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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

或る都市伝説

作者: sin

S県S市にある男性が住んでいた、その男性を仮に光司と呼ぼう。


光司は田舎から大学に通う為に上京して現在一人暮らしをしている。





ある朝、いつものように大学へ向かう為に駅に向かっていると、とあるアパートの前で葬儀が行われていた。


アパートの前には霊柩車が止まっている。


「うわ~朝から嫌なもの見ちゃったな」などと思っていると、ちょうど出棺だったらしくアパートの2階から棺が運ばれてきた。


横目でそれを見ながらあまり深く気に留めずに大学への道を急ぐ。





大学を終えてバイトに向かう光司、明日は大学が休みだから今日はコンビニのバイトの日だ。


光司はコンビニの他に工事現場のガードマンやビル清掃などを掛け持ちでやっている。





光司は一人暮らしをしているが、親から仕送りはもらっていない。


全て生活費は自分でバイトをして稼いでいる、その代わり学費のみ半分親から出してもらっている。





夜の21時からバイトに入り朝方の7時まで働く。大学が休みの時だけ出来るバイトだ。


難なく仕事をこなして、いつも通り店長から期限切れの弁当を一つもらって帰る光司。


「お疲れ様でした」

(今日も一食分浮いたぞ)





駅に着き歩き始める、しばらく歩くと昨日の朝葬式をしていたアパートの前に・・ふと足を止める光司。


「そういえば、昨日葬式してたな~、何で亡くなったんだろう?」


などと考えてアパートを見上げる。





また歩き出そうとした時、アパートのゴミ置き場に色んな家財道具が捨ててあるのを発見。


「お!ラッキー。なんか使える物落ちてないかな?」と思いゴミ置き場に近づき物色を始める。


すると・・・・「おお!DVDデッキ発見。全然綺麗だし絶対これ使えるよな」


以前からDVDデッキが欲しかった光司は壊れてるかも知れないが、とりあえず持ち帰ることにした。





無事DVDデッキを持ち帰った光司は家に着いてふと思った。


(あれ~これってもしかして昨日亡くなった人の家にあったものかな?)


(だとしたら、ちょっと気味悪いな~)


しばらく考えていた光司、しかし以前から欲しかったという事もあり、とりあえず使えるか試してみる事にした。





運良く配線関係も一緒に捨ててあったのでそれをTVに接続する。


恐る恐る電源のボタンを押してみる。


すると・・・・・ウィ~~ン。無事に動き出した。


「やった!使えるよラッキー!」動き出した事で既に先程の考えなど吹っ飛んでしまった光司。





しかし、次の瞬間DVDデッキのディスプレイ画面に再生の三角のマークが点灯。


「あれ?何も入れてないのに何でだ?ひょっとして何かDVDが入っていたままだったのか?」


そう思いデッキのDVDを挿入する所の開閉ボタンを指で押してみると、真っ赤なDVDが出てきたと思いきやまた入って再生が始まった。


(やっぱり入ってた、何のDVDだろう?)

そう思ってTVの画面をビデオに切り替える。





すると映し出されたのは、ホームビデオで撮っているかの様な映像。


場面はどこかの住宅街の夜の町並み。


動き出す映像、しばらく歩いたまま撮影が続く。


(この持ち主が撮ったものか?)と光司は思った。





不意に一軒のマンションらしき建物の前で立ち止まる。


マンションを見上げる映像、そしておもむろにマンションの中へと入りだす。


エレベーターにのり動き出す、2階、3階、4階、5階。


5階で止まった、エレベーターを降りて通路を歩く映像が続く。





ある部屋の前で立ち止まり、ドアの前に立つ。


「ピンポーン」インターホンを鳴らす音声が画面から聞こえてくる。


しばらく待つも反応はない、するとガチャガチャン・バキ、物凄い音がしたと同時に静かに開かれるドア。





部屋の中に進む、リビングには誰も居ない、奥の扉を開ける、どうやら寝室の様だ。


だが、人のいる気配はない・・・・・

すると画面はクローゼットの前に進みだした。


静かに開かれるクローゼットの扉・・・・

中から現れたのは丸まってすすり泣く下着姿の女性。


(おお、何だ、もしかしてAVかこれ?)

変な興奮をし始める光司。


しかし、その興奮は見事に裏切られ、別の興奮に変わる。



すすり泣く女性を画面が確認するやいなや、鋭い刃物が女性の胸へと突き刺さる。


グサ、何度も何度も、グサ、グサグサ。


そして、糸の切れた人形のようになった女性を確認すると部屋から出て行く。


(な、な、な、何なんだこれ?自主制作映画か?それにしてはリアルすぎるぞ)


妙なリアルさに少し恐怖を覚えた光司。


画面は一度砂嵐になり直ぐに違う映像が流れ出す。


今度は昼間の住宅街だ。


そして・・・・・・先程と同じように惨劇が画面の中で繰り返される。


そしてまた砂嵐になり、新た映像が出てくる・・・・・。


そんな映像を繰り返し見ていると光司はあることに気付く。


(殺されてる人って皆まるで自分が殺されるのをわかってるみたいだな)


(何で、逃げないんだろう?やっぱり自主制作映画なのか?)





そう思って、ちょっとした安心感を覚えはじめるが、流石に気分が悪くなってきたので


DVDを消そうと思って停止ボタンを押すが・・・・反応しない!


(え!何で)焦る光司。


隣にある取り出しボタンを押しても反応しない、早送りも巻き戻しも・・・・・。


(ボタンが壊れていたから捨ててあったのか!)


その間もTVの中では惨劇が繰り替えされている。





(そうだ!コンセント抜いちまえば良いんだ!)


そう思いビデオのコンセントを抜く光司、プッ・・・TV画面が消えた。


(ふ~良かった。よく出来てるけど趣味悪い映画だったな)


そう思っていると・・・プッツ、何もしてないのにまた映像が始まりだした。


(なんだ!コンセント抜けてるだろう!)


軽いパニックになる光司、そんな中光司の目に見覚えのある景色が写る。


(あれ?俺ココ知ってるぞ、何でだ?)


そう思ってみていると、あるアパートの前で立ち止まる。


(あっ!!ココは!)


そう、立ち止まったアパートとは昨日の朝光司が目にした葬儀をしていたアパートだ。


その瞬間光司はある事を思った。


(まっ、まさか!昨日の人殺されたのか・・・・・これに)





映像はアパートの2階へと進む、そして・・・・ある一室の前で立ち止まる。





(やっぱり!間違いない!)


そう、立ち止まったのは光司が見た出棺の時に棺が出てきた部屋である。




コンコン、コンコン、ノックする音が画面に響く・・・・・反応は無い。


キィ~~、扉が静かに開く、鍵は掛かってない様だ。





扉が全て開くとガタイのいい男が身構ええいるのが映し出される。


次の瞬間、男が画面いっぱいに突っ込んでくる!


ズブリ  刃物が肉に突き刺さる鈍い音が画面から聞こえた。


瞬時に離れる男、そして叫ぶ「俺はテメーには殺されねーぞ」





男に近ずく画面、すると男は壁に立て掛けてある鉄パイプの様な物を持って殴りかかる。





シュパーン!





聞こえてきたのは鈍い音ではなく鋭利な刃物で切り裂かれる音。





ドン!





鈍い音と共に男の腕が床に落ちる、一瞬の出来事に目を見開き動きの止まる男。


口を大きく開けた男が叫ぶより早く男の咽喉もとを鋭利な刃物が横切る。





シュパーン!





声にならない声を漏らしながら陸に上げられた魚の様に口をパクパクさせて倒れこむ男。





そして画面は砂嵐に・・・・・。





それを見ていた光司は(もしかして・・・次は・・・俺か・・・・)





するとTVは砂嵐から次の映像に・・・・・。


(あっ・・・やっぱり・・・・・)


絶望の中光司が見たのは・・・・自分の住んでいるアパートの映像。





カン・カン・カン・カン TVの中の足音と外の足音がリンクする。





そして・・・・・・・・。





三日後、連絡の取れない事を心配して上京した光司の両親が部屋で見たのは


沢山の刺し傷のある光司の死体と血で書かれたDVDの文字だった。





後に警察がDVDデッキを調べたが、怪しい点は無かった。


ただ・・・・・デッキの中にDVDは入っていなかったらしい。





皆さんもニュースで聞いたことありませんか?


目撃者なし、犯人の手がかりなし、物取りの犯行でもない猟奇殺人の事件を。


こうゆう場合大抵警察は怨恨の線で捜査を進めるが、未だ解決してない事件も多数ある事をご存知ですか?




もしかしたらその事件の中にはこの殺人DVDが原因のものもあるかもしれませんよ。



もし道端にDVDが落ちていても、決して拾わないで下さい。


後悔しても既に手遅れですからね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 効果音などが細かく入っていて分かりやすかったです [一言]  こういう物語の作り方書き方好きです。元々都市電話という類いが好きなので、夢中で読んじゃいました。
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