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21.七不思議3

演習場を出た俺たちは、しばし沈黙のまま歩いた。

さっきの“影”の余韻が、まだ心にまとわりついて離れない。


だが七不思議はまだ続く。

次の手掛かりは――「階段が増える」という噂だった。


「……第1棟の6階だな」ユリウスが低く言う。

彼の手には、模型から受け取った錆びた古剣が握られている。

その刀身には刻まれたように文字が浮かんでいた。


第1棟 6階 24→25


「……25階?」マルコが顔をしかめた。

「馬鹿言え。この学園の棟は6階までだろ」

「でも“七不思議”だろ。普通の理屈じゃねえってことだ」リカルドがぼそりと答えた。


俺は剣に刻まれた数字を見つめる。

6階に、存在しない25階への道がある。

それが次の試練だとしか思えなかった。



夜の第1棟。

6階の廊下はしんと静まり返っていた。

月明かりが窓を抜け、石造りの壁を青白く照らしている。


「……ここだな」


奥に伸びる階段。

いつもなら、ただの屋上へ続く最後の階段――のはずだ。


俺たちは恐る恐る足を踏み入れた。

きしむような音を立てて、一段、一段。

やがて「6階から屋上まで」のはずの階段が、なぜか終わらず続いていることに気付いた。


「おい……長すぎねえか?」マルコが震えた声を漏らす。

「数えてみよう」ユリウスが提案した。


俺たちは黙々と数を刻む。

10段、20段、30段……


百を超えても、まだ終わらない。


足音が、やけに大きく廊下に響く。

振り返っても、下りてきたはずの踊り場がどんどん遠ざかっていく。


「これ……戻れなくなってる?」


マルコの言葉に、背筋がぞわりと冷えた。


リカルドは剣を抜き、壁を叩いた。

コン、と乾いた音。石のように見えるが、本当に“壁”なのかも疑わしい。


「幻影の延長か、結界か……。だが何か仕掛けがある」


「どうする? このまま登る?」俺が問うと、ユリウスが首を振った。

「剣に示された通り、24→25を探すべきだ。つまり24階が鍵だ」


「……24階なんて存在しないんだがな」リカルドが苦笑する。


だが、存在しないはずの“24階”を見つけなければ、25階――そして七不思議の答えには辿り着けないのだ。


俺たちはさらに足を進めた。


何分、何時間登っただろう…もうわからない。

すると暗闇の中に、不意に踊り場が現れた。

壁には黒い扉がひとつ。


そこに、かすれた文字でこう記されていた。


24階


「……来たな」俺は呟いた。


部屋の扉を押し開けた瞬間、ひんやりと湿った空気が肌にまとわりついた。足を踏み入れると、膝までの水位に踏みしめる床の感触が冷たく、何とも言えない不気味さが胸を締め付ける。


「……なんだ、この部屋……」

マルコの声もどこか震えている。水面には、薄暗い光を反射してゆらゆらと影が揺れる。


一歩踏み出すたび、水面が波打ち、音もなく広がる。すると、ゆっくりと手首まで伸びる水の手が、水面からにゅっと現れた。俺の足元の水を掴もうとする。


「来た……」

剣を握る手が自然と硬くなる。背後のリカルドも、目を細めて水の動きを凝視している。


俺は思い切って一歩前へ。水膝あたりまで溜まっているようだ。触れるとひんやりとした感触が皮膚に張り付く。すると、反対側の扉が水の壁のように揺らめいて見えた。


「……あれ、行けるんじゃないか?」

マルコが呟く。確かに泳げば向こう岸には届きそうだ。しかし、扉がゆらりと揺れているように見える。まるで水そのものの存在があるかのようだ。矢を放ってみても、水面を叩いた音しかせず、水の揺らぎが見える


「これ……水か……」

ユリウスが静かに呟いた瞬間水面からおびただしい数の手が伸びてくる!


「みんな!水からすぐにあがれ!」

浅いとはいえあの数の手に押さえ込まれると厄介だ。

今の状況を整理すると何かしら攻略すればあの水の幻影?となっている扉を開けれるようになる。

その間当然邪魔は入るって感じか。

うん。

時間をかければ攻略も可能か…そう考えているとユリウスが声を張り上げる


「水位が上がってきてるぞ!さっきまでこっちの足場までもう少し余裕があった!」


「なんとなくだけだけど状況は分かったし一度戻ろうか」


リカルドは冷静だな


ガチャッ、ガチャガチャ

「マルコ…もしかして…」

「扉が開かないよ!!」


ここにきて一撃必殺の罠らしい。


「リカルド……案はあるか?」

俺が尋ねると、彼は魔力を剣に集中させると周囲に炎の明かりが広がる。


「とにかくこの水をできるだけ蒸発させてみるよ……」

リカルドの魔力が波紋となり、水面に走る。手が裂け目に触れた瞬間、暴れようとするも力を奪われ、形を崩す。するとそこに結晶のようなものが見えた。

しかしものの数秒で水がともに戻る

そして水位はついに膝下まで達しようとしている。


後のことは考えずに今全力でやるべきだと伝えるとリカルドは先ほどより何倍もの魔力を練り上げた


「今できる最大火力だ…」

《ファイアボール》

《ファイアウォール!》

《ファイアスラッシュ!》


ファイアボール2発で水位を削ったあとそれを維持、さらに少し削るためのファイアウォール。

最後に一点集中の魔剣技。俺たちもそれに合せる



「今だ、みんな!」

ユリウスの合図で動く

俺と、ユリウスは剣を振り、さらに水を押しのける。

すると結晶があらわになる

それをマルコがリカルドの魔法を付与した弓で狙う


「いっけぇ!」

水晶に修復不可能なほどのヒビが入る。

しかしまだ砕けない…


俺はすぐに幻獣召喚を考えたがその必要はなかった

マルコがすぐに2矢目を放つ。

すると完全に水晶が砕け散る


砕け散った瞬間、部屋全体が震えた。

次の刹那、結晶から溢れていた魔力が霧散するように消え、押し寄せていた水が嘘のように静まり返る。


腰まで迫っていた冷水はじわじわと引き、石畳の床が現れた。

「……終わったのか?」

マルコが小声で呟く。


「……やっと突破できたか」

ユリウスの声にも安堵が混じる。だが、まだこの先に何が待っているかは分からない。


俺たちは、水の恐怖を越えた先に待つ七不思議へと歩みを進めるのだった。

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