醜い能力
「天才的な才能を持つって、大変だねぇ」
「……うるさいっ!」
小学六年生になった頃のこと。
俺は、王の座から蹴り落とされた。
いや、自然と下へ下へと堕落していく羽目になった。
羽目というのはおかしいかもしれないが、王から外れたのは確かだった。
それは俺のせいでもあるけど、世の中の風潮とかのせいでもあった。
俺が王様のような存在になれたのも魔力のおかげ。
ならば、その魔力が無くなってしまえば、俺のこの立場に存在意義自体が無くなるようなもの。
そう、俺の魔力は忽然と俺の中からその姿を消した。
パッ、とスッ、と一瞬にして消えたようなあの不思議な感覚は、今でも憶えている。
だからもう、炎を出すことも、空を飛ぶことも、物質の操作をすることさえもできなくなった。
そこらへんにいる、ただの一般人。一般people。ピーポー。
そこまで成り下がった俺には当然のように誰も寄り付かなくなった。
魔力が使えなくなった途端だ。
でもその前にそいつらが俺の周りにいたのは、高等魔術師であったからだけだと気づいていれば
こんな事にはなっていなかったかもしれない、と今更後悔する。
親は頭の良い子と仲良くなりなさい、と言う。
馬鹿な子と一緒にいると悪い影響が出るわ、と言う。
そんな事は全くないというのに。
けれどまぁ、それが世の中の親の考え方として定着しているのもあるから、俺の孤独化に拍車が掛かったのは確かだった。
俺は馬鹿だから、親に仲良くなるな、とか言われたやつは馬鹿正直に俺から離れていった。
すると結果的に俺の存在、学校の中での価値は
《勉強のできない、運動馬鹿な出来損ないの男の子》
とか、そんな感じになった。
というより、実感が湧いた。
今でこそ、こう気楽に言えるが当時はとても悔しく、悲しかった。
ちくしょう、俺が一体何をしたんだ、と。
家に帰るとベッドに潜り込み枕に顔を押し付け、涙で顔がぐしゃぐしゃになるまで泣き続けた。
嗚咽と涙がこみ上げ枕がぐしょぐしょになるまで泣き続け、そのまま眠りに落ちた。