徒歩の想
校外に出ると騒いでいると人目も憚られ、自然と言い争いも納まる。
今日の夕飯何にしよー、とか課題めんどー週末課題めんどー、みたいな。
他愛もない事を考えながら瀬七と会話しつつ、のろのろと帰る。
「じゃ、またな」
5分も歩かないうちに瀬七と別れる。
さっさと帰ろうとする瀬七を、なんとなく引き止めた。
「なんだい?」
「あー……あのさぁ、俺、どうしたらいいと思う?」
「何が? 課題?」
「ちがわい。鎮西の事だよ」
ああ、と瀬七が納得したように頷いた。
今日は木曜日。明日は必然的に金曜日だから、教室で鎮西に会う。
いや、その前に本当に鎮西と北上っていうやつがいるのか、確認しなければいけない。
クラスのやつの名前を覚えているか指を折りながら考えていたら、両手で足りた。
自分で考えていて空しくなったが、クラスに何人いるかが分からない。取り敢えず、その十人がクラスメイトってことにしとこう。
「やってみるだけの価値はあると思うよ。そりゃあ君が納得しきっていないのは、分かっているけれどね。
上手くいけば友達ゲット彼女ゲットー、みたいな感じで一石二鳥じゃないか」
「そういうけどさあ……」
「僕もこの件には関わっているんだから、たまには相談に乗るよ。頑張れよー宮本。応援してるから」
じゃ、と言って手を振りそのまま瀬七が小走りで帰っていく。
どこまででも我関せず、みたいな態度をとるから何時まで経っても掴み難い。
それが瀬七なんだけど。
いや、それは個性でいいと思うけれど、もうちょっと親身になって考えてくれないか、と思う。
仮にも親友なんだしさあ。
とぼとぼと歩いている内に家に辿り着いた。
俺の家はどこにでもあるような普通の一軒家で、茶色の塗装をしてある。
それに加えて小さな庭と駐車場があるから、まさに一般家庭。
ガチャガチャと鍵を開けて家の扉を開け、ただいまー、と家の中にいるであろう人物に向け言う。
「ただいまーー……ぁ?」
俺の目線は玄関から上がり廊下になっている場所に注がれる。
そこには、人が倒れていた。