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4-7

 学院の授業が終わって、エルダは早めに帰宅するようになった。

 どうやら魔法の自主練習をしているようで、エルダの自宅近くの広場で一人で練習しているらしい。

 練習二日目も一日中グレイスが練習に付き合ってくれたが、エルダ自身が納得する結果ではなかった。

 グレイスも、それに関しては「焦るな」と言うが、やはりエルダには焦りがあった。

 自分でグレイスの力になりたいと申し出たのだ、その言葉には責任を感じている。

 何より、微力であろうが、早くグレイスの力になりたいのだ。


「……よし、集中集中」


 エルダはそう気合いを入れて、練習を始める。

 グレイスには確かに追いつけない、けれどエルダなりの努力はしたい、そう思いながら。



 次の休み。

 エルダはグレイスの家にいた。

 もちろん、この休みもグレイスに魔法の練習に付き合ってもらうためだ。

 グレイスも嫌な顔一つせず、エルダの練習に付き合うことにした。

 ただ、以前とは少し違うエルダに、驚きの声をあげたのは、ヴェルエだった。


「エルダ、お前一週間で風操れるようになったのかよ」


「……んー、まぁ、まだ簡単にしか扱えないけど」


「それでも一歩前進だよ、エルダくん」


「褒めてもらうとなんか嬉しいな。レーヴェ、ありがと」


 嬉しそうにエルダが言う。


「……エルダは褒められて伸びるタイプか」


「間違ってはいないかもね、ヴェルエ」


 二人はエルダに聞こえないようにそんな会話をする。


「ごめん、エルダ。お待たせ」


 そう言って、家の中からグレイスが出てくる。

 昼食の準備をしていたのだとレーヴェから聞いていたエルダは、別にいいよ、と返答する。

 グレイスの服は、相変わらず学院の制服だ。

 そして、今日のエルダの服装は、先週のジャージ姿と違って、学院の制服だ。

 本人いわく、気合いを入れるためだと言っていた。


「いいのに。普通の服装で」


「いいの。やっぱさ、自分で練習してても思ったんだけど、学院制服着てないと、気合い入んないんだよね」


 エルダがそう言うのを聞いて、なるほど、とグレイスは返す。


「エルダ偉いじゃん。やっぱ風格出てきたんじゃね?」


 ヴェルエが茶化すように言う。


「だって、生半可な気持ちで挑みたくないし。グレイスの足も引っ張りたくない」


 そう言うエルダの声音はとても真剣な様子だった。

 グレイスはそれを見て、言った。


「じゃあ、始めようか」


「よろしくお願いします!」


 気合い十分なエルダの返事に、グレイスは少し苦笑した。


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