表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/70

9.その心の答え

「お父さんは、お母さんのどこが好きなの?」


 幼いグレイスはアドゥンに問いかける。

 その問いに、柔らかい笑みで答える。


「お父さんはね、お母さんのまっすぐで、でも少し不器用なところが好きだよ。甘え下手で、しっかりしてないお父さんをフォローしてくれるところも、全部がね。それに、これからもずっと、お父さんはお母さんを好きでいるだろうね」


「どうして?」


「お父さんが好きだと、ずっと一緒にいたいと思うからだよ。それに、それはいつかグレイスにも訪れるんだ。好きだと思える人がいて、一緒にいたいと思える人が出来る日が、必ず」



 幼い頃に、そんな事を聞いた事が一度だけあったな、とグレイスは夢の中で思い出す。

 お互いの思いは、最終的には違えてしまったけれど、その頃はお互いの事を大切だと思っていたはず。


「好きだと思える人がいて、一緒にいたいと思える人、か」


 グレイスは夢から覚めて、夢での言葉を呟いた。

 それが恐らく、今、という事なのか、グレイスにはよくわからなかったが、その気持ちは自然にわいてくるのだろう、と考えた。

 ここのところ、朝から頭をよく使うな、と不意に思い、少しため息をついた。


「巻き込んでるレーヴェにも悪い事してるのかな」


 ぽつり、呟く。

 だが、レーヴェの事だから、気にしないよ、と言われるのも目に見えた。


「もうちょっとだけ、レーヴェには我慢して貰おう」


 やっぱり、今の段階では、心の靄は晴れなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ