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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
三章 多種多様精霊界巡会記
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四十九話 精霊契約

辺り一面にはなにもない。

自分の影すらない白い虚無の空間。

そこにポツンと一人の女性が佇んでいた。


「…………」


幻想のように霞む長い白髪の女性。

一直線に揃った前髪は目を覆い隠している。


「貴女は誰?」


「…………」


私が問いかけると彼女は

何かを伝えようと口を動かしている。


「……けてあげて……」


その言葉の後、私はその世界から弾き出された――――――。


「――――何だったんだろう? 今の夢……」


不思議な夢をみた。

異世界に飛ばされたような、脳が実際に体験したような。

現実に対話したような感覚が残っていた。


私たちは、前日の戦闘の疲れを癒すため一日の休養を得た。

精霊神が封印された場所へは、ここから十日ほどあれば、余裕で着くみたい。

二十日あまりの猶予は、私たちに束の間の休息をくれた。

これからの移動はそんなに急ぐ必要はないみたいだ。


ロードとレオくん、キーフくんは体術の強化のため

人気の少ない場所まで修行に行ってしまった。

シンシアさん、リクーナちゃんは旅に使う日用品の買い出し。

食品や寝る時の毛布などを買いに足しに行った。

ノアちゃんは念のため今日一日はベッドで休息中。


「すぅ~~」


隣のベッドで小さな寝息をたてぐっすりと寝ている。

キリエちゃんはその横でノアちゃんの寝顔をずっと眺めていた。

私も記憶の件もあり、念のために休養中である。

ベッドの上に大の字で仰向けに寝て、ぼんやりと天井を見つめていた目を閉じる。

メサ・イングレイザの出した蝶に触れて気を失い、目が覚めると頭に浮かぶ小さい頃の記憶。

脳内で巻き戻る記憶の断片。それを一つずつ辿る。

思い出す情景は、自然豊かな森の中。

そうだ。私は幼い頃ここで、この精霊界でお母さんと一緒に暮らしていた。

背の高い木々が鬱蒼(うっそう)と生い茂る深い森の中。

透き通った空気、底が見える程に綺麗な水の湧き出る泉。

色とりどりの小さな精霊たちが飛び回り、森を駆け回って過ごした日々。

耳の長いたくさんのエルフたちと囲んで食べる美味しい御飯。

封印されていたせいなのか、子供の頃の記憶だからなのかは分からないが、記憶は断片的だ。

偶然にも、私たちがこれから目指す場所はエルフたちが住むという“戻りの森”。

恐らく、そこに行けば記憶に繋がる事が分かるかもしれない。

そうすれば、お母さんの行方。

私だけがこのペンダントの宝具を使える理由。

世界の門の結界に阻まれず、別世界に渡れる理由。

幼い頃過ごしていた精霊界記憶を封じられていた理由など

私の多くの謎が解けるかもしれないという期待があった。

つい前まで普通に高校に通っていた十六歳が抱えるには、あまりに重く深い謎ばかりだ。

私自身も私が何者で何なのか悩んだ。その答えを一刻も早く知りたい。


「ふぅ……」


おでこに手を当て熱を測る。

色々と考えすぎだせいで少し疲れてしまった。

重い身体を起こし、気分転換に外の空気を吸いに部屋から出ると

どこからともなくふわふわと黄色い光が漂う。

これは以前、ホノポ村に向かう途中に私の周りを飛んでいた雷精霊。

恐る恐る、左手を伸ばす。

すると手に触れた瞬間、雷精霊は激しく光り、私の手に溶けるように消えた。


「あれ? いなくなっちゃった……」


手に隠れていないか探していると、キリエちゃんが私を追うように部屋から出てきていた。


「契約したんですよ。。。」


「契約って??」


「精霊術を使うには、自分の適正属性の精霊に回路を開くのを補助してもらってエナジードを使うんです」


「じゃあ、今ので契約したって事は、私も精霊術使えるの??」


「おそらく。。。今のは雷精霊なので、朔桜さんは雷属性みたいです。

私のお兄ちゃんと同じですね。。。」


私もロードたちみたいに魔法が使えると思ったらなんだか興奮してきた。


「凄い、凄い!」


「今、試しに精霊術やってみますか? 雷の簡単な術だと確か……エレですね。。。

何回か深呼吸して吸った息を指先に流すつもりでエレと唱えれば出るはずですよ。。。」


私は言われた通り深呼吸を数回繰り返し、大きく息を吸った後、人差し指に意識を集中させる。


「エレ!」


体内の血管が広がったような感覚の後

指先から黄色い光が現れ、空に向かってふらふわと飛んでいく。


「出た!!! 出たよ!!」


私は初めての精霊術に胸を高鳴らせていた。


「凄いです。。。! 一発で使えるなんて。。。」


「私、才能あるかな!?」


「ありますよ。。。!」


「本当ぉ!? じゃあ私もみんなの役に立つために精霊術頑張るぞぉ!!」


一人でオーっと手を伸ばす。何だか気合が入ってくる。これもエナの力なのかもしれない。

先の不安な悩みは、身近にやる事を見つけていつの間にか

どこか遠くに飛んで行ってしまったのだった。

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