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「なぁ、レーヴェ。グレイスの好きなもんって何だと思う?」
「それで部屋から出るのを釣ろうとしてる?」
「若干」
「……今は少し難しいんじゃないかな」
「……やっぱ無理か……」
二人はそんな会話を交わしながら、深いため息をつく。
グレイスが負った心の傷は、他の誰よりも深いものだった。
それを理解しているが故、二人もお手上げ状態、と言わざるを得ない状態なのだ。
「なんでグレイスは俺らに何か頼らないかな、全く」
「もしかしたらグレイスの性格かもしれないし、悪い癖かもね。――そう言えば、そんな事、マスターが前に言ってたかも」
ふとレーヴェがそれを思い出す。
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