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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
五章 残全生落 悪意の災
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十四話 戦闘訓練

戻りの森の中に、拳と拳がぶつかり合う激しい肉弾戦の音が響く。


「反拳!」


レオは自身の能力《反拳》でカシャの拳の威力を倍増させて跳ね返す。

だがカシャはそれよりも早く手首を返し、レオの手首を掴み衝撃の反射先を誘導し衝撃をかわした。


「っ!」


「ハッハッハ! まだまだ反射が遅いゾ!」


「くっそっ! もう一回っ! もう一回お願いしますっ!」


「うむ!!」


ロードたちが旅だってから早十日。

レオとカシャは二人で鍛錬を続けていた。

圧倒的格上のカシャが先生となり、レオに稽古をつける。

レオのガントレットは先の戦いで壊れ、今は精霊術を絡めた攻撃は出せないが

素手で攻撃するようになってから、自分の能力《反拳》の勝手を理解してきていた。

こうしてレオは反拳の反射速度を上げ

カシャは戦いの中で新たな動きや戦術を考えてゆく。

レオの戦闘の動きも大分さまになってきた。

キリエの胸の内を知り、レオはより一層自身の訓練に身を入れていた。


「よし、茶髪。一度本気で手合わせしてみよう」


「えっ! カシャさんも本気でやるんすか?」


「いいや、私は手を抜く。私の力をどこまで引き上げられるか試してみろ。

茶髪は本気を出せ。一回殺すくらいの気持ちで来るといいゾ」


「おっしゃ! 殺ってやりますよ!」


レオは指をパキパキと鳴らし息巻く。

二人は一定距離離れるとカシャが手を上げ、振り下ろす


「スタートだ!」


カシャの合図と同時にレオは飛び出した。

その速さはロードたちと出会った頃の比ではない。

いくつもの強敵を渡り合い死線をくぐり抜けて来たレオは

いつの間にか一人前の漢になっていた。

カシャは仮面の下で笑みを浮かべ真正面から突っ込む。

両者拳を構え打ち出す。


「反拳!」


「コウテイパンチ! と見せかけて――――」


くるりと身を翻す。


「フンボルトキック!」


意表を突いた不意の蹴り攻撃をレオは顔面スレスレでかわす。


「うおっと!」


「甘い! アデリーラリアット」


全体重を載せた剛腕から繰り出されるラリアットを

レオも全体重を前に掛け、手の甲で受け止めた。


「反――――」


レオの掛け声と同時に、カシャは反拳を警戒し、腕を離した。

無理をした回避行為で僅かに体勢が崩れる。

レオはそこを見逃さない。


「――――拳!!」


ラリアットで溜めた衝撃をカシャの腹部を狙い打ち込む。


「ぐっ!!」


カシャは腹を抑え後方へ退くが、レオはそれを予測し、同時に追撃。

渾身の一撃とばかりに振り翳した一撃を打ち込むが

カシャは容易にかわし、拳は地面を打つ。


「そんなに遅い攻撃じゃ――――」


そう言ったカシャは違和感を感じた。

レオの渾身の一撃なら地面を砕いてもおかしくない威力。

だが、地面はまるっきりの無傷だった。

その答えは


「終わりっすよ」


レオが拳を構えると、カシャはその行動の意味を理解した。


「反拳!!!」


放たれたのは、拳と地面がぶつかった時の衝撃波。

レオはわざと地面を殴り、その衝撃を溜めてカシャに放ったのだ。

カシャは咄嗟に手を前に出し、精霊術を唱えた。


「木替え!」


カシャと同等の木人形が出現。

カシャの代わりにレオの反拳を受け、抉れ飛ぶ。


「んなっ! 精霊術!?」


「この精霊術を使ったのは、()()()()()()だゾ」


意表を突かれたレオは、カシャの拳の直撃を顔面に受け、大地に倒れたのだった。

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