起訴裁判
「……っていうか、私と百合奈はあんたたちと同じクラスなんだけど」
うっそ。マジで? 嘘だと言ってくれよ瀬七!
そう思いながら縋る様な目で瀬七の方を見ると、腕を組んでうんうんと頷いている。
やっぱ本当だったのかー悪いことしたかもねー。ああ、同じクラスだったネ、ゴメンとか一言謝っとけばよかったかも。
うあーマジかーすんませんー。
そう呟きながら、鎮西の方に向き直って軽くペコリ、と頭を下げてみた。それでも鎮西は不満そうに眉間に皺を寄せている。
何がご不満なんでしょうか、女王様。
そう言うと今度は足の爪先、もとい靴の先で俺の膝小僧辺りを思いっきり蹴ってきた。
なんだろう、俺しし座だけど今日の十二星座占いは最下位だったんだろうか。
〔今日の占い第十二位は、ごめんなさい! しし座のあなた。
全ての事で空回り気味。余計な事をすると相手の怒りを買っちゃうかも?
お出かけ先では相手に対する言葉と態度に気をつけてね!〕
みたいな感じで。ラッキーアイテムは何ですか。
「立ちなさい」
そんなゴミを見るような目で睨みつけられると背筋がぞくぞくしますー。
なんてことはなく、先程の占いに従って黙ったまま素直に立ち上がる。よっこらせ。
うむ、先程鎮西にやられた腹と右足の膝小僧が痛い。
そして立ち上がって再び鎮西を見れば、彼女が案外小柄だということに気がついた。
俺の身長が170㎝位だから正に平均的。ちなみに瀬七は164㎝だから少し小さい。
そして鎮西は、おそらく160㎝くらいだ。
10㎝って意外と差が大きい、と実感中。しかも鎮西さん細いから、余計小さく見える。
さっきは威圧感とかオーラのせいでなんか大きく見えたな。
そこで、ふと気づく。
「質問よろしいですか」
「何よ」
コホン、と一息吐いて質問する。
「なんで、初めましてとか言ったんだ? さっき自分で同じクラスだって言っただろ」
「あーそれねー。あんたがここに来る前に赤石とちょっと打ち合わせしててね。
なんか、あんたって人の名前とか殆ど覚えてないとかいうし?
ちょっとした実験みたいな感じで試してみたのよ、私たちの事覚えてるかどうか。
ま、案の定まったく覚えてないというか、知らなかったようだけどね。百合奈は学級委員長なのに。
それで、ちょっとムカついて殴って蹴って衝撃波ぶっ放した、ってわけ。分かった?」
非常に(理不尽なことがとても)よく分かりました。
そういうことを伝えるため首を縦に一回振る。
もちろん、()の中は伝えない。伝えたら次こそ殺される。
今度は満足したのか、鎮西は眉間に皺は寄せずに次の言葉を紡ぎだす。
「私が赤石に協力してもらってあんたをここに呼び出した理由は、もう分かってるわよね」
「そりゃね。その北上のことだろ? でも付き合えとかお前に言われても無理だ。そういうのは全部断る」
「そんなこと分かってるわ。そこら辺の事は全て赤石に聞いてるから。
あんたの趣味やら家族構成やら苦手な事とか過去話とか、ぜーんぶね。個人情報保護法なんて、知ったこっちゃないわ」
「プライバシーの侵害だ!!」
ビッと人差し指を鎮西のほうに突き出す。それを顔を横に逸らすことで難なく避け、そしてそのままプイっと横を向く。
その指を右奥にいる瀬七に「お前もだ!」と言いながらまた指を突き出すと、へらへらと右手を振ってくる。
「ごめーん宮本。いや、もう炎とか目の前に出されながら脅迫なんかされたらさ、答えるしかないじゃん」
「…………いや、そうかもしれないけどさ。けどな! そんな状況でも言って良い事と言ったら駄目な事があるだろ!!」
溜息を一つ吐いてから再び鎮西の方に向き直る。
まあ、確かに炎は怖いよな……うん。かくいう俺も炎引っ提げて脅迫紛いの事をされた事がある。
……つか、あれやってきたの瀬七じゃん。もうちょっと頑張ったら魔法律裁判所で訴えれるんじゃね?
「話は終わった?」
「いや、ややこしくしたのはお前の発言だからな、絶対」