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3-5

「それでは、課題の提出を」


 レナード先生がその言葉をきっかけに、授業が始まる。

 今日は午前の授業だ。

 各々課題を提出し、いつも通り授業が始まる。

 課題の内容は、神々と世界の成り立ちという授業に対してレポートをまとめる、という内容のもの。

 授業内容としては決して安易ではなかったが、生徒全員が課題を提出出来たようだった。

 今日の授業は時空跳躍についての授業だった。

 時空を跳躍することによって起きる事象、その魔法の定義及び転移魔法についてなど。

 全員が真剣に授業を受ける中、エルダはうとうととしていた。

 課題に取り組むのに時間がかかり、寝不足だったからだ。

 それを目ざとく見つけたレナード先生は、エルダをちらりと見てから、おもむろにチョークを手にする。

 瞬間、生徒たちの表情が強張り、ひゅん、と凄まじい勢いでチョークがエルダに向かって飛び、それが命中する。

 レナード先生が狙いを外した事はない。


「いっ……!」


「授業中です。気を抜かず、集中して授業を受けなさい、エルダ・リモイア」


 冷たい言葉に背筋を凍らせるエルダ。


「……すみません。以後、気をつけます」


「ぜひそうしてください。あなたには集中力というものが欠けています。今は授業中なのですから、きちんと授業を受ける集中力をまず身につけなさい」


 ぴしゃり、そう言って、何事もなかったかのように授業が再開される。

 チョークがおでこに直撃したエルダは、真っ赤になったその部分を痛そうにさすりながら、改めて授業を受ける。

 それを横目でちらりとグレイスが見ると、涙目のエルダと目が合った。

 エルダは苦笑いを浮かべながら、大丈夫、と言った表情でグレイスを見る。

 確かに、何度かチョーク攻撃を受けているエルダとしてはもう慣れっこなのかもしれないが、毎回見るたびに痛そうだな、とグレイスは単純に思う。

 そんなことを思いながら、授業を受ける。

 恐らく、エルダなりに頑張っている、しっかりとそれは見て取れるから故、レナード先生も厳しく言うのだと思う。

 エルダの頑張りを皆がわかっているのだと、思う。

 それはグレイスも同じだったからだ。

 確かにエルダはこうした授業よりも、身体を使う実技の授業の方が好きだ。

 けれど、この授業は必要ない、とは思ってはいない。

 誰しもがどの授業も必要であり、全ての授業が自分へとスキルアップへとつながっているのを理解しているからだ。

 やがて、チャイムが鳴り、授業の終了を告げる。


「それでは、授業を終わります」


 簡潔にそう告げ、レナード先生は教室を出て行く。

 緊張感が抜けた教室で感じた事だ。

 昼休憩だ。


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