乗りの直後、最初に仕掛けたのはハンマーヘッド。

両手を勢い良く振り、百キロ近い鉄球を浮かせた。

足を軸に回転し、本来は枷であのはずの鉄球を攻撃手段として操る。


「くらえ!」


鉄球が迫るがカシャは軽々とかわす。

大地が(ひび)割れるほどの抜群の破壊力。


「ふむ……」


カシャが一考している間にも、再び鉄球が襲い掛かる。


「隙ありだ!」


頭上からの鉄球攻撃。

再びかわすと思いきや、カシャは鉄球の攻撃をその身一つで受けた。

その衝撃で地面は砕け、足は地面に沈み込んでいる。


「まだまだだゾ!」


カシャは頭の上でがっしりと鉄球を受け止めていた。


「小賢しい!」


ハンマーヘッドは鎖を引き、鉄球を戻そうとするが、鉄球はビクともしない。


「はっはっは! その程度の力じゃ動かんゾ!」


「くっ! なんて馬鹿力だっ!」


「ジェンツーチョップ!」


手刀で太くて強固な鎖をいとも簡単に断ち切る。


「バカな! 素手で鎖を切っただと!?」


「返すゾ! カイクルシュート!」


鉄球をサッカーボールのように蹴り飛ばす。


「はや――――」


百キロを超える鉄球がハンマーヘッドの顔を直撃。

その身体は力無く地面に倒れた。

だが、カシャはまだ戦闘体勢だ。

以前の戦いで油断はしてはならぬと学んでいる。


「まだ生きているのだろう? 演技は必要ないゾ」


カシャがピクリとも動かない身体に声を掛けると、むくりと起き上がった。

ハンマーヘッドという名の通り、その頭は鉄球の直撃を受けても割れないほどの強度を持っていた。

額は僅かに赤く腫れてる程度。血の一つも出ていない。


「まさかここまでの手練れだとは思いもしなかった。

この俺が魔術を使う事になるなんてな!!」


ハンマーヘッドは手の枷を自ら引き千切り、両手は自由に解放された。


「俺を解放したんだ。まともな死に方は出来ないと思え!」


「はっはっは! 面白い事を言う! 解いたのはお前だゾ!」


カシャが気楽に笑っているとハンマーヘッドの袖から大量の木の根が広がる。


樹手(じゅって)!」


先端が鋭く尖り、槍のようになった数十本の根がカシャを襲う。

カシャは素早い身のこなしで後方に下がるが、根は必要に追って来る。

大きく広がった根は、遂にはカシャを取り囲んだ。


「もう逃げ場は無い。俺の勝ちだ。死ね!!」


ハンマーヘッドは勝利を確信した。

だが、世界は広い。いや、多い。


「シュレーターダッシュ!」


カシャは猛烈な速さで無数の木の根を真正面から()(くぐ)る。


「なにっ!?」


「からの――――コウテイパンチ!」


「がっ――――」


カシャの強烈な拳は凶悪犯罪者の心臓をその腕一つで

軽々と打ち抜いたのだった。

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