弟は方々からの手紙を受け取る
空から雪が降る日々の中、毎日同じ様で違う出来事が起こってくる。
「ディラン様、お手紙が届いております」
教鞭を振るう為に入ってきたイルから銀のトレイに乗せられた手紙を手渡され、数枚の手紙を裏返し、封蝋の印を確認する。
殿下を始め王都でお茶会をした方々と自領で友人関係になれた人物からの手紙を確認し、最初に殿下からの手紙をイルに手渡しペパーナイフで封を切ってもらう。
本来なら自分の従者であるフレディの仕事だが、当人は姉様がのいつもの様に勉強後のティータイムを楽しんでいたその時、姉様の表情が真剣味を帯び、
前に体を傾けたかと思うと、両肘を机に付き、両指の間に指を通し組んだ後、ゆっくりと鼻を乗せ口元を隠したかと思うと
「お姉ちゃんは、大変なことに気づいてしまったわ」
真剣な表情と声に何か重要な事なのでは、心を落ち着け直ぐに対応ができるようにフレディとイルに視線で合図を送ると瞬きで頷き返されたのを確認したの後、
「姉様、何に気付かれたのですか?」
姉様が伏し目いる為に目を合わせる事ができないのでどんな表情をしているのがいまいち解らないず問いかけると、
「ハーブティーが美味しくないのは私の入れ方が下手なんだと気が付いたわ」
声低くし重々しく告げられた言葉に、瞬きを数度し、姉様の言葉を頭の中で復唱をしていれば
「だから、フレディにお願いしたいことがあるの」
組んでいた指から顔を上げ、勢い良く自分の横でに給仕をしているフレディに体を向け、
「ディランがイルさんと勉強をしている時間だけでいいの。私の紅茶の淹れ方を教えて欲しいです」
お願いします。
座りながら頭を下げた姉様にと表情には出さないが戸惑っているフレディに許可を出そうと口を開きかけるも、
「エスメ様、お顔をお上げください」
イルが姉様の近くで膝を付き、声をかける姿を見ていると
「エスメ様が宜しければ、私がご指導させていただく事ができます」
イルから出されて提案に内心驚きフレディを盗み見るとどこか複雑そうな空気を出して姉様とイルを見つめている。
「でも、イルさんは家令でとても忙しいと聞いています。だから、私が淹れたハーブティーを飲んでもらえたらと思いまして」
視線を彷徨わせた姉様の行動とどこか恥ずかしそうに告げた言葉に驚き、目を見開くも
「さようでございましたか。エスメ様のお優しさに気付かず。出過ぎた真似をし大変申し訳ございませんでした」
申し訳なさそうに眉を下げ、ゆっくり立ち上がり半歩下がったイルに
「イルさんには、美味しく淹れられるまで試飲をして欲しいです」
イルの表情を見た姉様が慌て告げた言葉に、すぐさま笑顔に変わり、
「身に余る大役。是非、拝命したいと思います」
胸に手を当て家令として礼をしたイルから視線を送られ
「勿論、僕は構いません。フレディはどう?」
初めから許可を出す考えだったので頷きと共にフレディに話を振れば、
「私で宜しければ、ぜひお受けしたいと思います」
イルと同じく従者としての礼をし顔を上げたフレディに姉様は
「ご指導、よろしくお願いします」
ソファから立ち上がり、フレディに向かって腰を折り礼をした。
その日から、イルの話を聞きながら、壁側から様々なハーブティーの香りと共にフレディと姉様の声が混じりる、
いつもと同じから、毎日が違う日に変わり出した。
そんな日常でまた違う日になる物が届き、イルから手渡れた手紙に目を通せば、
季節の挨拶から始り、体調への気遣い、王都の様子に殿下の日々思った事や出来事が書かれやんわりと意見を求められている様に書かれている。
同じく宰相の御子息であるルカ様からの手紙にも季節の挨拶から始まり、体調への気遣い、積雪への配慮に
ザッカリー様とはその後どうかとの心配りが書かれている。
騎士団長の御子息も、同じく、季節の挨拶から始まり体調への心配りとご自身が行っている剣術の鍛錬への感想が書かれており、
魔術長の御子息からも季節の挨拶から始り、体調への心配りに王都での生活魔法道具への対応が書かれている。
皆様からくる手紙はいつも自分が欲しいと思う情報が入って折り大変ありがたく思うも、さりげなく
新しいティーフードが出たらしいね。発案者の話があったら参考までに聞かせて欲しい。
喧嘩をしたと聞いたがその後はいかがだろうか?仲違えをしたままではないか?
雪合戦を考案した者はどのように考えついたのか話が聞きたい。
そちらでは王都に無い生活魔法道具があると聞く、どの様な物かまた発案者の事も聞きたい。
それぞれが姉様の事を訪ねてくる文も入っており、準備していた書物を机の脇に置き、紙と羽根ペンを持ち
「姉様」
フレディと共にティーセットの準備をしていた姉様に声をかければ、
「はーい。どうしたの?」
笑顔で顔を向けてくたので
「姉様が発案したお菓子はどの様に思い付いたのですか?」
手紙で尋ねられた事を本人から聞く事にした。
方々も自分で考えて書くより、本人の言葉を代筆した方が喜ばれるだろう。
「そうね。食べたかったから。かしら?」
意気込み作ったのではないと言う姉様の言葉を書き、次を訪ねる
「姉様はザッカリー様をどの様に思いますか?」
「ディランの親友になってくれて嬉しいしありがたいな。と、思ってるわ」
微笑みながら答えてくれた言葉を再び紙に書き、
「雪合戦はどの様にして思いついたのですか?」
「えっと。お祖父様とお話をしていてかしら」
反省してくださいと注意した為かどこか居心地悪そうに視線を彷徨わせながらの言葉を紙に書き
「今、手にしているポットに入れた水をお湯にする魔法道具は何故、製作しようと思ったのですか?」
「キッチンは1日中忙しい場所だから、邪魔しちゃ悪いと思って作ったの」
メイドの皆さんに便利だと喜んで貰っているわ。
笑顔で持っていたティーポットを撫ぜながらの言葉に、
「確かに、今までは温かい物を魔法石で温かいままが支流でしたが、その場でお湯が沸くのは大変便利ですね」
嬉しそうに笑う姉様を眺め、紙に姉様の言葉を1句違わず書いてゆく。
「お忙しい中、突然の質問に答えていただきありがとうございました」
聞き漏らしが無いか確認しながら礼を告げると
「気にしないで。聞きたい事があったらいつでも聞いてね」
姉様の優しい心使いの言葉に頷き、返事を書く為にイルを控えさせ、姉様の言葉を交え羽根ペンを動かした。
第98話
注文していたPCが届きました。初期設定頑張ります。
ブッマークや評価をいただきありがとうございます。
感想をいただけてとても嬉しかったです。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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