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弟に続々と友達ができる

2023/04/12誤字修正をおこないました。教えてくださった方ありがとうございます。


先日を皮切りに1ヶ月ごとにお茶会を開催している。


勿論こちらからの招待した様に見せた王族や側近候補の姉との対面が目的である。


殿下の時の失敗を糧に、姉の行動には細心の注意をしたがそこは姉様。

自分の考えを及ばない登場の仕方をし1人で話し出す。


先程まで土魔法を使って畑を耕していたのか、手や服に土をつけながら


「こんな格好でごめんなさい。私はディランの姉でエスメです。

ディランは優しくてとても良い子なの、でも運動は苦手でね」


楽しそうに笑い、慌てる自分を横目に、


「体鍛えてるの?いっぱい努力をしているのね」


騎士団長の御子息に告げた言葉に慌て引き離そうと手首を握るも


「体を鍛えると言うのは剣を振るうだけではなく、叩かれた痛み、負けた悔しさをも越えないと強く慣れないのよ。痛みを知ると言うことは恐怖を生み出すし、悔しい気持ちは心を弱くもさせるわ。

それを乗り越える勇気と強い心に敬意を払うのは当たり前よ」


今まで見たことの無いほど真剣に語る姉に内心驚くも、


「勿論です。この方を尊敬し敬意を持っております」


立場と家名の事を言葉にできないので曖昧な言葉返す事になってしまったが、姉様は納得したのか


「そう?ディランの勉強になる事を知っていると思うから沢山お話をするといいと思う」


そう告げ、1輪のバラを手渡されその場を離れていった。


その後は必死に謝る自分を父から聞いていたから気にしていないと寛大な心で許してくださった。


さらに反省しフレディと共に対策を練った3度目のお茶会


出だしは上手くいき、庭の散歩に誘い姉の姿を見せた。


水魔法を使い木々に水やりをしているはずが何故か濡れ鼠のごとく、全身に水が滴る程濡れながら声を上げ笑っている姿に両手で顔を押さえた。


姉に淑女の教育を行った家庭教師を問いただしたい気持ちと恥ずかしさに慌て謝りを入れると、呆然をした表情で


「父から聞いていたが本当だったのだな」


無意識なのか小さな声で落とされた言葉に、次期魔法師長となるこの方も庭に水を撒くなんて簡単な事だと思ったが、よくよく話を聞くとその発想がなかったと言う。


驚くも、上流貴族は庭師の仕事など手伝わないのが当たり前だった事に気づき、自分の認識を改めた。


姉様と居るとどうしても貴族という概念が薄くなる。

気を付けなければ、自分が貴族社会で失敗すれば家名どころか姉様すら守れなくなる。


あらためて気付いた事に気を引き締める中、


「こんにちわ」


姉の声に顔を向ければ、濡れていたはずの姉の姿は無く、


「先程まで濡れていませんでしたか?」


疑問に思い問いかければ、


「風魔法と火魔法を組み合わせて乾かしたの。どう上出来でしょ」


得意げに笑う姉様に


「髪を乾かす魔法道具の応用ですか?」


尋ねれば、


「そうよ。あれは石だけど私は自分に魔法をかけたの」


相変わらずの魔法の使い方に呆れてしまうも


「初めまして、私はディランの姉でエスメです。ディランはね心が広くて、柔軟に物事を捉えられる性格なのこれからも仲良くしてあげてね」


何故か一呼吸置き、微笑みを深くし


「ところで貴方は魔術師の方よね」


いつもの挨拶に付け加えられた言葉に驚くも、


「火魔法と風魔法が使えるのね」


楽しそうに告げた言葉に2人して驚き体を揺らした。


姉には茶会のことは告げていたが、誰が来るとは告げていない。

何よりこのお茶会は表に出せない内容の茶会なので両親や執事とフレディのみ誰がいつ来るというのは知らされている。


それを見ただけで見抜いたのだ。


誰にもできない事をさらりとやってしまう姉様に驚きと流石姉様と納得してしまう。


「ディラン共々私とも仲良くして欲しいな。そして魔法の話を沢山できたら嬉しい」


殿下が行っていたように、姉が姿を見せれば側近の方々は下を向き姉の存在は無いように振る舞う。


「急にそんなこと言われても難しいよね。気が向いたらでいいので良かったら気に留めてくれると嬉しいな」


下を向き視線が合わない相手に気分を悪くすること無くバラを1輪自分に手渡し庭に戻って行った。


法がある為の行動でもあり姉を守る行動でもあるがどうしてもこの行動に納得がいかなかった。


後1人で今年は終わる。



いつも通り庭にテーブルと椅子。そしてティーフード。紅茶も相手の好みに合わせて用意した。


「やぁ、君とは初めましてだね、ルカと言うよろしく」


凛とした雰囲気と夜空の様な濃紺色の髪が動く度にサラサラと揺れ殿下とは違う人を従える空気に1歩後ろに下がりかけるも意地で踏み止まり、胸に手を当て腰を折り


「当屋敷に来ていただきありがとうございます。お初に目にかかりますディランと申します」


前回より緊張をしながらの挨拶を終え、庭へと案内をする。


姉様は今、騎士達に囲まれ箒に跨っているはず。

守備よく行けば初めて穏やかに理想に描いたお茶会になるはずだ。


心の中で頷き、互いの従者に椅子を引かれ着席した。


「ルークからご家族はレモンケーキが好きだと聞いた。受け取ってくれ」


互いの従者が白い箱の受け渡しを行なっている中、


「お気遣いありがとございます」


微笑みながら軽く頭を下げカップを持ち上げひと口飲み、この後の会話へと気合を入れる。


「こちらの予定で遅くなってしまい申し訳なく思っているよ」


思っていた言葉と違う始まりに驚くも、表面は笑顔のまま


「いえ、お忙しい事は皆様から聞き及んでおりますのでお気になさらずに」


目尻が上がっている為に初対面での印象は悪くなりがちだが、真っ直ぐで裏表のやり取りを嫌う性格の方なので今まで側近候補の方々より好印象があるが、貴族の中の貴族と言われているのも知っているので姉様の性格や行動がどう捉えられるのか未知数なのである。


貴族といっても様々で領民を良く思い大切にする貴族もいれば、領民など気に求めず豪華に豪遊する貴族もいる。


我が領地も隣国との境にあり隣は辺境伯という辺鄙かつ自然が多い田舎の為、領民なくして家は成り立たないし、王都のタントハウスは姉様が居るからで、本当なら舞踏会シーズンが終わればすぐ領に戻るのが通例だった。

だが、側近候補の方々は高位貴族でありそれぞれ職を持っているので領よりも王都に重心を置いているが

領民にも平民にも平等に考えている。


目の前に座る彼の父親は宰相職であり、陛下の右腕と言われている。

父曰く、あのメンバーの中で誰よりも優しい人だと言っていたけど、果たして彼はどうだろうか。


サンドイッチを齧る姿を見ながらぐるぐると考えていれば、


「そう警戒しなくても大丈夫だよ。僕も父やルーク達から聞き及んでいるから」


自分の考えなどお見通しだと言わん言葉に、言葉を繋げずにいれば


「貴族では無いんだ、そう気にしなくても良い。偽られるよりは好感が持てる」


口端が少し上がったのを見てとれ、安堵と共に


「ありがとうございます」


礼を告げれる。


2杯目の紅茶はミルクティーと共にスコーンを食べる。


互いに飲食のペースに気を配る中、今までのお茶会より落ち着いて進められている事に気づく。

お互い差し障りの無い世間話をした後、


「庭に水魔法を使用しての水やりに土魔法を使っての土壌調整。どれも生活内での魔法と言えるね」


関心の色濃く告げられる言葉に耳を傾け笑顔で頷くも


「だた箒に跨り空を飛ぶのは危険があると思う」


先程見せた小さな笑みが消え、どこか心配そうな色の言葉に、


「はい。できればやめて欲しいと思っています」


するりと本音が出てしまい、慌て左手で口を押さえると、


「心配するのは当たり前のことだ。それが大切な人なら尚のことね」


怒るでもなく、微笑ましそうに見るでもなく淡々と告げられた言葉は真っ直ぐに心に届いた。


「ありがとうございます」


少し照れ臭くなり、合わせていた視線を外し礼をつげ、上がってしまった体温を誤魔化すように紅茶をひと口飲めば、ミルクの優しい甘さが身体中に染み渡った。


側近のどの方々より話しやすいかも。


裏を読むことをしなくても良いぶん、気持ちが楽に話せる。

ありがたことだな。


そう思い、カップを置き改て相手の顔を見ると、視線が斜め下に向かっており、そこに何かあるのかと顔を動かそうとするも、何かに当たり動かすことができなかった。


「こんにちは。ディランのお友達よね、ようこそ我が屋敷へ」


耳元で聞こえた声と肩に回されている腕の存在に気づき、


「何をなさっているのですか?」


ため息混じりに問えば、


「ディランがいつもと違う感じで話しているのが気になって来てみたの」


どこかいつもと違う雰囲気に首を傾げるも、


「初めまして、姉のエスメよ。よろしくね」


今までにない棘のある声での自己紹介に慌て、


「どうしました?何を怒っているのです?」


問いかけるも、視線を逸らし、


「今まで来た人達より仲が良さそうだから良かったなって思ったの」


拗ねていますを全面に出している姉に、何故その気持ちになったか分からず思わず頭を撫ぜれば、


「ディランが見たことない顔で笑ってたのが嫌だったの」


年相応の顔で笑っていて可愛かったし、それをさせたのが自分じゃないのが悔しかったの。


口籠もりながら、ボソボソと言われた言葉に空いた口が塞がらず、名前を呼ぶこともできず

髪型を崩さないように撫ぜ続けていれば肩に額を当て


「ごめんなさい。私、お姉ちゃんなのにダメね」


言葉と共に肩に回された腕に力が入った。


姉の言葉を聞くも、何を言っているのかあまり理解ができず口を閉ざせば、

肩から重みが無くなり布同士が擦れる音がした後、


「貴方にも悪い事をしてしまったわ。本当にごめんなさい」


頭を下げての謝りに、相手が小さく頷く動きが見れた。


「ディランは優しくて気立の良い子なの、これからも今みたいに仲良くしてくれると嬉しいわ」


頭を上げ告げた言葉の後、


「ディラン。これ、さっき作ったのだけど受け取ってもらえるかしら」


今までにない程の純度と透明感がある1輪のバラを手渡され、


「ディランもごめんなさい。この方とディランは相性がいいと思うの。そう思ったら嫉妬してしまって、本当にごめんなさい」


元気の無い足取りの姉様を見送り、


「先程は申し訳ありません」


改て姉の行動に謝罪をすれば、下げていた視線と合い、


「謝罪は受け取ったから気にしていない」


これ以上は気にしなくても良いと言われ、頷くことしかできずいにいれば、


「君に次々にと友達ができて寂しかったのだろう」


告げれられた言葉にあの天真爛漫の姉がと首を傾げれば、


「家族以外に親しい人の居ないのは存外寂しくて君が羨ましいく、僕達に嫉妬したのさ」


今日から、今以上に気を付けてあげるといい。


告げられた意味の半分も理解できなかったが


「分りました。そうしてみます」


姉様の為になるならと頷き返した。


「僕には兄弟が居ないから、羨ましくもあるよ」


微笑みながらの言葉に嬉しくも恥ずかしく口籠れば、


「僕と君とは相性が良いらしい、友達になれること嬉しく思うよ。

 ディランこれからもよろしく」


テーブルの上に差し出された手を握り、


「こちらこそよろしくお願いします」


頷き返し、そこからは互いの話をし仲を深めた。






第8話

殿下と側近達が残り1人を残し出揃い増した。名前の出なかった人達はどこかで掘り下げて書きます。

決して軽く扱っているわけではありませんのでお時間をいただければと思います。


ゆっくりゆっくりですが話は進んでいますのでお時間ありましたらお付き合いください。

ブックマークや評価を多くの方にいただけ嬉しいです。

本当にありがとうございます。


これから3つも台風が来るそうで大きな災害にならない事を祈りつつ

少しでも涼しくなれば嬉しく思います。

気温の変化台風による気圧の変化で体調を崩しすくなるかと思いますがどうぞご自愛ください。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/







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