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でいばいyouth  作者: TOKIAME
05 「はじめましての次は何でしょう」
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気狂挨拶



「赤石は?」

「購買に行ってる」



 鎮西は殺気が消えた後、許可無しに隣の席の女子の椅子に座る。ここが私の席よ、とでも言うように当然のように座った。

 俺の知り合いは、俺の物は俺の物、お前の物も俺の物精神でも身につけてるんだろうか。

気にしては駄目だと思い、鎮西と談笑をすることにした。


「百合奈をあんたに紹介しようと思ったけど、あの子今友達と話してるから後にするわ」

「そうか……それ、今回の話の本題だよな」

「そうね。私無駄なことは話さないもの」


 ふう、と息を吐いて鎮西が言う。

 どうやら、鎮西の言葉を勝手に分析すると北上の友達=鎮西の友達、というわけではないらしい。だって、そうだろう?

北上の友達と鎮西の仲がよかったら、俺の方には来ないだろう。


「あんたとの会話、続かないわ」

「すんませんねぇ、会話が苦手なもので」

「本当ね、コミュニケーション能力の欠片もないんじゃないの?」

「いや、一応会話成立してるから、欠片ならあると思う」


 言い返してみると、鎮西が目を丸くした。その後にふっ、と笑う。今度は今まで見たことのない顔、苦笑だ。

 なんで笑うのかが分からない。そう鎮西に言ってみると、あんた、真面目ね。と返された。自分でも一応真面目風だからそうだな、と返すともう一度苦笑される。

 鎮西のことは、よく分からない。


 分からない、と言っても誰よりもこの人が理解し難い、とかではなくなぜ笑うのかが分からない、ということだ。

笑う、ってことは面白かったのだろうか。

 じゃあ何が? 俺、面白いこと何かしたっけ言ったっけ?

俺自身が思いつかないなら面白くないのかな。それとも鎮西が笑い上戸なのか。

 笑い上戸、ではないだろうな。

記憶の中にある一番古い鎮西の表情は、いつだって仏頂面なのだから。

それよりも、鎮西の表情を覚えている俺の頭はおかしいのかな。

家族と瀬七以外の情報が脳に深く刻み込まれたのは、あの時以来鎮西が初めてだったりするんだよ。それだけ俺にとって印象深い人。


 鎮西さんは、変な人。



和南香(ななか)


 いつの間にか、黒髪の女子が鎮西の前にいた。

そう、この人の名前和南香だっけ? 人の名前なんて覚えてられないなぁ。


 あれ? この人は誰だっけ?


「どうしたの、百合奈」


 黒色の女子の顔を見て鎮西が不思議そうな顔をする。ああ、知り合いなんだ。その人。俺が知らなくて当然。


「一緒にお昼を食べませんか?」

「いいよ」


 すっと立ち上がった鎮西。

 俺のほうに向きを変えてきた。


 ……ん?なんだい?

不思議そうな顔をして俺を見ないで“委員長”

 ああ、この人委員長。


「初めまして……ではないですかね。和南香と仲がよかったんですか? 宮本くん」


 初めまして、懐かしい呼び方をするんだね委員長さん。


 さあ、彼女になんと答えようか。

 なんと言ったら喜ぶのかい? “北上さん”

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