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綺羅の物語 玻璃の物語  作者: 橘 伊津姫
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トナカイと樅の木

 町は色とりどりのイルミネーションで飾られ、ウキウキと心弾むような音楽が流れ、すっかりクリスマス・ムード一色に染まっています。

 子供達はもらえるはずのプレゼントを、大人達は送る手はずになっているプレゼントを、真剣な目で探している事でしょう。

 大人も子供も、一年でもっとも楽しみにしている日がやってくるのです。


「って、そりゃプレゼントもらう側はいいよな。アレが欲しいだの、コレが欲しいだの好き勝手にお願いして、イヴの夜を待ってればいいんだから。一晩で世界中を走り回らなきゃならないこっちの苦労も分かって欲しいよ、まったくさ……」

 町を見下ろす丘の上、森の途切れた部分から何やら愚痴っている声が聞こえてきます。

「何で今年に限って、クリスマス当番がボクなんだよ。いいじゃん、他のトナカイだって。何が『お前もそろそろクリスマスの夜を経験しといた方がいい』だよ。余計なお世話だってーの」

 風に乗って聞こえてくる声の持ち主。それは……まだ若い、一頭のトナカイ。

「クリスマスなんて、大ッ嫌いだぁ~~!!」


 ここは北欧・グリーンランドの小さな田舎町。雪深い森の中を、一頭のトナカイがザックザックと雪を蹴立てて歩いていきます。

「だいたいさ、一年に一日しかないクリスマスのために、どうしてボク達が忙しい思いをしなくちゃいけないのさ。一年かけてプレゼントを集めて、ラッピングして、それで運ぶのもこっちなんてさ! 割に合わないよ」

 どうやら、ひどく荒れている様子。このトナカイ、名前を『ユルス』と言い、今年大人の仲間入りを果たしたばかりの、とても若いトナカイなのです。

『お若いの、随分とご機嫌斜めじゃな』

 ユルスの耳に、落ち着いた声が聞こえてきました。あたりを見回すと、そこは森の中心。巨大な樅の木が立っている場所。

「ああ、じいさんか。びっくりした。考え事をしている最中に、急に話しかけてくるから驚くじゃないか」

 ユルスはカッカしながら口を尖らせて返事をしました。相手は、雪をまとったとてもとても大きな樅の木。毎年クリスマスになると、町の人たちが綺麗に飾りつけをしてくれる、長老の木です。

『一体どうしたというんじゃな? あと一月もすればクリスマス。お前さんたちトナカイも忙しいのじゃないのかい?』

「ええ、ええ、大忙しですよ。サンタのブーツを磨いたり、そりの調子を確認したり、プレゼントの数を確認したり、綺麗に包んであるか調べたり。小人達がそりゃあ忙しく働いています。でも、ボクには関係ありませんね。今年の当番に当たっちまったんですよ」

『そうかい。そりゃおめでとう。クリスマス・デビューを果たせば、一人前のトナカイだものな』

「ええ。ありがとうございます」

 ユルスは長老にぶっきらぼうに答えました。

『クリスマス当番』というのは、イヴの夜にサンタと一緒に世界中の子供達にプレゼントを配って回るトナカイの事です。毎年時期が来ると、トナカイ達はクジを引いて今年の当番を決めるのです。そして今年はユルスが当番に選ばれたのでした。

『何じゃ。不満そうじゃな?』

「当たり前ですよ。どうして毎年毎年、トナカイばかりが大変な思いをしなくちゃいけないんですか? 年上のトナカイ達は『名誉な事だ』とか『子供達の笑顔のため』とか言いますけど、大変な事に代わりはないじゃないですか」

 ユルスにはどうしてもクリスマスの仕事が理解できないのです。

 長老の樅の木はため息を吐いて言いました。

『この世の中にはな、経験してみなければ分からない事も沢山あるのじゃぞ。今年の当番が、お主にそれを教えてくれればよいがな……』

「そんな面倒な事、経験しないで済ませられるなら、それに越した事はないじゃないですか、ボク、もう行きますから」

 雪の中をザックザックと歩いていくユルスの姿を見ながら、長老の樅の木は深いため息を吐きました。

『ワシも少し疲れたわい。今年のクリスマスで最後かも知れんの……』

 降り積もった雪に隠されて見えなかったのですが、長老の木の枝は以前のように元気がなく、根から吸い上げた養分がなかなか枝の先々にまで行き届かなくなってきていたのです。

『ワシは充分生きた。しかし、あの若いトナカイはまだまだこれからじゃ。少しでも良いから、この仕事の意味を分かってもらえたらいいんじゃがのう』

 張り出した枝から落ちた雪が、長老の言葉をかき消してしまいました。


 12月になると、サンタクロースの小屋は大騒ぎになります。用意し忘れたプレゼントはないか、橇はちゃんと風に乗れるのか、子供たちの家に、煙突はあるのかどうか、などなど。数え上げれば、キリがありません。トナカイだって、暇じゃあありません。クリスマス当番のトナカイは橇を引き、風に乗って世界中を巡ります。サンタとたくさんのプレゼントの詰まった大きな袋を乗せた橇は、七頭のトナカイに牽かれて空を渡るのです。そして、肝心のユルスが担当するのは……。

「へん。橇牽きの先頭なんて、面倒なだけじゃんか」

 ユルスが今回任されたのは、七頭牽きのトナカイの先頭です。一晩で世界中の子供たちにプレゼントを渡せるかどうか。それはユルスの足にかかっているのです。なのに彼は、体を慣らすわけでもなく、とにかくサンタの小屋の周辺から逃げ回っていました。まるで、そうすればクリスマスから逃げられるとでもいうように。

 ふて腐れたユルスが、人の目には見えないサンタの土地から出たとたん、何か柔らかいモノとぶつかりました。

「何だよ、痛いなぁ」

 ぶつくさ言いながら視線を下に向けると、雪の上にしりもちをついて座り込んでいる男の子と、それを助け起こそうとしている女の子が目に入りました。

「何で、人間がこんなトコロに入り込んでるんだよ?」

 ここは森の奥深く。滅多なことでは人間はやってきません。森には不思議な生き物が住んでいるので、あまり奥深くまで入り込まないように、子供のときから教え込まれるからです。でも、今ユルスの目の前にいるのは、その人間の姉弟のようです。

 ひとしきり文句を言ったユルスが背を向けたとたん、女の子の高い声が響き渡りました。

「ちょっと、そこのあなた! 人にぶつかっといて、ごめんなさいの一言もないわけ?」

 なぁにぃ? ユルスの額に、バッテン印の血管が浮き上がりました。

「なんでボクが謝んなきゃいけないのさ? ぶつかってきたのは、そっちだろ?」

 トナカイの呟きに、女の子の目が吊り上りました。

「何ですってぇ!?」

 雪まみれになっている弟を引っ張り起こすと、ザクザク雪を踏みしめて、ユルスの前に立ちはだかりました。両手を腰に当てて仁王立ちになると、ユルスを叱り付けます。

「あなた! 人にぶつかったらキチンと謝るって、お母さんに教えてもらわなかったの?」

 そうなると、ユルスだって負けてはいません。

「そっちこそ、森の奥は危ないトコロだから、入っちゃいけませんて教わんなかったのかよ!」

 にらみ合っている一人と一頭を前に、弟はオロオロと視線ごと頭を振り動かしながら、

「お、お姉ちゃん、もういいよ。ボクだってぼんやりしていたからいけなかったんだし……」

 しかし、怒れるお姉ちゃんは、そう簡単には引き下がりません。

「よくないわ、カイト。悪いことをしたら、ちゃんと謝らなくちゃいけないって、お母さんが言ってたじゃない」

「うるさいなぁ。大体──って、何でボク達、言葉通じてるわけ?」

 ユルスが今更のように気づくと、女の子も何だか決まり悪そうに口を尖らせて

「知らないわ。だって、気がついたらあなたの言っている事が分かっちゃったんだもの……」

 一人と一頭はしばらくお互いをにらみ付けていました。でも……。

「──プッ!」

「──プッ、フフフ」

 同時に吹き出すと大笑いを始めました。取り残されてしまった形の弟だけが、どうしていいのか分からずに、一人でオロオロしています。

「あははは、ああ可笑しい。ボク、トナカイの言葉が分かる人間なんて、初めて見たよ」

「あたしだって、まさか自分がトナカイの言葉を話しているなんて思わなかったわ。でもあなただって、人間の言葉が分かるんじゃない」

 ケンカしていた事なんて、どうでよくなってしまいました。

「ああ。さっきはぶつかってしまってゴメンよ。このところイライラしていたもんだから、つい八つ当たりをしてしまったんだ」

 雪まみれのままの弟に、今度は素直に謝ることが出来たユルス。男の子も慌てて頭を下げました。

「こっちこそゴメンナサイ。たきぎを拾おうとして、下ばかり向いて歩いていたから、トナカイさんに気がつかなくて」

 こうしてユルスと姉弟は仲直りをしました。


「ボクはユルス、君達は?」

「あたしは、マチルダ。こっちは弟のカイトよ」

 二人と一頭は並んで歩きながら、他愛もないおしゃべり。あんまり森の奥に入り込まないように、ユルスが送っていくことにしたのです。

「何であんなに森の奥まで入っちゃったのさ? 大人達に教えられただろ?」

「うん。あたし達も、あんなに奥まで入っているなんて思わなかったの。本当のこと言うと、道に迷っちゃったのよね」

 マチルダは舌を出すと、肩をすくめてみせました。

「ボクらのお母さんが、病気になって、動けなくなっちゃったんだ」

 控えめな弟のカイトが、ユルスに向って話しかけました。両手にはカイトの身長よりも大きな木の枝を抱えています。

「だから、薬代を稼ぐためにたきぎを集めてたんだ」

「ふうん。でも、父親がいるんじゃないの?」

 そのユルスの言葉にカイトの表情が沈みました。

「お父さんは、大きな街へ働きに行ってるから……」

 マチルダとカイトのお父さんは、離れた大きな街へ働きに行っています。一年のほとんどは、二人の所へ帰ってくることはありません。だから二人は、この町にお母さんと三人で暮らしています。

「へえ。大変なんだ」

 ユルスの言葉に、マチルダはクルリと振り返り、

「ユルス、あんた今、あたし達のこと『可哀想な姉弟だ』なんて思ったでしょ? それってあたし達に同情してるって事? だとしたら、余計なお世話だし、とっても失礼よ」

「何でだよ?」

「だって、同情って自分の方が相手よりも上に立って見ている人の意見よ。『ああ、この姉弟はこんなに小さいのに、病気の母親を抱えて、父親もいなくて不幸なんだ、可哀想だ』ってね。それって、あたし達を見下ろして、自分はこんなに相手の事を可哀想だと思えるって、優越感に浸ってるだけじゃない。そこにあたし達姉弟の気持ちなんか、ありゃしないのよ」

 まったく、口が達者なおチビさんです。

「第一、あたし達、自分達のことを『不幸』とか『可哀想』とか思ってないもの。そりゃ、寂しくないって言ったら嘘になるわ。でも、それって不幸な事とは違うでしょ?お父さんは、あたし達と一緒にいるために働きに行ったのよ。ちゃんと、帰ってくるんだから。クリスマスになったら、お土産持って帰ってくるのよ」

 一生懸命に言葉を探しながらユルスに自分の考えを伝えようとするマチルダに、簡単に同情した事をユルスは謝りました。

「あのね、ユルス。クリスマスにお父さんが帰ってきたら、今度はズーッとおうちにいてくれるんだって。もう、大きな街に働きに行かなくてもいいんだって。ボクね、クリスマスのプレゼントなんかいらないから、お父さんと一緒にいられますようにってサンタさんにお願いしたんだよ」

 カイトもユルスに話しかけます。『クリスマスのプレゼント』というキーワードで、ユルスの鼻先にシワがよりました。

「あ~あ。クリスマスの話なんかするなよ~。せっかく忘れてたのにぃ~」

「あら? ユルスってクリスマスが嫌いなの? トナカイのくせに変なの」

 マチルダとカイトはそう言って笑いました。

「笑うなよ! ほら、森の入り口だ。今度からあんまり奥には入るなよ?」

 二人はユルスにお礼を言うと、拾い集めたたきぎを抱えて森から帰っていきました。


 それからは、森の中で姉弟が集めたたきぎを背に積んだユルスの姿がよく見られるようになりました。

「よう、長老のじいさん。マチルダとカイトがまた来てるんだ。昨日の風で枯れ枝はたくさん落ちてるかな?」

 長老の樅の木はユルスの変わり様に驚きながらも、にこやかに笑って答えました。

『二人のお手伝いかね? 今日は東の川沿いに行ってごらん』

「ありがと、じいさん」

 息を切らしながら走ってきた姉弟は、長老の樅の木を見上げるとニッコリ笑って挨拶しました。

「おじいさん、こんにちは。今日も、森の枯れ枝をもらっていきます」

『ああ、いっておいで。暗くなる前に帰ってくるんじゃよ』

「はぁ~い!」

 白い息を吐きながら、二人と一頭は東の川沿いの道へと入っていきました。

『あのユルスがなぁ。マチルダとカイトの姉弟と出会ったことで、随分と変わったモンじゃわい。年寄りに出来んことを、子供はヒョイとやってのけたりする。それがこの世の不思議じゃよ。これだけ生きても、まだ驚かされる……』

 樅の木が体を震わせて笑うと、枝に降り積もった雪が、それに合わせてサラサラと舞いました。

「なあ、二人のお父さんって、何する人なんだ?」

「パン屋さんよ。自分のお店を持つために、大きな街へ修行に行って、お金を貯めているの。でも、やっとお金が貯まったから、今度からもう修行に行かなくてもいいんだって。お父さんからのお手紙にそう書いてあったわ」

「そうか。よかったな」

 拾い集めたたきぎをロープで縛ってユルスの背中にかけます。ユルスが手伝ってくれるようになってから、二人の仕事はウンと楽になりました。

「ホントに助かるわ。あたしとカイトだけじゃ、大変だモノ」

「そうだよ。ありがと、ユルス」

 二人にそう言われて、ユルスは何だかくすぐったいような、照れくさいような、不思議な気持ちになりました。

「マチルダは、たきぎ拾いが嫌になることってないわけ?」

「あら、どうして?」

「だって、他の家の子みたいに遊んだりしたいんじゃないの? お父さんがいなくて、お母さんが病気だからたきぎ拾わなくちゃいけないんだし」

 マチルダは手に持った枯れ枝で、ユルスの鼻を軽く叩きました。

「お、お姉ちゃん。だめだよ、そんな事しちゃ……」

 カイトがビックリして声を上げるのを無視して、マチルダは大きくため息をつきました。

「ねえ、ユルス。あたし、たまに思うんだけど、あんたって馬鹿?」

「どうして、そうなるんだよ!」

「あのね? お母さんが病気なったのは、お母さんのせいなの? 違うでしょ? 何もあたし達を困らせようとして病気になったわけじゃないわ。お父さんだって、あたし達と一緒にいるために働いているのよ? あたしとカイトは元気だし、たきぎを拾って町で売れば、お母さんの薬を買う事ができるわ。いい? あたし達だって、やれば薬代くらい稼げるのよ。これって、すごい事だと思わない?」

 お金がなくて薬が買えないわけじゃない。お金を手にする方法がないわけじゃない。お父さんが帰ってこないわけじゃない。自分達に出来ることがないわけじゃない。

 ユルスには返す言葉がありませんでした。まだ、10歳にしかならないマチルダは、ユルスなんかよりもずっと大人の考え方をしているのです。

「マチルダは大人だね」

「馬鹿ね、ユルス。あたしはまだまだ子供よ。だから、たきぎを集めるくらいしか仕事は出来ないの。でも、それを認めてもらえるのは嬉しいわ。それって、あたしのやっていることは無駄じゃないって、誰かが認めてくれた証拠でしょ?」

 ボクはどうなんだろう? クリスマス当番が嫌で、クリスマスが嫌いで。自分がやらなくちゃいけない事から逃げているだけなのかな?

「マチルダとカイトは、クリスマスが好き?」

「好きよ」

「ボクも好きだな」

「どうしてクリスマスが好きなんだい? やっぱりプレゼントがもらえるから?」

 二人は地面を向いて枯れ枝を捜しながら答えました。

「プレゼントはおまけよ。クリスマスは、子供にとって特別な日なんだから」

「そうだね。一年間、よく頑張りましたね。って言ってもらえる日だもんね」

 え? プレゼントをもらえるから嬉しい日じゃないのか?

 ユルスはビックリしてしまいました。今まで、クリスマスにはプレゼントをもらえるから、子供達は嬉しいんだと思っていたのです。ユルスがそう言うと、カイトが顔を上げて答えました。

「うん。プレゼントも嬉しいよ。でもね、『一年間、よくお手伝いをしたね』とか『ちゃんと約束を守れたね』って、認めてもらえることが嬉しいんだ。どこかで誰かが、ボクのした事を見ててくれるって」

 ユルスは「クリスマス」について、もう一度よく考えてみることにしました。


「今日は随分と風が強いな」

 サンタクロースのトナカイ小屋から空を見上げて、ユルスは独り言を呟きました。風が積もった雪を巻き上げながら吹き抜けていきます。

 ユルスがマチルダとカイトの姉弟とたきぎ拾いを始めて、10日が過ぎました。その間に、ユルスは自分が考えていた事と、マチルダが教えてくれた事をじっくりと考え直してみたのです。そして今では、クリスマス当番がそんなに嫌ではなくなりました。長老の樅の木とも、そのことについて話をしてみたりもしました。長老は静かにこう言いました。

『マチルダとカイトに『ありがとう』と言われた時、どんな感じがしたかね?』

 あの時は、何だか、心の中が温かくなったような気がしたんだ。急にポカポカって……。それで、とても嬉しかった。

『それが分かれば、クリスマス当番の意味も分かるじゃろ』

 長老のじいさんは、ああ言ったけど。本当に分かるのかな?

 ユルスが自分の考えの中に入り込んでいる時、大声で自分を呼んでいる声が聞こえました。

「おおい! ユルス! お前の友達のあの姉弟が森の中に入ってきてるぞ! しかもまずい事に、北から【雪狼】のアーガズと【風狼】のフェイルが来てる。これから大吹雪になるぞ!」

 ユルスは弾かれたように立ち上がりました。【雪狼】と【風狼】は、森の奥深くに棲んでいる精霊です。冷たく無慈悲で、通り道にあるモノは何でも凍らせてしまうのです。たとえ、それが人間だったとしても……。

「あの馬鹿! どうしてこんな日に、森へ入ったんだ!?」

 ユルスは小屋を飛び出して二人を探しに行こうとしました。

「ユルス!二人は長老の樅の木の下にいるぞ!」

 後ろから聞こえてきた声に、ユルスは一声「ありがとう!」と叫ぶと森の中心へ向って駆け出しました。急がなくてはいけません。【雪狼】と【風狼】のアーガズとフェイルは、特に乱暴な事で有名なのです。一秒でも早く、二人の所へ行かなくては!

 ユルスが走っている間にも風はどんどん強くなり、雪は激しさを増していきます。寒さに強いはずのユルスでさえ震えるほどです。人間の子供達には厳しすぎる寒さでしょう。すべてを凍りつかせることを楽しむ『雪狼』と『風狼』にかかったら、たちまち氷の柱の中に閉じ込められてしまいます。

 森の中心までの距離が、こんなに遠く感じられたのは初めてでした。走っても走っても、ちっとも近くなった気がしないのです。ユルスの心臓にも、冷たい氷の棘が入り込み始めました。息をするたびに、心臓に刺さった小さな氷の棘がキリキリと痛み出すのです。

「どうして、こんなに必死になって走っているんだろう?」

 ユルスは走りながらそんな事を考え始めました。

「人間の子供が困っているからって、どうしてボクが大変な思いをしなくちゃいけないんだろう?」

「ボクが『雪狼』や『風狼』に勝てるわけないのに、どうして走っているんだろう?」

「こんなことをしたって、誰もボクのことを褒めてくれるわけじゃないのに」

「ボクがここで走るのをやめたからって、誰もボクのことを責めたりしないさ」

「だって、無理なんだもの。行っても、アーガズとフェイルになんか勝てっこない……」

 ユルスの脚がだんだんと遅くなり始めました。心臓に刺さった氷の棘は、ユイルの心も凍らせ始めたのです。

「あんな人間の子供がどうなったって、ボクの知ったことじゃないや」

「どうせ、あの二人だって、クリスマスにプレゼントが欲しいだけで『いい子』をやってただけなんだ」

「ボクの事を好きで、一緒にいてくれた訳じゃないんだ」

 ユルスの脚が完全に止まってしまう直前、彼の冷たくなってしまった心の中に、少女の声が聞こえました。

『ユルス、あんたって本当に馬鹿ね?』

 勝気なマチルダの声です。両手を腰に当てた、あのスタイルまで思い浮かびました。

『そうよ。あたし達は人間で、あんたはトナカイだわ。だからって、友達になっちゃいけないの?』

「だって、君達はクリスマスのプレゼントが欲しいから、いい子でいるんだろう?」

『いい子って、誰が決めるの? 少なくとも、何かのために友達のフリをするのは、いい子じゃないと思うんだけど』

「ボクが行ったって、勝てっこないよ。どうしようもないんだ」

『そうね。でも、あなたの<出来ない>は<やりたくない>の間違いじゃないの? どうせ誰もボクの事を認めてくれない、とか考えているんじゃないの?』

 ユルスは考えました。<出来ない>と<やりたくない>は、何が違うんでしょう? ノロノロと走りながら、一生懸命考えました。「友達」って何でしょう? ユルスにはトナカイの友達がいませんでした。いつも一頭だけで過ごしていたので、「友達」が何なのか分からないのです。

『だからあんたは馬鹿なのよ、ユルス。友達っていうのは、一緒にいて楽しかったり、色んな事をお話したり、心配をしたりする相手のことよ。一緒にいるだけで嬉しくなったり、寂しいときになぐさめてくれたりする相手のことよ。相手の事を考えると、胸の中が温かくなるのよ』

『大好きな人のことだよね?』

 その瞬間、ユルスの胸の中にマチルダとカイト姉弟の笑顔が浮かびました。ユルスがいつの間にか大好きになっていた、二人の大きな笑顔です。

『ユルス、大好きだよ』

 ユルスの体が大きく震えました。凍り始めていたユルスの心が、一気に解けたのです。身体中に力が戻ってきました。心臓も力強く動いています。刺さっていた氷の棘は完全に溶けてしまいました。

「何を迷ってたんだろう? ボクがあの二人のことが好きなんだ。勝てるとか勝てないとか、そんな事どうだっていいんだ。僕が二人を助けたい、それ以外になにもないんだ!」

 ユルスは力一杯走り出しました。もう迷いはありません。ユルスの蹄が雪の大地を蹴った瞬間、フワリと体が浮きました。吹き荒れている風を味方につけて、これまで以上のスピードで走る事が出来るようになったのです。

 サンタの橇を牽くトナカイは、空を風に乗って走る事ができます。でもユルスはこれまでクリスマス当番を嫌がっていたので、その力が出せなかったのです。

「待ってろよ、マチルダ! カイト! すぐに行くからな!」


「お姉ちゃん、どうしよう? 吹雪いてきちゃったよ。これじゃあ、森の出口が分からないよ」

 手を握っているカイトに言われなくても、見れば分かる事でした。マチルダは唇をかみ締めながら、どうにかして自分の記憶にある場所までたどり着こうと頑張っていましたが、雪と風はひどくなる一方です。

「大丈夫よ、きっと何とかなるわ」

 そう言ってマチルダは弟を励ましまたが、それはむしろ自分を励ます言葉でした。

 森の天気が悪くなる事は分かっていました。でも、どうしても、今日ユルスに会いたかったのです。だから、とめる母親を振り切って、弟と二人森へやってきたのでした。

「大丈夫。ここら辺は見覚えがあるもの。もうすぐ、森の中心に着くはずよ」

 マチルダがそう言ってカイトに微笑みかけた時です。大きな風の塊が、ものすごい勢いで二人にぶつかってきました。

「きゃあぁぁ!」

 その勢いでひっくり返ってしまった二人の上に、突き刺さるような氷の粒と、甲高い笑い声が降りかかってきました。

<見ろよ! こんな所に人間がいるぜ>

<本当だ。おい、アーガズ。こいつら、風が鳴く日は森へ入っちゃいけないって、知らないらしいぜ>

<どうだっていいさ。俺達の前にあるものは、みんな凍らせちゃえばいいんだ。そうだろ、フェイル>

<そりゃあ、そうだ!>

 二人はとうとう、【雪狼】アーガズと【風狼】フェイルに見つかってしまったのです。

 マチルダは立ち上がると、カイトの手を引っ張って走り出しました。どこへ走っているのか、自分でも分かりません。でも、あのままあの場所にいたら、間違いなく二人は氷の柱の中に閉じ込められていたでしょう。

「カイト! 頑張って走るのよ!」

「うん!」

 幼い姉弟の後ろから、意地の悪い精霊が追いかけてきます。とにかく、風と雪をしのげる場所を探さなくてはいけません。

『マチルダ、こっちへおいで』

 その時、マチルダの耳に誰かの声が聞こえました。辺りを見回しても、誰もいません。

「カイト、あんた今、誰かの声が聞こえなかった?」

「うん。聞き間違いかと思ったんだけど、お姉ちゃんも聞こえたの?」

 姉弟は思い切って、声のした方へ走っていきました。その声の主は、二人を助けてくれるような気がしたからです。マチルダとカイトが声に導かれてたどり着いた先。それは、森の中心、長老の樅の木の下でした。

「おじいさん。おじいさんが、あたし達を呼んでくれたの?」

『そうじゃよ。さあ、ワシの陰にお入り。【雪狼】と【風狼】の意地悪から、出来るだけ守ってあげよう』

「ありがとう」

 二人が木の陰に入ると、長老はブルッと震えて枝の雪を落とし、比較的柔らかい葉のついた数本の枝を自分から切り落としました。

『二人とも、その枝をかぶってじっとしているんじゃ』

 長老に言われたとおり、二人は落ちてきた枝を組んで、その中にもぐり込みました。それを確認すると、樅の木は残っている枝を力一杯伸ばして、槍のように構えました。

<じいさん、余計な事するなよ>

<年寄りは年寄りらしく、大人しくしてなよ。でないと、残り短い寿命を自分で縮める事になるぜ>

 アーガズとフェイルは長老の周囲を飛び回りながら、口々に脅しをかけました。

『凍らせるものなら、他にもあるじゃろ。この二人の事は放っておいて、よそへ行ったらどうじゃ』

 それを聞くと、二匹はいやらしい笑い声を上げました。

<馬鹿言うなよ、じいさん。生きてる奴を凍らせるから面白いんじゃないか>

<そうさ。俺達は、そこのチビッコを凍らせるって決めたんだ。さっさと寄越せよ>

 そして、いきなり長老の樅の木に襲い掛かったのです。長老は枝を打ち振るって、応戦しました。でも、地面に根を張って立っている樅の木には、自由自在に宙を動き回る二匹の精霊を追いかける事が出来ません。

 二匹の放つ冷気のせいで、凍り付いてしまった枝もあります。長老もあせり始めました。

<はっはぁ。残念でした! この二人はもらうぜ!>

 フェイルが長老の陰に隠れている姉弟に襲い掛かろうとした時です。何かが、ものすごい勢いで飛び出してきたかと思うと、フェイルに体当たりをかけたのです。そして雪を踏みしめると、マチルダとカイトの隠れている場所を守るように立ちはだかりました。

「ユルス!!」

 枝の隠れ家から顔を出したカイトが叫びました。

「来てくれたんだね!?」

「当たり前だろ。ボク達、友達なんだぜ」

 ユルスのその言葉に、精霊の狼達が吠えました。

<お前、何言ってんだ? 人間と友達? 頭おかしいんじゃねえの?>

<ユルス、お前トナカイだぜ? 友達になんてなれる訳ないだろ?>

 若いトナカイはゆっくりと頭を上げると、精霊の狼に向って言いました。

「人間とか、トナカイとかなんて、本当は関係ないんだ。ボクが二人の事を好きで、助けたいと思ったんだ」

 そしてアーガズとフェイルに向って頭を低く下げ、尖った角を向けました。

「さあ、ボクが相手だ。マチルダとカイトには手は出させないぞ」

<生意気なんだよ、お前!>

<トナカイが狼に勝てるわけないだろ! 体の芯まで凍らせて、バラバラにしてやる!>

 フェイルがぶつけてきた冷たい風の塊に飛び乗ると、宙を飛び交う精霊の狼達に向っていきました。

 その戦いの凄まじい事。マチルダとカイトは怖さと寒さに震えながら、それでも目を閉じる事は出来ませんでした。だって、ユルスは二人のために戦ってくれているのです。樅の木だって、姉弟を守るために傷ついてくれているのです。

「あぁっ! ユルス危ない! 後ろよ!」

「頑張って! ユルス頑張って!」

 二人の声援に励まされながら、ユルスはアーガズとフェイルに角を向け、強い後脚で攻撃を仕掛けました。身体中に傷が増えていきました。投げつけられる風や雪の塊は、ユルスの体温を奪っていこうとします。でも、マチルダとカイトの声を聞くと、不思議と身体中に力が沸いてくるのです。

<いい加減にしろよ! いつまで俺達に歯向かうつもりなんだ?>

「お前達が、ここからいなくなるまでさ!」

【雪狼】の体も【風狼】の体も、傷だらけになっていました。何度もユルスの鋭い角に引っ掛けられて飛ばされ、後脚の蹄で蹴飛ばされたからです。だんだん、息が上がってきます。精霊と言えども、疲れない訳ではないのです。

 なのに、ユルスは脚を踏ん張って立っています。傷だらけなのは同じなのに、力強く立っているのです。

<アーガズ……>

<ああ、そうだなフェイル……>

 アーガズは特大の雪の塊をユルスに投げつけると、悔しそうに言いました。

<チクショウ! ああ、お前の勝ちだよ! もうこの人間達には手は出さない。これでいいだろ!?>

「本当だな?」

<本当だ。約束するよ>

 そう言って、空高く上っていって見えなくなってしまいました。【雪狼】と【風狼】がいなくなると、あんなに強く吹き荒れていた風も、渦巻いていた雪も、うそのように静かになりました。マチルダとカイトは樅の木の陰から恐る恐る顔を出すと、辺りを伺いました。そしてもう大丈夫だと分かると、ワッとユルスに向って駆け出しました。

「ユルス、ユルス! ありがとう!」

「本当にありがとう! あなたのお陰よ!」

 ユルスは首に二人をしがみつかせたまま、長老の樅の木を見上げました。長老も、精霊の狼の攻撃でボロボロに傷ついていました。静かに樅の木に歩み寄ると、ユルスは深々と頭を下げました。

「長老。マチルダとカイトを守ってくれて、ありがとうございました」

 隣で姉弟も同じように頭を下げています。

『無事で何よりじゃ。ユルス、お前もよう頑張ったな』

 返ってきた長老の声は、疲れ切っていて、細いものでした。

「おじいさん! どうしたの?」

「もしかして、ボク達を守ろうとして……?」

 心配そうに声をかけた二人に、樅の木は微かに枝を鳴らしながら答えました。

『自然の声を聞く、心優しい子供達よ。お前達のせいではない。ワシはもう長く生きた。今年の冬が最期だと、ずっと前から分かっていた事。お前達が心を痛めることはない』

「ごめんなさい! あたし達がこんな日に森に入ったから……。だからおじいさんもユルスも……」

 マチルダが顔を覆って、ワッと泣き出してしまいました。カイトも鼻をすすりながら、言いました。

「ボク達、おじいさんとユルスにお礼が言いたかったんだ。夕べ遅くに、お父さんが帰ってきて、これからはずっと家にいてくれるって。今朝一番にお父さんが焼いてくれたパンを、どうしてもおじいさんとユルスに渡したかったんだ」

 そして服の中に手を入れると、大事にお腹の中にしまっておいた包みを取り出しました。

「ボクに?」

 ユルスは思いがけない言葉に戸惑ってしまいました。これまで、誰かから何かをもらった事なんてなかったから。

 目の前に差し出されたパンは、少しつぶれていましたが、カイトの体温に暖められてホカホカとしていて、とても美味しそうでした。

「ユルス、いつもたきぎ拾いを手伝ってくれて、ありがとう」

「お、お父さんに話したら……き、きちんとお礼を言ってきなさい……って」

 マチルダもしゃくりあげながら、ユルスを見ています。ユルスはそっと、そのパンに口をつけました。フカフカでホカホカで、なんて美味しいんでしょう。これまで食べてきたどんな食事よりも、こんなに美味しいものは食べた事がないとユルスは思いました。

「ありがとう。ボクの方こそ、二人にお礼を言わなくちゃ」

 カイトは樅の木にもパンを差し出しました。長老は嬉しそうに枝をゆすって言いました。

『カイトや、ワシはパンを食べる事が出来ない。じゃから、半分はワシの根元に置いておいておくれ。森に住んでおる動物達が食べに来てくれるはずじゃ。もう半分は、二人でお食べ。ワシは二人が食べている姿を見て、満腹になるんじゃ』

 それを聞いたカイトはパンを半分に千切ると、長老の根元に置きました。そして残ったパンをマチルダと分けて、口に入れました。自然と二人の顔に笑顔が上ります。

「お父さんのパン、美味しいね」

「うん。ずーっと前に食べた、お父さんのパンの味だ」

 そんな二人の姿を見て、ユルスは「クリスマス」の本当の意味を知ったような気がしました。


 さあ、今晩はいよいよクリスマス・イヴの夜です。

 ユルスは7頭牽きの橇の先頭で誇らしげに胸を張っています。そうです。もう、ユルスの心の中に「クリスマス当番」に対する疑問も不満もありません。自分がイヴの夜に子供達にプレゼントを配って回る、その意味を知ったからです。

 子供達は「プレゼント」だけが欲しいのではありません。「自分の事を、しっかりと見守ってくれている人がいる」「ちゃんと自分の事を認めてくれる相手がいる」「自分のやっている事が、無駄ではない事」が嬉しいのです。

「結局は、ボクも自分のやっている事を、誰かに認めて欲しかっただけなんだ。誰にも気づかれずにプレゼントを配って回る。でもそれって、誰もボクのやった事を、認めてくれない事だと思ってたんだ。でも今は違うよ。ちゃんと、ボクの事を認めてくれる友達がいる。ボクが今夜、どれだけ頑張ったか、ちゃんと知っててくれる相手がいる。たったそれだけの事だけど、それがこんなに嬉しいんだ。ようし、今夜は頑張るぞ! 世界中の子供達に、『よく頑張ったね』って伝えてあげるんだ」

 橇には重たいプレゼントの袋が詰まれました。でもこの重さは、子供達の頑張りの重さなのです。ユルスはそれをしっかりと受け止めました。サンタクロースがクリスマスの衣装に着替えて、橇に乗り込みました。

「よし。そろそろ出発しようか。みんな、頼んだぞ」

 橇の手綱がピシリッと音を立てると、ユルス達トナカイは揃って雪の大地を蹴り、空へ向ってフワリと浮き上がりました。

 眼下に広がる森には、素敵なイルミネーションで飾られた長老の樅の木。そしてその下で手を振っている、マチルダとカイトの姉弟。

「プレゼントに間に合うように、早く家に帰れよ!」

 ユルスの声に、二人は声をそろえて「わかったー」と答えました。

 長老の樅の木も、誇らしそうに枝を飾るイルミネーションを輝かせています。長老にとっては、最期になるクリスマス。でもユルスは知っています。長老の樅の木のすぐ隣に、可愛らしい新芽が芽吹く事を。長老の最期を知って塞ぎこんでいたマチルダとカイトのために、一足早いプレゼント、と言ってサンタが教えてくれたのです。樅の木が静かに寿命を全うしたら、ユルスは二人にその事を教えてあげるつもりでいました。

 今は、残された時間を一緒に過ごそうと、毎日二人は樅の木の元へやってきます。もちろん、ユルスも一緒です。

「じいさん、ありがとう。もう大丈夫。ボク達の事を待っていてくれる子供達の所へ行って来るよ」

 そう呟いて、ユルスは力強く風を蹴ります。急がなくてはいけません。今夜中に、世界中を回るのですから。

「ようし! みんな行くぞ!」

 サンタの橇はグングンと高く昇っていき、星の光に紛れてしまいました。


 今宵はクリスマス・イヴ。世界中の子供達が、一年のうちでもっとも楽しみにしている夜。

 さあ、枕元に靴下を下げて。テーブルにはクラッカーとシャンパンを用意して。

 やってきたサンタさんとトナカイさんに、「頑張って! ありがとう!」の夜食です。

 明日の朝を楽しみに。今夜は早くお眠りなさい。

 ほら、夢の中に、ユルスの胸に掛かった銀の鈴が奏でる、楽しい音楽が聞こえてくるはずだから……。


~完~


この「トナカイと樅の木」は作者の旦那様にヒントをいただいて書いた作品です。

「短編」と銘打っておきながら、こんなに長くなってしまって、申し訳ございませんm(_ _)m

もう少し短くなるかな?と考えていたのですが……浅はかでした。

ここまで読んでくださった皆様、お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。

もはや主題が何だったのかさえ定かではないお話になってしまいましたが、トナカイ・ユルス君の成長記録です。


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