姉、メイド達からお茶会に誘われる。
2023/03/05 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。
しんしんと雪が降り続け、足の黒節まであった雪は更に増え膝下辺りまで積雪をしていた。
こうなると水汲みをする井戸に行くのも一苦労だし、男性の使用人達は数人で玄関口の雪を退かし数日ごとにやってくる、ディランの友達を迎える準備をする仕事が増えた。
王都の時より頻繁にやってくる友達に、
初めはどうなるかと思ったけど、仲良くできているみたいで良かった。
安堵の息を落とし、お茶会に出すティーフードを皿へ並べ取りに来たメイドへ手渡した。
ブラックペッパーをすり込み炙った肉と少しの野菜のサンドイッチに、バターたっぷりのスコーン。
なんでもお友達が気に入ってくれたショートブレッドは少し塩味を効かせ、それに合わせて紅茶に入れるミルクも多めに用意。
ドライフルーツ多めのクグロフは少し甘めで焼き上げた。
しょっぱいと甘いの繰り返しは何度繰り返しても飽きはこないし、手が止まる事がなくなる。
そして、紅茶で口の中を整え直し再び塩味と甘味を繰り返す。
何より、塩味を感じた後のドライフルーツの甘みはまた格別に甘く感じ美味しい。
彼とは気が合いそうだわ。
1人微笑み使用した小麦粉やバターが付いたボールを洗っていれば、
「お嬢様、洗い物が終わったら私達も休憩にしませんか?」
「先程、クックにお茶会のお菓子を分けていただいたのです」
「紅茶の準備もできております」
いつも身支度の相談やお祖母様とのお茶会の買い物時の身支度をしてくれるメイド達のお誘いに、
「お誘いありがとう。手早く終わらせるので先に始めていてください」
嬉しくなり手を動かしながら返事を返すと、
「では、私達もお手伝いいたしますね」
泡だらけ鍋やボールを水出洗い流してくれ、布を手に取ったメイドは洗い終わったボールや鍋を拭いてくれ、水気の取れた物を片付けてくれれば、あっという間に終わり、
「さ、参りましょう」
3人の笑顔に釣られる笑顔で頷き少し早歩きで
用意されたテーブルへと向かった。
用意されていたのは、ディランと友達に焼いたティーフードと紅茶。
それに別皿に置かれている色とりどりの小さな飴
自領に来てから少しづつ食べていたものの数も少なく、勉強には糖分とディランを優先に食べて貰っていた為に数日前には無くなったアメが置かれており、
「奥様がディラン様のお気に入りだと聞き、取り寄せたと聞いております」
幼児を見守るような微笑みと優しい声に頷きで返すと、
「この様な貴重な物をご相伴いただけるなんてメイド冥利につきますわ」
嬉々として弾んだ声と笑顔に微笑み返し、
「せっかくの紅茶が冷めてしまいますね。私達もいただきましょう」
椅子を引かれ腰を下ろせば、皆、自分で椅子を引き腰を下ろし各自でポットから紅茶を入れ終わると自然と視線が集まり、
「ご招待いただいてありがとう。いただきましょう」
お茶会の開始を言葉にすれば、小腹が空いていたのかサンドイッチに手を伸ばし一口食べると、
「ペッパーの独自の香りと刺激がお肉に合いますね」
「口休めになる葉物もバランスが良いですね」
「これは、食事として出しても良いかもしれませんね」
それぞれが感想を良い、美味しそうに頬を緩めながら食べるのを眺め、自分も手を伸ばす。
お茶会の基本である全員が食べ終わるまで次の皿に手を伸ばさない。
この事が出来ない事は周りが見えていない、主催者や招待客に気を遣わせなもてなしの基本だとお祖母様教え。
今こそ実行しなくては。
少し遅くなってしまったもののサンドイッチに手を伸ばし一口齧れば、先程の言葉通りで
「美味しい」
頬が緩み幸せな気分になりつつ、手にあるサンドイッチを全部食べ終え口の中を整える為に紅茶を1口飲み今度はスコーンへ手を伸ばす。
王都の屋敷と同じ分量で作っていると聞くも何度食べても違いがあり、不思議に思いイルに聞けば
「それぞれのクックの経験と感の違いかと思われます」
後は水の違いですかな。
穏やかに笑いながらの言葉を思い出しスコーンにジャムを乗せ食べる。
どちらも私達の為に思って作ってくれた物。
どちらのスコーンもそれぞれ美味しくて甲乙つけ難く、ほんの少し王都の屋敷で食べていた味か恋しくなるも、メイド達の話に耳を傾け、流行りのドレスの型や髪型、時にメイクの話に花を咲かせるので、よく分からないながらも微笑み相槌と質問をしていれば、
あ、ここからディランとお友達の姿が見えるんだ。
ディランの楽しそうな表情に微笑ましくなり、こっそり眺めてる。
嬉しそうに微笑み話が盛り上がっているのか友達の表情がコロコロと変わるのが見え、
感情豊かな子ね。
見ていて飽き無いしディランも楽しそうだし、最初の事を思うとどうなるかと思ったけど友達になれたみたいで良かった。
思い出すと怒りが生まれるも終わった事と今のディランの姿に今は忘れる事にし、声を揚げて笑う友達を呆れた表情で見ているディランの姿にホッと息を体の中に落とし、ディランを眺め続けていると、
「お嬢様はディラン様の洋服の形はどれがお似合いになると思いますか?」
メイド達からはディランと友達の姿が見えていない様で、ぼんやりしていると思われ話しやすい話題を振ってくれた事に気づき、
「そうですね。ディランはスタイルも良いのでどの形も着こなしてしまうので、あえてワンピースの型でも良いですか?」
気持ちを入れ直し、メイド達に向き合い質問の答えを告げると、
「勿論です」
3人共頷き返してくれたので、心の中で安堵しディランのワンピース姿を思い出しながら少ない知識を振り絞り伝えると、さらに話は膨れあがり、時に細かな色やレースにフリルの指定もあり
「着た姿を見れるのを楽しみしております」
メイド達の言葉で作られたワンピース姿のディランが見れるのを楽しみに紅茶を飲んだ。
第83話
明けましておめでとうございます。22年もよろしくお願いいたします。
お腹が空いてきました。サンドイッチがとても食べたいです。
本年もブッマークや評価をいただき誠、そして、読んでいただきありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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