000 転生は期待と共に
000 転生は期待と共に
僕はきっと物語に出てくるような勇者やヒーローにはなれない。
僕には物語の脇役、ゲームでの邪魔なオブジェクトという言葉が相応しいだろう。
マリオブラザーズのお邪魔なのに消えないドッスンのような。
僕、神名梨空はそのキラキラネームとは程遠い人生を歩んだ。
僕は生まれつき類稀ない頭脳と多くの才能を持って生まれた。
【神童】と呼ばれた僕は、エリート学校に首席で合格し首席で卒業した。
ここまではいいのだ。
自分でも良くできた、と思った。
社会人となった僕は大手企業に入社した。
これが間違いだった。
僕はこの会社の有名さに負けて入社したのに、会社内は泥のようにグタグタしていて汚い。
僕はその泥に巻き込まれて......つまり、社員いじめにあった。
ヒドかった。
僕は結局1ヶ月でその会社を辞めた。
他の会社に就職しようにも1ヶ月で辞めた事実を他の会社は受け止めるはずもなく。
気づけばフリーター。
さらに気づけばニート生活。
もう生きる気力は残っていない。
僕はストレスが溜まりに溜まり鬱病となった。
その鬱病はやがて自殺をする決定打と化し、今に至る。
脇役の僕が転生したら主役に成れると信じて。
僕は僕の部屋で首を釣って自殺した。
神名梨空、齢28歳という若さでこの世を去った。
***
ここはどこだ。
瞳を開けようとするけど上手くいかない。
自分の口から発生されている声は叫び声に近い泣き声だ。
「元気な男の子ですよ。」
3人の大人の一人がそう言う。
日本語で話しているのにどう見ても外国人だ。
他の二人もどこからどう見ても日本人ではない。
疲れ果ててる美人さんの手に僕が運ばれる。
「良かった、ハアハア...。」
「頑張ったな、シェリア。どうやらこの子はお前に似てるようだ。」
「髪も瞳も白い肌も、確かに私に似てる。でも、あなたの素敵な鼻をしてるわ。」
そうか、僕は転生したんだ。
願っていた事だから直ぐに分かった。
そして、この美人な女の人と紳士のような顔つきの人が新しい両親。
最初の人はお手伝いさんか。
「あら、泣き止んだみたい。」
「この子、俺たちを見つめているぞ。可愛いなぁ。」
「ふふふ、名前はどうしましょう。」
「もう決めてるさ。男の子ならルーカス。ルーカス=レイズ=ヴァーミリアン。俺たちの新しい家族だ。」
「いい名前ね。」
ルーカスか。
まぁネーミングセンスは普通だとして、結局名前も外国人風だったし、ここは日本なの、外国なの?
僕の主役独占計画、まずは生まれて名を付けられました。
運のいい事に前世の記憶付きです。
出だしの滑り出しは順調のようです。
これから毎日、のんびり投票させていきます。一話一話が短いです。今日は2話同時投票になりますので良ければ次のページへ。