敵前逃亡
赤石くん登場。
彼の性格が年の割りに大人びてるのは仕様です;;
「君に靡くつもりなんて、毛頭も無いよ」
「うへぇ」
小学二年生になった頃の事。
俺が上位の存在となっても靡かないやつは、当然だけれど学年の中でも数人はいた。
そいつらも態度では反抗心が俺に向いているのはよく分かるが、直に面と向かって言ってきたのはこいつがお初だった。
初めまして。
だからびっくりしちゃって、うへぇ。
こいつはニヤニヤとした笑みを浮かべてこそいるが、剣呑な目付きをしていた。
剣呑、というよりも下等な生物を見下すような目。
……ムカつくなぁ。
「あぁ、そう。ムカつく? そりゃそうだよねぇ。
今までこうやって言われたこと無いだろ?
言わなくても別に分かるんだよ。裸の王様、宮本龍紀くん。
君のその、表情とか分かりやすいんだよ?」
その話し方と口調でムカついた。
その物言いでさらにムカついた。うざい。
なんで反抗してくんだよ。何様だよてめぇ。燃やすぞ。
頭の中でぐるぐると、黒い考えや罵倒の言葉が色々と過ぎる過ぎる過ぎる。
俺がそいつの目を見据えながらただ黙りこくっていると、そいつはへらっと笑い、赤石瀬七、と言った。
「憶えといてね宮本くん。僕の名前。
それともこんなやつの名前憶える価値も無いってかな?
憶えといて損は無いよー、きっと。
それじゃまた、お邪魔しに行くよ。君の無意味な行動の邪魔を、ね。
って言っても、同じクラスだけどね!!」
ははは、とそいつ――赤石瀬七、と言うやつは、身を翻し笑いながら去っていった。
ていうか、あれ? あんなやつ同じクラスだったっけ?
ていうか、居た? という感じ。
まあいいや。後でそこら辺のやつに聞いてみよう。
頭をわしわしと掻きながら、赤石と正反対の方向に歩いて行く。
本当にイライラするなぁ。後で目に物見せてやる。
そう思いつつ、こんなことも思った。
それにしても、胡散臭い。