王の優越
あの頃、俺――宮本龍紀は王様だった。
当時の俺は七歳。
大人でも扱うことの難しい高等魔術を、難なくやってのけることが出来る、若き高等魔術師だった。
炎を出して自由自在に扱うことが出来るのはもちろんのこと。
物質を創造する事によって文房具や生活用品、電化製品や、更には家一戸を創りだすことだって可能。
それを何処に置いておくのかなど、そういうことは聞かないでくれ。
そんなもの、創ってもすぐに壊している。
どこぞの錬金術とかいうのと違って魔術に代価や対価は無い。
大気中の魔力を少し頂くだけ。非常に便利。
魔術が無ければきっと俺は生きていけないんじゃないかな、と思っていた。
いや、もちろん科学がここまで進歩していなかったら、電化製品を創造できることは無かったけれど。
そして俺は数多い魔術師の中でも貴重な高等魔術師だったから
少し、調子に乗っていたのかもしれない。
* * * * * * * * * * * *
小学校入学式、当日。
『宮本くんって、高等魔術師らしいよ』
そんな噂、もとい事実が学年中に広まった。
その噂を聞きつけた同じクラスや他のクラスの同級生たちは、自然と俺の周りに集まってきた。
同級生の中に他に高等魔術師はいなかったから俺の所に集まってきたんだろう。
集まってきたやつには俺のとっておきの魔術を色々と見せてやる。
魔法律、というものがあり、魔術は厳しく取り締まられているが、そんなもの、ばれなければどうってことはない。
ただの、形だけの法律なんだろう?
同級生から注目や羨望の的となってその中心にいた、宮本ブロント。
小学生ながらにとても、とてもいい気分だった。
あぁ、こんな立場に居座るのも悪くないな、とそう思った。
入学当初から毎日毎日そんな扱いを受けていたためか、いつしか俺は羊を率いる羊飼い。
ようするに、学年のリーダー的存在となっていた。
同級生の中に親友、と呼べる存在の人は一人もいなかった。
けれど、悲しくはない。
自分を慕ってくれる人が居る。それだけで俺は満たされていた。
この学年は俺を中心として回っている。
俺が、全てにおいて一番なんだ。
――そう考えていた。