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10.自分の居場所
「ただいま、ヴェルエ」
「おう、お帰り。……あれ、エルダも一緒?」
「うん。晩ご飯、一緒に食べる? って聞いたら、食べるって」
グレイスは、エルダに一緒に夕食を食べないかと誘って、下校した。
今日だけ、とエルダはその提案に応じて、一緒にグレイスの家にやってきた。
「珍しいな。晩ご飯一緒に、って」
「邪魔じゃなければ」
エルダがそう言うと、ヴェルエは少し驚いたような表情をしたが、すぐにいつも通り元気な様子になって、言った。
「邪魔なわけねぇじゃん。よし、今日は腕によりをかけて作るからな! 楽しみにしてろ!」
そう笑顔で言ったヴェルエは、どこか振り切れた表情をしていた。
ヴェルエは、今朝のグレイスとのやり取りで、気づいたのだ。
グレイスとは家族以上の関係にはなれない、そして、エルダの事が好きなんだ、と自分でちゃんと答えを見つけたのだと。
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