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何度か学院を不登校した事がある前例があるグレイス。
それは、学院に入学してすぐの事だった。
行きたくなくて、というよりも、行く気力が出なかったのだ。
不登校は月に何度か。
学校に行かない日は、グレイスは家にこもっている。
けれど、入学して一年ぐらいしてから、毎日学院に通うようになった。
必ずしも、父親の死を受け入れられたわけではなかったが、前に進むしか、グレイスには選択肢が残されていなかった。
その背を押したのは、聖竜であるレーヴェとヴェルエだった。
いつまでもくよくよしていてはいけない。
何かがあったらグレイスを守るのは自分たちだと。
何より、今の主はグレイス・マルスモーデンなのだから、と。
その言葉が、グレイスにはとても心強かった。
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