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でいばいyouth  作者: TOKIAME
05 「はじめましての次は何でしょう」
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金銭透視




 次の文を英訳せよ。




 『世界には様々な宗教が存在する』




 分かりません。





 俺は英語が一番苦手だ。いや、勉強は殆どできないが中でも一番できないのが英語。

 中学生の基礎の文とか単語とか、俺の脳には刻まれていないと思う。

 excitingですら咄嗟に思い出せない脳だ。脳の細胞が死滅しているとしか思えない。


 だから、英語の授業はどの教科よりも暇。

 授業の板書はするが、殆ど写すだけの行動で頭の中には英単語の一つすら入らない。

 配布されているプリントの問題を解きつつ、横目で隣の席の女子を見てみると、利き手らしい左手だけを机の上で動かし、右手は机の中に入れ携帯電話を弄っていた。

 携帯電話は持ってきてもいい。だが、授業中に扱うのは違反だ。

 そんな事はお構いなしなのか、俺の視線に気づくことも無く右手だけを必死に動かしている。左手は、先程から全く動いていない。

 微かに、カチカチカチカチ、とボタンを連打する音が聞こえる。


 そんな女子を見て俺はどう思うのだろう。

 きっと、不真面目なやつだと思うのだ。

 自分の事は棚に上げておいて、などという言葉は俺には通用しない。だって、真面目風にちゃんと授業を受けているのだから。





 授業が終わり、また委員長の声で挨拶をする。起立、ありがとうございました、着席。

 そんな一連の行動と言葉を、俺達学生は繰り返している。毎限同じことしか言わない委員長。

 彼女は、飽きないのだろうか?


 教科書類を机の中に閉まったところで、今日は弁当を作ってきていないのに気づいた。

 俺は、母さんがいない時は大体自分で作ってきている。もちろん、母さんがいるときは作ってもらっているが。

 しかし今日は寝坊して、しかも冷蔵庫の中には具材になるような物が全く無かったから、何も作ってきていない。困ったもんだ。

 どうしようかー、と悩んでいたら瀬七が近寄ってきた。


「腹が減ったよ、宮本」

「そりゃそうだ」

「そうだね。さあ、購買に行こうか」

「なんで俺が弁当持ってきていないのがばれてるんだ」


 何でもお見通しさ! と高らかに瀬七が宣言した。

 なるほど、さすが親友。見透かしやがってこの野郎。

 しかし弁当持ってきていないのは事実だし、いつも購買のパンを食べている瀬七に従って購買に行くことにした。

 幸い、家で鞄の中に入れた物の中には財布が紛れ込んでいて、無一文ではない。

 購買に行くのは、初めてだ。財布を掴んで瀬七の後についていく。

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