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学院が休みの日。
エルダは朝からグレイスの家にやって来た。
レーヴェとヴェルエも人間の姿で出てきており、エルダに声をかける。
「いらっしゃい、エルダくん」
「時間ぴったりだな。つか、寝坊しなかったのな、エルダ」
「しないよ。……あれ、グレイスは?」
「書斎で少しだけこもってるよ。すぐ出てくるから、安心して」
今現在、ここにはグレイスの姿がない。
レーヴェはエルダの問いかけにそう答えて、お茶を出した。
それからすぐ、グレイスは書斎から出て来た。
手には手に持ち切れるだけの本を持って。
「おはよう、エルダ」
「おはよ、グレイス。……えーと、その本は何かな……?」
「エルダには、まず実技よりこっちの方が先かと思って」
グレイスは当たり前のように言って、エルダは引きつり笑い。
「エルダ。グレイスの授業は学院よりスパルタだからな。気をつけろよ」
「まぁ、エルダくんは覚悟を決めてここにいるんだから、これぐらいは当然かな、と」
「二人も座って。じゃあ、エルダ。早速だけど始めようか」
グレイスの表情は、淡々としていて、エルダは背筋が凍るような感覚に襲われた。
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