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23.新年度

投稿再開します!

学年末試験を終えると、学園は選抜試験の準備に入った。

春休みといっても帰省する余裕などなく、教員たちも次年度の準備に追われている。

そんな慌ただしい期間が過ぎあっという間に新学期の始まりだ。


教室にはわずかな緊張感が漂っていた。

この学年で初めてのクラス替えが行われたからだ。

成績の振るわなかった者は下のクラスへ、優秀な者は上のクラスへ。

静かな空気の中、ドアが開く音が響いた。


ガラガラッ


「持ち上がりで担任を務めるオルドだ。新しい顔もいるな、改めてよろしく」

そう言って、いつものように勢いよく立つ。

「さて…新学期早々だが重要な話がある。仮冒険者登録年齢の引き下げと、学園制度の変更についてだ」


──要点をまとめるとこうだ。


王国では軍事力強化の方針が出され、若いうちから実戦経験を積ませる仕組みが検討されている。

だが、単に冒険者登録可能年齢(15歳)を下げれば、未熟なまま命を落とす者が増えるだろう。

そこで、制度は次のように改定されるという。


・仮冒険者資格を「一般」と「上級」の2種に分ける。

・受験可能年齢を13歳から12歳に引き下げる。


上級は条件が厳しく、できることも増える。一般は試験内容が軽いができることがかなり制限される。

つまり、より多くの若者を安全に訓練段階へ導く意図らしい。

…とはいえ、俺たちの世代に関係するのは来年からだ。


続いて、学園側の変更点も告げられた。

それは「クラブ活動の前倒し導入」。

本来は来年から所属する予定だったが、今年から始めるという。


前世の感覚で言えば、クラブというより“大学のゼミ”に近い。

教師や冒険者、研究者がそれぞれテーマを掲げ、自らが学びたいものを選択する。それで専門的な知識や技術を磨く場。

活動頻度や方針はバラバラで、メイン1つ+サブ1つ、あるいはサブ3つなど自由に組める。

ただし、体調不良などを除き、クラブ同士の予定が重なっての欠席は認められない。


俺は――

メインに「軍略研究(剣術)」

サブに「生物研究クラブ」を選ぶつもりだ。


ーー

午前の授業が終わり午後はクラブを選ぶ時間になった。第2候補も一緒に提出し、定員で入れなければそっちに回される。選考基準は教える方の意見と成績や性格が反映される

ちなみに俺の希望は問題なく通ったらしい。アンケート制で一旦回収後レスポンスなのでどのくらい一緒の人がいるのかはわからない。

これには恋焦がれたあの人と…みたいなことを防ぐ目的があるらしい。

早速今日からクラブがあるのだが…1発目のクラブ活動はたまたま頻度低い生物研究クラブだ



生物研究クラブの活動室は、研究棟の最上階にある。

窓から見えるのは学園裏の森と湖。

薄暗くて、どこかしんとした空気が漂っていた。


「……おぉ、来たか」

部屋の奥から現れたのは、ぼさぼさ頭に白衣を羽織った男――クラブ顧問のアーレン先生だ。

見た目は完全に疲れた学者だが、学園の中では“生物系に関して右に出る者なし”と噂されている。


「今日から活動を始める。生き物に興味がある奴、幻獣や魔獣に触れたい奴、あるいは生物の仕組みに興味がある奴――理由はなんでもいい。だがひとつだけ、覚悟しろ」

「研究に終わりはない。命を解き明かすってのは、つまり神の領域を覗くってことだからな」


(……やっぱり、噂通りの人だな)

レオンは心の中で苦笑した。


部屋を見渡すと、生徒は五人ほどしかいない。

その中で俺は気になる子を見つけた。黒髪を腰まで伸ばした少女――セリアだった。

この子は今見て思い出したのだが同じクラスの子だ。

目立たずそれでも今回のクラス替えで降格になっていない。


「えっと……よろしく」

レオンが軽く頭を下げると、セリアはわずかに頷いた。

声はほとんど聞こえない。けれど、手元のノートにはびっしりと文字が並んでいる。


(まじめ……っていうか、集中力すごいな)


初日の活動は、採取してきたスライムの体液を使った実験だった。

体液の再生反応を調べるという、なかなか地味な内容だ。


試験管の中で、青く濁った液体が微かに揺れる。

その隣で、セリアが静かに杖を構えた。


「――《ヒール・リストア》」


淡い光が試験管の中に流れ込み、濁った液体が澄んでいく。

再生した部分が、まるで生き返るように形を取り戻した。


「……すごい」

思わず声が漏れた。

ただの実験なのに、彼女の魔力操作は驚くほど繊細だった。


アーレン先生が目を細める。

「セリアの回復魔法は、学内でも群を抜いとる。あれは“生物の構造を理解してる”奴の魔法じゃ。感覚だけでやっとる連中とは違う」


セリアは小さく首を振った。

「いえ……たまたまです」


だがレオンは、その一瞬で確信した。

――この子はただの生徒じゃない。

彼女の“理解”は、きっと幻獣の構造にも通じる。

そんな直感があった。

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