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バッドエンドは日曜に  作者: 神在虚
変えられない世界
5/15

愉快な仲間達

「え………と」

現在、俺は王子の家にいる。

この間の連絡について話し合うためにここに来た。

だから、その場にいるのは王子だけのはず……なのだが………


「えぇ!!ホントに本人!?マジすごいんだけど!え、めっちゃ可愛い!ホントに可愛い!」

なぜか、亜姫と……

「あはは、あ、ありがとうございます。」

なぜかなぜか、照れ笑いする瑠璃がいた。


「……こ、こ、これはどういう状況でござるか紅氏。」

「俺にもよくわからん。てか、なんで亜姫がいるんだ、二人で話し合うってことだったはずだろ。」

「亜姫なら昨日からここに泊まってるでござる。」

「……お前ら、ホントに付き合ってない?」

「何を言うでござるか、拙者が好きなのは瑠璃殿だけでござる。」

「そ、そうか。」

「る、瑠璃殿はなぜここに…?」

「駅で会ったら付いてきた。」

「駅で会ったら付いてきた!?!?」

意味わからないと思うだろうが俺もこの状況に理解が追いついていない。


なぜ、瑠璃がいるのか、それは今から一時間前のこと………


俺は王子に呼ばれて電車で王子の家の最寄りの駅まで向かった。

駅に付き改札を出ると見覚えがある女性がいた。


「「 え? 」」


その女性と声が重なる。最近は偶然出会うことが多すぎて、もはや誰かが意図的に出会わせていると考えてしまう……今回出会ったのは瑠璃のマネージャーの羊子さんである。


「切間さんがなぜここに?」

「ここの近くに友達の家があるんですよ、それで遊びに来たって感じです。」

「あ、そうなんですか。ついに瑠璃のストーカーし始めたのかと思いましたよ。」

「失礼ですね!」


笑顔で急にナイフを向けてくる。なにこの人、怖い。


「き、今日も仕事ですか?」

「いえ、今日は休みです。」


休み?スーツ姿が私服なのだろか。でも、それにしてはこの前と同じ仕事服の気が……


「あ、語弊がありました。休みのはずだった…と言うべきでしたね。」

「休みだった?それはどういう……」

「朝から寝坊した彼女をこの現場に送迎して、彼女の忘れ物を取りに戻り、無くしたものを買いにここらへんで販売してる店を探して周っただけです。これが私の休日ですよ。ははは、私、休日になにしてるんでしょうね。」


早口に羊子さんは今日あったことを話した。とてもお疲れのご様子だ。これは早めに離れるが吉。

「そ、そうなんですか……あ、俺もう行かなくちゃなぁーー。」

「切間さん……あなた、瑠璃のこと好きですよね。」

肩を掴まれてしまった。

「ま、まぁ、好きですね……。」

「大好きですよね?」

「は、はい。」

俺の返答を聞くと急に笑顔になり鞄から何かを取り出した。


「そんな、切間さんに朗報です。今なら私が撮り貯めてきた瑠璃の貴重な写真を一枚5000円で特別に販売しますが買いませんか?もちろん、ここ以外では販売されてません。」

と、とんでもないことを言い出した。


「………ひ、非売品の貴重な写真………だと」

「今ならなんと瑠璃のパジャマ姿の写真付き……どうですか?」


欲しい、めっちゃ欲しい。だが、これはどう考えてもアウトだろう。


「……羊子さん……何してるの?」

声のする方を向くと頬を膨らませ、睨むようにこちらを見る瑠璃の姿があった。


「あなたの写真の無許可販売ですが?」


「無許可販売ですが?じゃないよ!なんで、人のプライベート写真を普通に販売してるの!?」


「前に言ったじゃないですか、次、寝坊したら寝顔の写真をファンの皆さんにばら撒きますよって」


「確かに言ってたし寝坊したけどさ、本当にばら撒こうとするとは思わないじゃん。」


「私は嘘はつきませんよ、信用が大切な仕事ですから。」


「信用が大切なのに無許可でプライベート写真販売してるの意味がわからないから!」


二人の会話に置いていかれ、空気になりつつある俺はとりあえず財布から持ち合わせていた2万円を取り出し羊子さんに渡した。


「羊子さん、4枚買います。」


「お買い上げありがとうございます。」


「ちょ、紅さん!?なに普通に購入してるんですか!?」


「いや、ここでしか売ってないなら買うしかないと思いまして。4枚しか買えないのかもっと持ってくるんだったなぁ……」


「切間様、あちらにATMがございます。」

「いってきます。」

「いってらっしゃいませ。」


「〜〜っ……、売るな!買うな!お金下ろしに走るな!わかったからもう寝坊しないから!本当に寝坊しないからぁ!!!」


と、言う感じで羊子さんの仕返しにしばらく付き合った後、俺は二人に友人があの空間に引き込まれた可能性があると話した。


「じゃあ、今日はその話をするためにご友人の家に行くのですか?」


「はい、そうです。」


「そうでしたか、引き留めてしまってすみません。」


「いえいえ、別に急用ってわけじゃないですから大丈夫ですよ。」

今日は月曜日、まだ、時間は十分にある。


「‥‥あ、あの、私も行っていいですか?」


「‥‥え?‥‥あ、い、いいですよ。でも、今日は仕事だったんじゃ‥‥」


「今日は午前中だけなので午後は空いてるはずです……よね羊子さん。」


「覚えてるわけではないんですね‥‥えっと、そうですね午後は空いてますね。」


「じゃあ、私は紅さんと一緒に行きますね。」


「もう、本当に急なんですから・・・・・申し訳ないですが紅さん、瑠璃をよろしくお願いします。」


「え、あ、はい。」


という感じで現在に至る。

「今の説明では現状の理解は無理でござる。」

「だよな、説明しててもそう思う。」


「‥‥それで、紅氏はいつから瑠璃殿と仲良くなったでござるか?」

「三週間前くらいかな、あの空間で出会って‥‥って、その話をするために集まったんだよな。」


「亜姫、そろそろ、本題に入っていいか?」

「うん!いいよね、ルリっち!」

「はい、私は大丈夫です。」


この短時間で亜姫と瑠璃はだいぶ距離を縮めていた。羨ましい。


俺は二人に瑠璃のこと、異空間のこと、そこにいる黒怪のことすべてを話した。

最初は信じられないという表情だったが自分が見たものと一致したのか段々とその表情は曇っていった。俺がすべてを話し終えた後、王子の話を聞くと、あの日、異空間に飛ばされたのは王子だけでなく亜姫も飛ばされていたということだった。二人が無事でよかったと胸を撫で下ろした。


「‥‥紅氏、質問でござる。紅氏は黒怪と戦う力があるでござるよね。………拙者にもそのような力がある可能性はあるでござるか?」


「可能性はある‥‥が、その可能性を試すこと自体のリスクが高い。」


「……確かにそうでござるな、黒怪に攻撃が効かなかった場合、反撃をくらう可能性はかなり高いでござる。しかし、紅氏、今までの話を聞いた限りでは紅氏が囮になることで瑠璃殿が黒怪に襲われないようにしていたということだったでござるが、もし、紅氏の想定外の場所からの強襲や高い知能を持った奴が現れた場合、紅氏に守られることを前提にしていては全滅するのが目に見えているでござる。」


王子には見破れてしまった。過去2回の瑠璃を守りながらの戦いはただ運が良かっただけであったことを………。


 あのときは攻撃するとその対象のみ襲ってくるという想定通りの動きを黒怪がしてくれたからこそ対処ができた。もし、知能が高く俺を2体で抑えられ、1体が瑠璃を襲いに行くなどした場合、対処できなかったかもしれない。


「そこで!拙者に異能力があれば二人で瑠璃殿を守ることができるでござる。その方が絶対良いでござるよ!」

そう彼は笑って言った。王子は危険性が理解できない馬鹿ではない。きっと、彼も自分の力で守ろうとしているのだろう。彼の()()()()()を………


「……わかった、だが、試せるのは最初の一撃のみだ。それ以降は敵も集まるから失敗したときに俺がカバーできなくなる。それでいいか?」


「問題無いでござる。」


「王子さん、ありがとうございます!」

瑠璃が王子の手を握る。


「………ま、ま、任せるでござる!!」


王子が顔を赤くする、ファンであれば推しからの握手などご褒美もご褒美である。


「ちょっと!みんな、私のこと忘れてない!?私も守ってよ?」

「あ〜、はいはい、わかったでござる。」

「あーーー!!今、適当に返事したでしょ!私泣いちゃうから!」

「亜姫の好きなお菓子がここに……」

「あ!それ、ずっと食べたかったやつだ!ありがと!プリン」


 ずっと、一人で戦っていた俺に優しく騒がしい仲間ができた。本当は喜んではいけない、友達が、好きな人が巻き込まれたのだから………でも、不安が少し和らいだのは間違いなく彼等のおかげだった。



しかし、これ以上、周りの人を巻き込むわけにはいかない。そろそろ本格的に考えなければならない。異空間と黒怪の正体について…………。




俺は震えていた……天は裂け、地は割れ、推しのライブのチケットが当たった。俺の心はジャンピングした、嬉しさで踊りだしそうだった……が電車の中なのでやめた………あ、どうも、皆さん、今回も読んでくださりありがとうございます。心より感謝を申し上げます。今回も19時投稿になってると思いますがこれからは日曜日の19時に投稿しようと思います。


次回も読んでくれると作者が喜びます。では!また、日曜日に。

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