ティッシュって美味しいですよね!
こんにちは、みなさん!
いきなりですけどティッシュって美味しいですよね!
ほんのり甘く、ふわっとした感触が……
「ちょ!?瑠璃!!なんでティッシュ食べてるの!?!?」
「あはは、羊子さんは何を言ってるんですか……美味しいからに決まってるでしょう?」
「あなたが何を言ってるの!?」
ティッシュの箱を奪われた。
「なんで奪うんですか!私、そのティッシュが無いと生きていけないんですよ!」
「どんなキャラ付けですか!今どき流行りませんよ!」
「キャラ付け?なにを言ってるんですか私は普通にティッシュを食してるだけですが?あ…ポケットティッシュも美味しいかも……。」
「やめなさい!もう、どうしたんですか、昨日からおかしいですよ。」
「………紅さんの家から女の人が………。」
「紅さんに彼女がいたんですね。以外です。」
「それだけじゃないですよ!その女の人……星星ルルちゃんだったんです。」
「………あの人気アイドルのですか?」
「………あの人気アイドルのです。」
「まぁ、あの事務所も恋愛禁止とかはやってないですからね。まぁ、いいんじゃないですか?」
「良くないですよ!紅さんが……紅さんが…………」
割れかけの私の心が悲鳴をあげてます。誰か、助けてと……
「………なるほど、瑠璃にとってはファンと好きな人を同時に奪われたわけですか……ドンマイです。」
容易く、私の心は割られました。
「そうですよ、どうせ、私はすぐに捨てられるような女ですよ。大切にしてくれる人なんていませんよ。」
「もう、いじけないで下さい………って、また、ティッシュを食べ始めるのをやめてください!」
「いやです!私の様な人間なんてティッシュを詰まらせて死んだほうがマシなんです。」
「なんですか、その死にかた!もう、ホントにやめてください。」
部屋中のティッシュを奪われやることがなくなった私は机に突っ伏した。
「でも、まぁ、瑠璃の早とちりの可能性もありますから紅さんに訊いてみたらどうですか?」
「………なんて、訊くんですか?」
「それは、あれですよ。私とルルちゃんどっちが好きなのって…」
「それで、ルルちゃんって答えられたら私その場で死にますよ。」
「じゃあ、メッセージアプリ訊きましょう。連絡先は交換してますよね。この場で訊ければあなたの自殺を私が止めれます。」
「なんで死ぬこと前提なんです!?」
私はメッセージアプリを開き、紅さんとのトークを開く。
そして、暫らく考えたあと……
「………やっぱり無理です。」
そう言ってメッセージアプリを閉じた。
「なんでですか!訊かないとなにも始まりませんよ。」
「だってしょうがないじゃん!訊くのが怖いんですよ。」
「はぁ、いつもは勢いで行動するのになんでこういうときだけ慎重なんですか……まぁ、いいですけど、仕事には影響しないでくださいよ。私はもう、帰りますので、瑠璃も気をつけて帰ってくださいね。」
羊子さんがいなくなり部屋が静まり返る。
なんで、私は紅さんが好きなんだろう。
絶対に答えの出ない問を頭に浮かべながら天井を見上げる。
彼はいつもキラキラして見えてカッコよくて………そして、どこか懐かしい。
そんな、彼がなぜか好きなのだ。
訊くのは怖いけどモヤモヤしたままも嫌だ。
次に会ったら絶対に訊こう!そう私は気合を入れた。
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日曜日、夜11時……
「瑠璃ちゃん、久し振り!元気だった?」
「はい、私は元気です。亜姫さんは大丈夫でしたか?」
「私?私は大丈夫だよ!あのときは心配させてごめんね、力を使い切った?ぽいんだよね。まぁ、元気だからオッケーだよ!」
携帯からは亜姫さんの元気な声が聞こえてくる。
「……よし、今回からは俺と王子で戦うから二人は今まで通り隠れててくれ。」
「え〜〜!私は!私の異能は最強のハズでしょ?なんで戦う方じゃないの?」
「亜姫、さっきも言ったでござるよ、亜姫の異能は一発撃ったら反動で動けなくなるんでござるから最終手段として残しておくって。じゃなきゃ、動けない亜姫はすぐにやられるでござるよ。」
「そっか、じゃあ、私は切り札ってことだね!任せてよ。」
「まぁ、それの考え方で大丈夫だ。だが、亜姫の異能を使うしかない状況は絶対に避けたいから俺等がしっかり戦うぞ。」
「了解でござる!」
みんなが気合を入れる。
私はこの時間があまり好きじゃなかった。
いや、ここにいるみんなは好きなんだけど……あの空間に入った瞬間、私は無力の役立たずだから、みんなに頼ることしかできない。作戦を考えているとき、私はその現実を突きつけられる。
「時間だ、とりあえず、いつも通り集合するぞ。」
「はい」「了解でござる。」「りょぴ!」
転送されてすぐ私達は違和感に気づく。
いつもと違い、その異様に静かで空気が重かった。
「紅氏……なんか、おかしいでござる。」
「……ちょっと、見回ってくる。王子は亜姫と瑠璃を頼む。」
「了解でござる。」
紅さんは周囲の確認をした。
「黒怪がいない。」
「そんなこと、あるでござるか?」
「いや、俺も知らない。でも、とりあえず、これから出現する可能性もあるから二人は隠れ……」
紅さんが倒れた。
「紅さん!?」
駆け寄ると紅さんは苦しそうに胸に手を当てていた。
「紅氏!?」「紅君!?」
二人も駆け寄る。
「どうしたんですか!」
声をかけるが紅からの返答はない。痛みで声も出ないようだ。
「王子さん、紅さんって持気とかありましたか?」
「いや、持病はない…はずでござるが……」
苦痛に表情を歪ませる紅さん。
なんで、こんなことに…。
「あ〜〜、始まってたか。瑠璃と……そこの二人離れて離れて。」
この空間で知らない人の声を聞き驚いて声のする方を見た。
そこには20歳位の気が強そうな女性と優しそうな男性が立っていた。
「あなた達は誰ですか?」
「……わかってはいたけど完全に忘れられてるのも結構精神的にくるものがあるな……」
「まぁ、しょうがないよ、僕たちはそれを容認したんだから。」
「まぁ、私達の自己紹介は後でするから今はそこをどいてくれ。」
私は藁にも縋る思いで女性に訊いた。
「あなた達は紅さんを治せるんですか?」
「まぁ、そうだな。治せる……とはまた違うが被害を抑えられる。」
被害を抑える?何を言ってるの?
「何を言って………」
「おっと、もうやばいな。夏樹、瑠璃とその二人をお前の後ろに強制転送して。」
「はぁ、やっぱりこうなる。3人ともごめんね………強制転送。」
夏樹と呼ばれる男性がそう言うと私はいつの間にかその人の後ろにいた。
「これは……転送する異能?」
王子さんはそう呟く。
「あ、あと、その子達の周りに結界的なものやっといて。」
「はいはい。」
私達の周りを透明な壁が覆った。
「よし」
次の瞬間、女性は紅のことを思いっきり蹴り飛ばした。
「紅さん!」
駆け寄ろうとしたがこの透明な壁に閉じ込められていて出られなかった。
「夏樹さん!ここから出してください!」
「そうしてあげたいけど、今は無理かな。」
「来るぞ、夏樹!話してないで準備しろ。」
灰色の空が黒に染まる。
蹴り飛ばされた紅がゆっくりと立ち上がる。
紅さんの髪が白色に変化した。
一瞬で女性が間合いに入り、紅に蹴りを入れる。
紅さんは吹き飛ばされ身体をコンクリートに叩きつけられる。
「まだ、完全じゃない。今のうちに追い込むぞ。」
「空間捕縛」
紅さんの動きが止まる。
止まったと同時に再び女性の蹴りが炸裂した。
「ッ!?」
しかし、その蹴りは止められていた。
足を掴まれた女性は振り回され、そのまま、投げ飛ばされる。
「二重空間捕縛」
先程、動きを止めた異能をもう一度発動する……が、今度はすぐに破られてしまう。
「ははは、紅君、強くなりすぎだよ。」
「前より、白が表に出てき始めてる。これはちょっと厳しいかもね。」
「仕方ない、私も能力使うからあの子達の結界強くして。」
「了解。」
私達を囲む結界が5重になる。
「三重身体強化」
女性が目にも止まらぬ速さで走り出す。
再び間合いに入り、蹴りを入れる。
その蹴りを紅さんは腕で防いだ。
「防御貫通」
女性がそう言うと爆風が起こり、紅さんの身体は吹き飛ばされた。
今の一撃で紅さんの腕は折れてしまった。
痛みを感じる様子もなく、折れた腕を眺める紅さん。
「さすがにその能力も獲得してるのはズルいでしょ。」
そんな紅さんを見ながら女性は苦笑いしながら呟く。
「………自己再生…それも、とてつもない速さだね。それで紅君のままだったら即戦力なんだけどなぁ。」
夏樹さんも笑ってはいるが状況は厳しいようだった。
紅さんが手を振り上げる。
ここにいる全員が嫌な予感を察知した。
「多重結界!!」
「大盾展開!」
夏樹さんと王子は同時に盾と結界を展開し、私達はその後ろに隠れた。
上げた手が振り下ろされる。
視界が白一色に染まる。
展開した結界と大盾は簡単に砕け散ってしまった。
誰かが叫んでいる気がしたが私には聞こえなかった。
「紅さん………」
私は意識を失い、暗闇に飲みこまれた………。
みなさん、知らない方もいらっしゃるかもしれませんが実は……ティッシュは食べ物ではありません。この事実に驚愕し、現実を受け止めきれない人もいるかもしれませんが残念ながらティッシュは食べ物ではありません。…………………あ、どうも、皆さんこんばんは、虚です。今回も読んでくださりありがとうございます。今回は時間に間に合ってよかったです。次回も時間に間に合うといいですね。
では、また、次の日曜で会いましょう…………