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1-5

 食堂から教室に戻り、何度も何度もエルダに「宿題を写させて!」と頭を下げられるので、あまりにも面倒になったグレイスは「もう次はないから」と釘を刺して、宿題のノートを貸した。

 マッハで写し終えた頃には、ちょうど授業時間を知らせるチャイムが鳴っていた。

 現在、教壇に立つレナード先生は、いつものように授業を開始している。

 教室のクラスメイトたちは真剣にその授業に向き合う。

 気の緩みを見せたら、レナード先生の機嫌を損ねるのを全員が知っているからだ。

 今日の授業は、〝魔女の成り立ち〟。

 グレイスにとって、今日の授業はいい気分にならない授業内容だった。

 悪魔と契約した者が、それに基づいて力を借りている。

 脳裏にちらつく、夢の内容。


 ――どうして。


 その先の言葉こそ夢でも出ないが、父を殺したのは間違いなくそれだ。

 授業を受けながら、心の中で苦しんでいた。

 幼い自分と、今の自分が、そこに同じくして。

 ふと、顔色が悪いのに気づいたのか、レナード先生がグレイスを見た。


「顔色が優れませんが、大丈夫ですか? グレイス・マルスモーデン」


 心配そうに問いかけられて、ふと我に返った。


「……大丈夫です。続けてください」


「そうですか。もし体調が悪いなら、すぐに申し出てください。わかりましたね?」


「……ご心配、感謝します」


 グレイスはそのまま授業を受ける事を決めた。

 自分は、逃げてはいけないと。

 父を殺したそれが、魔女である、というはっきりとした事実を自覚して。


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