生真面目
「……もう少し、大げさな反応してくれないのかい? 驚くなら驚くで、驚かないなら驚いてない反応してくれよ」
「Wow」
頭痛い……、と瀬七が頭を押さえる。大丈夫か、と言うとお前のせいだよ、と言われた。
何が俺のせいなのかは分からない。だって、驚いているじゃないか。
口頭ではWow、とかしか言っていないが、十分驚いている。
悪い予感、というのは半分当たって半分外れるらしく、予想の35°斜め上を行く結果となった。親しくない、というのは半分当たっていて、少し話せる程度である、という所で外れていて。
しかし、よりにもよって鎮西と北上っていう学級委員長とは。袖触れ合うも多少の縁、とはよく言ったものだ。
鎮西、はまだいい。髪燃やされたり蹴られたり魔法で吹っ飛ばされはしたがまだ話せる程度。気まずいだろうが会話は成り立つだろう。
けれど、北上はどうだ。話したことが無い、顔を知らない、性格知らない。話すために必要な事が殆ど揃っていないじゃないか。
非常に気まずい。しかも俺のこと好いてるやつと一緒とか、誰かの陰謀としか思えない。鎮西が魔法で学年主任の頭の中でも弄くったか。
「とにかく、驚いてはいる」
「そう、そりゃよった。さ、鞄片付けといで」
子供を宥めるような声で俺に言う。瀬七の表情は心なしか安堵しているようだ。
黒板の方に目を向けると、もう人が疎らにはなっているが、確かに白い紙を貼られているようだ。おそらく、あれが班分けの紙なのだろう。
瀬七が机の前から退き、人がいなくなった事で居心地がよくなった自分の席に帰って行った。
瀬七に言われた通り、鞄の中から教科書類を全て出し、机の中に押し込む。
机の横に鞄をかけたところで四限目の始まりを告げるチャイムが鳴り、クラス中のざわざわとしていた雰囲気が一掃され、静かになる。
俺が行動を終えた時点でチャイムが鳴るとは、さすが瀬七。時間配分が完璧だった。
俺が席に着くと同時に、教室前方の扉が開き笹川が入ってきた。
起立! という女子の声が聞こえ、立ち上がる。ああ、この声が北上さんか、と今更気づく。
挨拶の掛け声をする委員長の姿を探すが、よく分からなかった。お願いします、と言い席に着く。