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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
五章 残全生落 悪意の災
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十六話 風神封縛帯

日食の一日前。

ロードたちはクェア村に無事帰還。

一同は各自準備万端の状態で合流。

朔桜の宝具に十分にエナが貯まり

シンシアの集中力は遥かに増し

レオの戦闘能力は見違えるほどに上昇していた。

全員はチェイビの家に集まり当日の作戦を立てる。


「まずは私が詳細に説明するわ」


シンシアが一同を見渡し、全員が頷くと話を始める。


「“風神封縛帯(シドラスネメス)”。千二百年前、六の大賢者と万の賢者たちの命を費やし

究極の鍵 “神鍵(シンキ)”と究極の錠 “神錠(シンジョウ)”で

精霊女王が生み出した六体の精霊神の一体 シ・セウアが封じられている土地」


戻りの森(リバースフォレスト)で戦って封じたのか?」


ロードが率直に疑問を口にした。

それもそのはず、戻りの森に賢者がぞろぞろと入れるわけがない。


「いいえ。風都市イプールで封じた後、精霊人が立ち入れないように

戻りの森に封じられたと聞いているわ。

レオの冒険譚はテッサロッテが本を書いて語り継がれてきたけれど、シ・セウアは違う。

費やされた命を含め、その存在は闇へと葬られた。

それを覚えている存在なんて、賢者たちの子孫か長命なエルフくらいじゃないかしら」


「世界を滅亡級の存在を隠匿(いんとく)するのか」


「自分の家の近くにそんなモノが封じられてると知ったら不安に思うでしょ。

だから長い時間をかけて隠匿したのよ。

でも、シ・セウアの神錠の封印は神鍵が無ければ、開く事は決してないけどね」


「なんでわざわざ鍵なんてもんを作るんだ?」


ロードは非効率だと言わんばかりに口を出す。


「錠を解かさないためよ。言ったでしょ。()()()()()()()決して開かないの」


シンシアの言葉でロードはすぐさま納得する。


「……なるほどな。その神鍵とやらを壊したのか」


「そう。だからあれは開く事のない錠なのよ。

そいつらはどんな方法であれを解くつもりなのかしら?」


絶対に解けない錠を前にシンシアは神妙な面持ちで方法を思考する。

だが、その答えが分かるロードは当然の如く答えた。


「そんなの真正面からだろうな。メサって魔人の能力はおそらく“解放”。

奴にはどんな結界や封印も通用しない。

封じられたモノを解くって能力だと俺は推測している」


「私もその意見に同意だゾ!」


「私もそう思います! 私の精霊界の記憶の封印を解いたのもメサの能力がきっかけだと思う」


メサを知っているカシャと朔桜もロードの推測に同意した。


「精霊神を復活させないために、俺らが真っ先に潰すべきなのは、魔人メサ・イングレイザだ」


この情報を踏まえ、一同は作戦を練る。

この戦いに退路はない。

勝つか負けるか二つに一つだ。

結果、前衛のロード、ノアが速攻で切り込む。

中衛のシンシアと朔桜が二人を援護。

後衛のカシャ、レオ、キリエが朔桜を守る。

メサは見つけ次第、最優先で狙い討つ。

影は今のところ対処のしようがないので、戦いは避けるという決定だ。


当時の早朝は不気味なほどに静かだった。

鳥の(さえず)りも、草葉の騒めきも聞こえない。まるで嵐の前の静けさだ。


「皆さま、お気を付けて」


「検討を祈る」


手を振るリクーナと、手を握り合わせ祈るチェイビに見送られ、一同はクェア村を旅立つ。

道中に敵の妨害やハプニングは一切無く

ロードたちは六時間の移動の末、目的の地“風神封縛帯(シドラスネメス)”へと辿り着いた。


「ここが風神封縛帯か」


一帯が開けた広い土地。

そこに“精人門(せいじんもん)”が隠されていた大岩のようなものが等間隔で七つ配置されてる。

七つの岩には白い縄が結び合わされ、真ん中の大岩には巨大な錠が付いている。あれが神錠だ。

そして、その錠の前に数体の人影が見えた。


「やあ、随分とお早い到着だね。約束破りのロード・フォン・ディオス」


皮肉交じりで明るく声を掛けたのは、魔人メサ・イングレイザ。

精霊王の確実な始末という条件でロードの脳の容量を解放するという取引を行った。

だが、実際にはロードは精霊王を倒しておらず、エナを吸収する事もしなかった。

それをかなり根に持っているようだ。


「まあ、僕も最初から君の約束を破っていたからいいんだけどさ」


不敵な笑顔。

その意味はロードには分からないが、言われっぱなしじゃロードの気が済まない。


「お前は何度も何度も、雑用ばっかで使いっ走りも大変だな」


「大丈夫、僕の仕事はここで一段落さ」


「その前に俺が永遠の休暇をくれてやる」


「やれるものなら、どうぞ」


背後に控えた黒いマントを被った四体がメサの前に出る。

四体からは明確な敵意を感じた。

同時にロードたちも事前の作戦通り決めた立ち位置の戦闘態勢に入る。


「さぁ、戦闘開始だ!」

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