彼氏彼女
「気にいったかい?」
「じょーじょー」
教室に戻ると瀬七が床に散らばっている髪を箒で掻き集めていた。
それに習えとばかりに掃除用具箱からちりとりを出して、髪の毛が集まるのを待つ。
新聞敷けばよかったなー、と思いながら、ここには新聞が無いのでその後悔の念は、抹消。
瀬七が髪の毛を集め終わり、俺の持っていたちりとりに入れる。
それを持って教室前方にあるゴミ箱に入れようとするが、いったん休止。
「……あのさ、瀬七。ここに入れたら朝大量の髪の毛がゴミ箱に!? みたいな感じで、騒ぎになるんじゃねぇか?」
「そだねー……じゃあ、食べる?」
「なんでだよ!」
もう変な返事する瀬七嫌だ!!
考えるのも馬鹿馬鹿しくなったから、ちりとりごとゴミ箱へ放り投げる。
ガコン、と音を出しながらゴミ箱の中にちりとりが綺麗に納まる。
それを無視して席に戻った。……ちりとりを戻せって? 汚いから無理無理。
「はは、不良だ」
「うるっせぇ」
机の上に置いてあった鞄を掴み、瀬七を置いて教室から出て行く。
ちょっと待てー! みたいな声が聞こえた気がするけど、無視。
階段を下りようとしたところで、瀬七が追いついてきて隣に並んできた。
「お前は彼女か!」
「ちげーよ!」
「だったら隣に並ぶな!」
「いーじゃんどうせ行き先同じだし!」
ぎゃあぎゃあと叫び合い、騒ぎながら校舎から出て校門を出る。