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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
三章 多種多様精霊界巡会記
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五十二話 防五段階と攻五段階

翌日、日が昇りきる早朝。


「起きろう!! 鍛錬の開始じゃあ!!」


大声とともに鳴り響く大鐘の音で

全員は叩き起こされた。

ロード以外は胴着を渡されそれに着替える。


「シャキッとせい!! 今日からこの通りに過ごしてもらうのじゃ。

一分一秒と無駄にするな!」


バンと張り出されたのは一日のスケジュール。

ロード 五時~十一時 組手       十二時~十八時 組手

レオ  五時~十一時 基礎トレーニング 十二時~十八時 組手

キーフ 五時~十一時 基礎トレーニング 十二時~十八時 組手

朔桜  五時~六時  滝行 七時~十一時 精霊対話 十二時~十八時 精霊術 

シンシア五時~六時  滝行 七時~十一時 射術   十二時~十八時 精霊術

キリエ 五時~六時  滝行 七時~十一時 組手   十二時~十八時 精霊術

ノア  五時~六時  滝行 七時~十一時 組手   十二時~十八時 アスレチック


と書いてある。


「ロードは儂が一日見る。レオとキーフはイツツが。女性陣はヒシメが」


イツツは昨日居た坊主の少年。

ヒシメは今朝初めてみる短髪黒髪の二十代後半くらいの女性。

長い睫毛に切れ長の青い瞳。

左口元にある小さな黒子が印象的。

スタイルは抜群で身体のラインが出る柔らかなで緩い薄紫色の服を着て

妖艶な気配を漂わせている。


「では、散!」


合図で皆はすぐに散らばり、ロードとポテは鍛錬場の砂地の庭で実践組手を始める。


「さて、まずはロード。お主の実力を見たい。

能力は無し。自身の体術のみで儂に一撃与えてみなさい」


「手は抜いたほうがいいか?」


「バカを言うな。本気で来い」


「ふん、それじゃ遠慮なく!」


ロードは勢いよく踏み込み、一瞬でポテとの間合いを詰める。


「なるほど。速度はあるのぉ」


ポテの顎を狙い、突き出した掌底は空振る。


「外した? あの距離で?」


本人自身、何が起きたのか理解できていない。

もう一度掌底でポテの顎を狙う。

しかし、それは容易にかわされた。


「なるほど。あい分かった。素の攻撃はその程度のレベルか。

次は儂の攻撃を体術のみで捌ききってみせよ」


ポテは小さく構えると

ロードも同様に構えた。


「いいだろう」


「では、行くぞ!」


ポテの小さな身体が身軽に地を跳ね、惑わす。

視界外から繰り出された小さな拳は四十五発打たれたが

ロードは全ての攻撃を受け止めきった。


「なるほど。素の防御はその程度のレベルか」


「その程度その程度って……評価としてはどうなんだ」


「一二三四五の評価。一が最上だとしたら攻撃は三。防御は四じゃ」


「三と四? 俺が?」


「そうじゃ。何故そんな評価か理解できないじゃろ?

次は自分の全能力を使って儂に一撃与えてみなさい」


「いいぜ。後悔するなよ?」


「時間が惜しい。御託はいいから早くしなさい」


ポテは手でかかって来いと挑発する。


狂雷(きょうらい)! 雷光(らいこう)!」


肉体を強化し、光速に近い速度で風と音よりも早くポテの前に立つ。

そして全力の拳を躊躇なく振るうも、それは軽々と受け流される。


「なっ!」


ロードは驚きのあまり声を出す。

だが、驚いていたのはロードだけではない。


「ふむ、儂でも完全にかわしきれんかった……。術を使えば攻撃評価は二じゃな」


「その評価基準はなんだ」


「最後に話そう。まだ組手は終わっておらんぞ。

次は全能力を使って儂の攻撃を捌ききってみせよ。行くぞっ!」


ロードの顔を狙ったポテの拳を軽々と受け止める。

その瞬間放たれた蹴りも飛翔で後方に下がりかわす。

その後も何度か出された連撃も全て受け止めきった。


「なるほど。防御評価は四~三じゃな」


「で? いい加減その基準は何か言え」


「自分で分からんのか?」


「分からねえから聞いてんだ」


「全く……よいか? まず、戦闘で一番好ましいのはなんじゃ?」


「いかに魔力……エナを消費せず倒せるかだな」


「確かに。それは攻撃面の話じゃな。防御面では?」


「いかに攻撃を食らわないかか?」


「そうじゃ。儂はお前の攻撃を全てかわし、一度も受けていない。

それに引き換えお前はどうじゃ? 何回儂の攻撃をかわさずに受け止めた?

それが儂とお主の差じゃ」


「確かに……避けれないものは全て受け止めていた。その避けれないのが差って事か」


「自身で理解できたかの?」


「ああ、確かに差があると認める。

そのうえでどうやってその差ってやつを詰めればいい?」


「認めるのは良い事じゃ。よいか? 良く聞き、覚えよ。

一、神域は感覚でかわす

二、達人はエナジードを利用しかわす。

三、名人は目でかわす。

四、玄人は攻撃を防ぐ。

五、素人は攻撃を受ける。

これが防五段階(ぼうごだんかい)

一、神域は感覚で当てる。

二、達人はエナジードを利用し当てる。

三、名人は目で当てる。

四、玄人はおおよそ攻撃を当てる。

五、素人は攻撃を外す。

これが攻五段階(こうごだんかい)


「防五段階と攻五段階……」


「お主はエナジードを感じなくとも自身の能力で周囲の環境を利用し

攻撃を当てられる申し分の無い達人の域じゃ。

しかし、防御は受けきるだけの玄人。

この一週間でお主には二段階を目指してもらう予定じゃ」


「二段階上等だ。それすら越えて一段階になってやる」


「その意気込み良し。続けるぞ!」


明確な目標を持ったロードは、その後もポテとの組手を続けたのだった。


一方、レオとキーフはイツツ指導で

基礎体力を上げるためのトレーニングを始めた。


「何だこの木! くっそ重い!」


レオは歯を食いしばって両手で巨大な丸太を持ち上げた。

両脚は重さに耐えかねてプルプルと震えている。


「鉄の塊を背負っているみたいだ……」


キーフは丸太を背中に背負う。


「なんて密度だ……」


「タルタカの木の硬度は石並で密度も石並なんです」


「ほぼ石じゃん!」


「別名植物石と言われています」


「もう石じゃん!」


「もはや、長い石です」


「やっぱ石じゃん!」


レオはツッコミながらダンベル上げの容量で

両手でタルタカの木を持ち上げて降ろすを繰り返す。

キーフは文句を言わず、タルタカの木を背負ったまま

ひたすらスクワットを続けていた。


「基礎の運動は必ず身になります!

一週間後を楽しみにしていてください!」


こうして二人は基礎トレーニングを続けたのだった。

~多種多様精霊界巡会記編 完結~

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― 新着の感想 ―
[良い点] 背景が暗い要素がある割には、雰囲気が明るいです。 [気になる点] ヒロインも属性が“雷”?裏の設定がある感じです。 ただ単に雷を、作者が好きなだけかも。絵的にカッコいいからそれだけかもし…
2021/08/04 19:20 退会済み
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