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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
四章 輪廻凱旋! 都市奪還作戦
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四十二話 刻は止まる

一人と一体は示し合わせたかのように同時に加速。

目先の相手に向かって飛び出した。

キーフは《弾》をかわし、午の刻の腹一点を狙う。

午の刻は腹の蹴り上げをかわし、《弾》でキーフを弾き飛ばそうと試行する。

一進一退熾烈(しれつ)な攻防。

激戦の余波は周囲の建物を吹き飛ばすほどに

強烈な戦いを繰り広げる。

その激闘をレオたちの目は捉える事が出来ない。

二人の速度はあの魔人、ロード・フォン・ディオスをも凌駕している。

生命が十万を超える今のスネピハでこの速度を視認できる生命はたったの四体。

宝具【鵜の目鷹の目】を持つノア。

動体視力の優れたエルフであるシンシア。

精霊王アーガハイド。

“精天機獣”十二刻最強丑の刻だけだ。


「一体、下で……何が起きてんだ……?」


レオは石柱の上でキリエに抉られた腹の応急処置をしてもらっていた。

命に別状はないが、戦いに参加できるほどの力は残されていない。


「今、お兄ちゃんが一人で精天機獣と戦ってくれてる。。。」


「キーフさん一人であんな化け物相手にするなんて無理ですよっ!

僕たちも援護に行きましょう!」


「とは言っても、俺はこの有様。お前らもどうせ足手纏いにしかならないぜ」


イツツは悔しさと虚しさで唇を噛み締める。


「大丈夫。相棒は勝つぜ」


「その根拠はどこから来るんですか!」


「あいつ、()()()()()って言ってたから」


「そんな理由で――――」


「そんな理由で十分。仲間を、俺の相棒を信じるにはな!」


レオの笑顔には一抹の不安も感じない。

真に心の底からキーフを信じている顔だ。


「小癪。小癪! 小癪!! 小癪!!!」


午の刻も余裕が無くなり、やたらめったら《弾》を打つ。

生身の身体部分にガタがキているのだろう。

それはキーフの身体も同様だった。

強化されすぎた足に上半身がついていかない。

重心が少しでも後ろに傾けば、吹き飛ばされてしまいそうな程に不安定。

前傾姿勢を保ち、自分の速度を気合でコントロールするしかない。


「どてっ腹がお留守だぜ!!」


キーフは午の刻の蹴りをかわし、午の刻の懐に潜り込む。

最大の好機を逃さない。

右足に最大限のエナジードを込めた。

雷の精霊の宿ったキーフの足の精霊装備に雷の力が最大限に高まり、稲妻が(ほとばし)る。


「精霊脚!!」


ありったけの力を込めて右の足を蹴り上げる。


「笑止。《弾》!!」


午の刻はキーフの精霊脚をかわし、前方斜めに跳ぶ。


「っ! てめぇ!!」


跳んだのはレオたちが待機している石柱の方向。


「標的。我ガ半身ヲ飛バシタ貴様ダケハ、許シテハオケヌ!!」


私怨。執念。選ばれし精天機獣のプライドを打ち砕いた

レオに報復の矛先を向け、絞る。

前脚を構え、攻撃の体勢へ入った。


「させないっ。。。!」


キリエは震えた身体でレオを庇うように前に立つ。

表情から不安と恐怖が見て取れる。

攻撃の瞬間に合わせてキリエが柱を崩そうとすると

レオが優しく肩に手を置いてそれを制す。


「大丈夫。お前の兄貴を信じろ」


「っ。。。。!」


勝利を確信した午の刻の真後ろには怒りに燃え、

鋭い眼光で午の刻を睨みつけるキーフの姿があった。

空中で身体を捻じり、右足だけに力を収束。

渾身の一撃を。

最大の一撃を叩き込む。


落雷脚(らくらいきゃく)!!」


轟雷轟く稲光と同刻。


振り下ろされた漢の足が、背骨としてに一本通る天使の機体を破壊。


同時に下腹部に付いた黄土色の宝石が砕け、刻を守りし午の胴を真っ二つに引き裂く。


「否……定。我ガ……負ケ……ル……ナドォ……」


午の刻は生命の刻みを止め、大量のエナとなり散った。


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