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8.恋愛見習い
「とりあえず、二人とも。一旦落ち着いて。グレイスは、今パニックに陥ってるよ」
その場で冷静だったのは、レーヴェだった。
目の前のグレイスはただただ困ったような表情をして二人を見ていた。
グレイスの頭の中でぐるんぐるんと二人の言葉が反響している。
鮮明に〝好きだ〟という、たった三文字が。
「またグレイスをひきこもらせる気なの? 二人とも」
レーヴェが呆れたように言って、グレイスに言った。
「グレイス、二人とも多分答えはそんなに焦ってないよ。だから、グレイスがゆっくり考えればいいと思う」
「……うん」
返答は、あまりに覇気のない、ぼうっとしたような声音だった。
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