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姉、弟から言質をとる


メイドさん達とお茶会を開いた次の日、アメを取り寄せてくださったお礼と告げる為にディランと

お祖母様の部屋へお邪魔した後、


「ディラン、イルの勉強が終わった後の予定は決まってる?」


降り続いてた雪が明け方ぐらいに止み、久しぶりに太陽が顔を見せ暖かな日差しが降りそいている。


こんな日は雪が屋根から落ちてくる事があるので、外に出る事があるなら気を付ける様に。


お祖母様の言葉にディランと共に頷き


「本日は武術の稽古も休みなので部屋で過ごす予定です」


ディランは返事を返したが詳しい事は告げなかった。


なので、予定が空いているのなら是非とも一緒にやりたい事があり尋ねると、


「本を読んで過ごす予定でしたが、何かありましたか?」


見上げながら聞き返してくれるので、


「予定が空いているのなら、お願いしたい事があるの」


やりたい事を思い出しながら言葉にすれば、


「僕でお役に立てる事でしたら」


頷き良い返事くれるので、微笑み


「ありがとう。イルの勉強が終わったら、私の部屋の来て欲しいの」


時間を貰える事へのお礼と予定をすげれば眉間に皺を深く刻み、


「姉様。弟とは言え淑女の部屋へ入る事はいささかどうかと思いますが」


先程より低い声での言葉に、


「ディランは家族だよ?変じゃ無いと思うけど?」


首を傾げながらの言葉に大きなため息の後、


「淑女としての自覚をお持ちください」


普段聴かない様な鋭い声と言葉で告げられ、


「ごめんなさい、気をつけるわ。でも今日の用事はどうしても私の部屋じゃ無いとできない事なの」


咄嗟に謝り、言い訳にならぬ様に言葉に気をつけながら伝えると、


「お分かりいただけたなら結構です。今回だけはお邪魔させていただきます」


ほんの少しだけ鋭さが和らいだものの、まだ尖りを感じつつもディランの部屋前に到着した為


「ディランをお向かえる為に準備をするから、ここでお別れね」


後で、絶対に来てね。


ディランとフレディに手を振り足早に自室へ戻れば、お茶会をしたメイドさん達が揃っており


「お帰りなさいませ、エスメ様」


声を揃えての出迎えに微笑みで返し


「準備、ありがとうございます」


部屋に並べられている物を視界に入れながらお礼を言えば、


「私達も楽しみながら準備をしておりましたのでお気になさらずに」


柔な笑みの言葉に、


「後は私が頑張れるだけですね」


左手を胸の辺りまで握り拳をすれば、3人同時に頷きが返っていた。


あれやこれやと3人のメイドが部屋を出たり入ったりしつつ、自分も自分が考えた用意をする為に


「では、キッチンへ行ってきますので後をお願いします」


一言告げ、小走りにキッチンへ向かい予めキッチンメイドにお願いし借りる物をワゴンに乗せ自室に戻る。


もうすぐイルの授業が終わる頃だ。


イルにも事前に今日のお茶の時間は無しでとお願いしてあるし、今日これからの事も伝えてあるので怒られる事は無い。


高まる緊張で心臓の音が大きく感じる。


喜んでくれるかな?


楽しんでくれるかな?


笑顔になってくれたら嬉しいな。


何度も頭の中で繰り返し手の動きなど復習してゆく。


深呼吸をしていると、ノックの音が聞こえ、


「どうぞ」


扉を開けて良い許可を出すと、メイドの1人が扉を開けてくれ、


「姉様。お待たせし申し訳ありません」


ディランの言葉に、出迎える為に部屋の真ん中辺りで立っていたが近寄り


「大丈夫よ。勉強で疲れたでしょう?さ、座って」


部屋にあるソファを五指で指し、座る様に案内をすると案内されるままディランはソファに座ってくれたが、


「フレディも座って」


ディランが座った事で壁際へ控えようとしたフレディを引き止め、ディランの横に座る様に告げるも戸惑いと困惑の表情を見せるフレディに


「ね、ディラン。フレディも良いでしょ?」


主人であるディランへ許可を求めれば、小さなため息と共に


「フレディ」


名前を呼び隣に座る様に促してくれた。


苦笑と共に遠慮がちにディランの隣に座ったのを見届け、用意していたワゴンの前に立ち、用意していたティーセットの準備にかかった。


火魔法石が付いたポットとカップはすで魔法石を発動させに温まってるので、ポットにティースプーン大盛り2杯を入れる。


お湯を入れていたポットも火魔法石を発動させ瞬間にぐつぐつと音が聞こえる程に沸騰させ、300ml程、茶葉入れたポットに入れた後、すぐさま砂時計をひっくり返した。


何度も反復させた行動を1つ1つ思い出し失敗なく進める事ができた事に安堵をするが、時間を忘れない為に砂時計を凝視し落ち切るまでを、まだかまだか見守り砂が落ち切るのを確認し、


交互にカップに紅茶を注ぎ、最後の1滴を入れディランとフレディの前にソーサー付きで出した。


「召し上がれ」


やり切り満足感が出てしまったが、本番はこれから。


ディランとフレディが飲んで美味しいと思ってくれなければ成功では無い。


緊張しながら2人を見つめていると、まずはディランが口を付けてくれ、


「とても美味しいです」


ホッとした息と共にくれた言葉に嬉しく思い、フレディを見るとカップから口を離し、


「紅茶の味も出ております。とても美味しです」


微笑みながらの言葉に、嬉しくなり3人のメイド達に視線を送ると微笑み返してくれた。


「飲める紅茶が淹れる事ができて良かったわ」


前世の記憶の助けもあり大きな失敗はしないだろうとは思ってはいたものの、どこか不安もあったが、ほっと息を落としながらの言葉を出すと、


「姉様、おもてなしありがとうございます」


嬉しそうに頬を緩めながら礼を伝えくれるディランと目を合わせ、


「どういたしまして。ディランが少しでも喜んでくれたら嬉しいわ」



名残惜しそうにカップの底に残った紅茶を飲みきるのを見守り、次の紅茶の準備をする。


昨日の夕方辺りからどうもディランの様子に違和感があり、メイド達に相談を持ちかけると


「雪が降り続く日が多くなると気鬱になる方が多いと聞きます」


「ディランは多忙な身、お疲れが出ているのかもしれません」


「でしたら気分が落ち着くハーブティーはいかがでしょうか?」



3人の言葉に頷きランドリーメイドと相談し決めた茶葉をティーポットに入れ、熱湯を注ぎ新しく用意したカップに入れディランとフレディの前に置けば、


「花の香りと色が違いますね」


ディランの指摘に、


「バーブティーよ。飲んでみて」


ラベンダーの香りと紅茶を何倍も薄くした色に恐る恐る口に近付け


「良い香りですね。心が落ち着きます」


先ずは香りを楽しみ、そして1口。


「不思議な味ですね」


フレディの言葉に頷き、


「ポットにラベンダーを沢山入れると香りが立つのだけど、その分渋くなるからこれぐらいが適量だと聞いたわ」


ディランとフレディの先程までのどこか緊張していた雰囲気が無くなり、穏やかな雰囲気になりこのまま落ち着きたくなるも、


メイド達から視線を受け、


「ディラン、お願いがあるの」


部屋の雰囲気を切るようににっこり笑い話を振れば、


「はい。なんでも言ってください」


頷き返してくれたので


「準備してくるから待ってて」


その言葉、忘れないでね!


にんやり笑い捨て台詞を言う様に言い隣の部屋へと入って行った。





第84話


身近くで風邪が流行り出しております。皆様ご自愛ください。

ブッマークや評価をいただき本当にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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