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8-9

「惜しい」


 今日の夕食はオムライスだった。

 確かに、昨日よりはヴェルエの料理の腕は上達したように見えた。

 中に入ったライスは、ケチャップのものではなく、バターライス。

 全体的に味がうっすらぼやけている感覚のオムライスだった。

 二人の感想はまさにそれだった。


「何か足りないんだよね……」


「でも、何が足りないかわからない」


 二人がそう言いながらも、ヴェルエが頑張って作っているのを知っているから、全部平らげることにした。


「やっぱ味付けって難しいな……。どうやったら口に合うのかわかんねぇ」


 ううーん、とヴェルエも困っている。

 そんなに簡単に料理が上達するなら、シェフとか、料理人とかいらないと思う、とグレイスは思った。


「……あと、ヴェルエって、バランスとか考えないよね」


「あぁ、確かに」


 グレイスが料理している時は、全体的にバランスを整えた食事だった。

 ただ、今のヴェルエの料理はバランスがない。

 主食しかない、と言う方が正しいのかもしれない。

 グレイスの今日の昼食のお弁当しかり、だ。

 昨夜のキャベツの千切りも、決してバランスが取れたものだった、とは言い難かった。

 グレイスとレーヴェの批判がぐさりぐさりとヴェルエの心に刺さってはいたが、決してそれに折れるような事はなかった。

 ただ、ほんの少しだけ、料理の才能がないのだろうか、とヴェルエは感じてしまった。

 それでも自分の好きなグレイスのために、美味しいものを作れるように頑張ろう、すぐに頭を切り替えられるところが、ヴェルエの長所でもあったのかもしれない。


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