表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/32

18.騒動の余韻

教室に戻ってきたAクラスは、夏休み明けの浮ついた空気と、爆発事件のざわめきが入り混じっていた。

廊下を歩けば、誰かが必ずひそひそ声を落とす。


「まだ調べは進んでないらしいぞ」

「魔力暴走だって話だけど……」

「いや、もっと大きなものが絡んでるんじゃないか?」


俺――レオンは、それを耳にしながら席についた。

休み中の修行で強くなったはずだ。

剣も、幻獣召喚も、以前の自分より確実に前に進んでいる。

けれど教室の空気は重く、どこか湿っていて、成長の実感を喜ぶ余裕を削いでくる。


ふと横を見ると、リカルドが窓際で本を開いていた。

変わらずマイペース……のはずなのに、周りの視線が冷たい。

「闇に通じてるらしい」なんて噂まで飛び交っているのを、俺も聞いた。

信じたくはない。だが、事件の夜に彼が一人で消えたことは事実だ。


勇気を出して、声をかけた。

「なあ、リカルド。この前の爆発の時……あの時、どこにいたんだ?」


彼は本から顔を上げ、俺を見て、にやりと笑った。

「ん? ただ、芽を踏ませないようにしただけさ」


芽? なんのことだ?

問い返す前に、彼はまた本へ視線を落とす。

俺の中に、もやもやとした影が残った。


ーー

放課後の庭園。

 石畳の小道を歩いていたレオンとマルコは、ちょうど反対側から歩いてきたBクラス三人組とすれ違った。


「おい、今……俺たちを睨んだよな?」

 槍を肩に担いだグレンが立ち止まり、レオンに詰め寄る。


「睨んでねぇよ」

 レオンが肩をすくめるが、横からダリオが鼻で笑った。

「はは、言い訳にしか聞こえねぇな。英雄気取りのAクラス様は態度が違うぜ」


「言わせておけよ」

 マルコが一歩引きながら囁く。しかしグレンたちの挑発は止まらない。


「言わせておけだと? こっちは前からムカついてんだ。……模擬戦でケリをつけようじゃねぇか」

 モークが斧を肩に担ぎ、大声を張り上げた

庭の中央で向き合うレオンとグレンたち。

 緊張した空気が漂い、武器を構える音が響いた、その時だった。


「おい、お前ら――何をやっている」


 低い声が割り込む。

 振り返ると、剣術教師オルドが腕を組んでこちらを見ていた。

 生徒たちは一斉に肩をすくめる。


「ち、違いますよ先生! ちょっとした……その……」

 グレンが慌てて取り繕おうとするが、オルドの視線は鋭く、言い訳は通じそうもない。


 レオンは一歩前に出て頭を下げた。

「先生。模擬戦として許可してもらえませんか? 俺たちの実力を確かめたいんです」


 短い沈黙ののち、オルドは大きくため息をつく。

「……仕方ない。だが私が監督する。危険と判断したら即座に止めるからな」


「さぁ、始めろ。――正々堂々とな」



 グレンは長いスピアを構え、にやりと笑った。

「へっ、黙らせるチャンスだ……行くぞ!」


 号令と同時に、巨体のモークが斧を振りかぶって突進してきた。

 土を蹴るたび地面が揺れるほどの迫力だ。


「でかっ……! マルコ、下がれ!」

 レオンは即座に叫び、剣で受け止めに走る。

 ぶつかり合った瞬間、斧の重さが全身にのしかかり、足元が沈む。


(重い……でも、押し負けるわけにはいかない!)

 レオンは剣を滑らせるようにして斧を逸らし、横に転がって間合いを外した。


 その隙に、背後から風の刃が飛んでくる。

「ハッ! 避けてみろ!」

 ダリオが詠唱を終え、次々と小型の風刃を放っていた。

 狙いは正確とは言い難いが、数で押し切る形だ。


 矢のような魔力が迫る中、マルコが弓を構えた。

「任せて! 矢で撃ち落とす!」

 放たれた矢は次々と風刃を弾き、軌道を狂わせていく。


「へぇ……やるな」

 レオンは思わず口の端を上げる。


 その時、正面から突き出されたスピアの穂先が、彼の視界を裂いた。

「今度は俺の番だ!」

 グレンの槍が蛇のようにうねり、間合いの外から連続で突きを繰り出す。

 レオンは剣で弾き返しつつも、距離の差にじりじりと押されていく。


「レオン!」

 背後からマルコの声。矢が一本、槍の柄に当たり、わずかに軌道が逸れた。

 その隙を逃さず、レオンは踏み込み、グレンの懐へ滑り込む。


「なにっ――!」

 槍の間合いが死角になる瞬間、剣の刃がグレンの喉元へ迫った。


 ……が、その一撃は寸前で止まった。

 オルドの声が響く。

「そこまで! 十分だ!」


 生徒たちは一斉に息を吐き、武器を下ろした。

 互いの額には汗が浮かび、荒い呼吸だけがに残った。


ふぅ夏休み明け早々あんなこともあってみんなストレスが溜まってるみたいだな…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ